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◇精霊の里を探して

 一方その頃、シュカの方では。


「もー最悪! 崖から落ちて死ぬとこだった!」


 崖から転落し、3人が地面に這いつくばる。

 シュカは起き上がり、辺りを見渡してみるが嫌になるほど森の木ばかり。


「ユメミさんともはぐれちまったべ……」

「烏に突き飛ばされたな。不運なことに」

「ユメミ、体力ギリギリだったけど大丈夫かな……。もしかして死んでるかも……」

「あり得るが……ユメミが死ぬビジョンは見えないな」


 スチルの意見にシュカが確かにと賛同する。


「まぁ、はぐれちまったもんはしゃーない! 切り捨てて次に行こう」

「無情だべ……」


 シュカが歩き出す。

 シュカに置いていかれまいと二人も歩き出したのだった。

 忘却の森……の一部なのだろうと考えつつ、シュカはこの森について考えていた。


(どこまで続いてるんだろうな。まっすぐ進んだら森を抜けることあるのかな)


 森というからには深く、樹海のような感じ。

 どこか不気味で、少し気味が悪い。


「……ぜんっぜん魔物でねぇな」

「だべ……。あ、なんか見えてきたべ」

「これは……集落?」


 森を抜けたその先にあったのは木の家みたいなものが複数個建てられている集落だった。

 集落では人のようなものが住んでいるらしく、その人の特徴はとても長い耳。


 すると、一人の少女がシュカたちに近づいてくる。


「おや、珍しいですね。エルフの里に人間がやってくるなんて。どんなご用ですか?」

「え、あー」


 エルフ。

 ファンタジーではお馴染みの種族だ。ここはエルフの里のよう。

 シュカはただ迷ってしまってここに辿り着いたと説明すると。


「そうですかそうですか。迷いの旅人さん。この森は深いですからね〜。送っていって差し上げましょうか? 私が」

「あ、いや……少しこの村を見てまわりたいな。ダメ?」

「よろしいですよ! 外界からはとても珍しく思えるでしょうからねぇ。じゃ、私がエルフの里を案内して差し上げます!」

「ありがとう。君名前は?」

「私ですか? 私はエルフのチルミルって言います!」

「よろしくねチルミル」


 エルフのチルミルは里を案内していく。

 里には精霊の泉と呼ばれる泉もあるようだ。この泉はかつて精霊がいたとされるらしい。


「ま、昔の話ですけどね! 今はいないんですよ」

「そうなの?」

「精霊様の機嫌を損ねてしまった人がいて。そこから精霊と仲が少し悪くなってしまって」

「ふーん……。仲直りとかはしないの?」

「精霊の里がどこにあるか私たち知らないんですよ。この森にあるとは分かってるんですが」


 精霊とエルフは元々は親密な仲だったらしいが、ある時を境にめっきり途絶えた。

 エルフ側はもう一度仲良くしたいらしいが里の場所が知らないのでいまだに仲直り出来ない様子。


「ま、いつ精霊様が帰ってきてもいいように泉は飲めるくらい綺麗ですよ! 美味しいですよ飲むと」

「……ほんのり甘い!」

「ん? これポーションになってるな。体力が回復している」

「本当だべ……」


 泉の水を飲むと体力が回復したようだ。

 エルフの里のめぼしい場所の紹介が終わる。予想はしていたが、質素な生活を好むエルフはあまり娯楽と呼べる施設がなかった。

 観光スポットと呼べるのは泉くらいで、少し退屈である。


「さ、そろそろ帰りますか? 私が魔法で送っていってあげましょー」

「ありがとう。頼むね」

「任せ」


 任せてと言おうとしたとき、チルミルの頭にゲンコツが飛んできたのだった。

 少し気の強そうな若い女性。


「外の世界にいくなつってんだろ」

「なんでだよー!」

「すまないね。こいつに送らせると絶対ここに帰ってこないから私が送っていくよ」

「ひどい! 私が最初助けてあげたんだぞ! 最後まで助けるのが務めでしょ!」

「それを口上に帰ってこないつもりだろう。外の世界は危険だと長老様が口をうるさく言ってるんだ。やめておけ」

「嫌だ! 私は外に出る!」


 チルミルはシュカに縋り付いていた。

 外に出るという憧れ。そこにやってきた外からの異物。言い訳にはピッタリである。


「嫌だ嫌だ嫌だ! 外へ出るんだぁ!」

「ダメだよ。精霊様が付いてきてくれないんだ。私らだけで外の世界は危険すぎる。せめて精霊様が一人でもいないと外へ出るのは無理なんだよ」

「じゃあ精霊の里探してくるもん!」


 チルミルが走ってどこかへいってしまった。


「まったく……。ごめんなさいね。今送るわ」

「いいんですか?」

「いいのよ。どうせ泣きながら帰ってくるから」

「でも……」

「心配? なら探してきてちょうだいな」

「うっす!」


 シュカたちはチルミルを追いかけていくことにした。


《クエスト:精霊の里を探して を開始いたします》







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