分岐点
忘却の森を進んでいく。
先を進んでみると、三つの道に分かれていた。
「三つの分岐……どこいく?」
「3手に分かれて向かった方がいいんだべか……」
「それだと配信してるのはシュカさんなのでシュカさんルートしか映りませんね」
「こういう時は〜」
シュカさんは分岐する道の真ん中に立つ。
「というかユメミは一度来たことがあるだろう? その時はどうだった?」
「適当にまっすぐ進んでいましたし……分岐なんてなかった気がします」
「道が変わっているのか?」
「かもしれませんね。あの花畑とかも知りませんし」
私たちが話していると、シュカさんが真ん中の道を指差していた。
「こっちへGO!」
「吉と出るか凶と出るか……」
「大丈夫大丈夫! 私を信じなさい! じゃ、突っ走っていこー!」
シュカさんが走り出した。
置いていかれるのも嫌なので私たちも走り出す。まっすぐ、木のトンネルを潜り走り抜けたその先にあったのは。
「え!?」
崖であった。私たちは勢いを殺せず崖から全員飛び出していく。
ファンタジーといえどこの世界には重力となるものが存在しているわけであり、私たちはただの人間である。
即ち、空を飛べるわけがない。
「ぎゃあああああああ!!」
「間違ってたんだべーーー! 死ぬーーー!」
「クソ……どうにかして落下ダメージを防ぐ方法は……」
「死は救済ですよ」
「受け入れんなよーー!」
コメント欄も笑いで包まれていた。
私たちは重力に従い落下していく。このままだと死ぬなー。なんて思っていると。
突然、私を突き飛ばす何かがぶつかってきたのだった。
「ぐっ……」
突き飛ばされた衝撃で、どんどん3人から離れていく。
そのまま地面に落下したのだった。
「ガァ、ガァ」
「なんとか生きてましたね……。はぐれちゃいましたか」
なんだあの烏は。
配信してるからあまり分かれたくなかったが仕方がない。
「さて、早いところ合流したいですが……。メッセージで目印を送ろうにも目印となる目印がありませんし……。それに下手に動いたら死ぬかもですね。落下ダメージが……」
死んでないだけ奇跡だろう。
下手に動かないで待つ。と言うのはいいのだが……。どこまで離れてるかわからないな……。
「やっぱ動きましょう。ジッとしているのは漫画描く時だけでいいですね」
やっぱ動くことにした。
とは言っても……。合流はしたい。
「たしか……あっち側から吹っ飛ばされてきましたね。あっちに行けば……」
私は木の上に登る。
木の上を走りショートカット。余計なギミックに出会わないためにはこれがもしかして最適解だったのだろうか。
私が木の上を走っていた時だった。
「バァ」
「わっ!?」
ピーターパンに出てくるティンカーベルを思い出させるような小人が目の前に急に現れたのだった。
思わず飛び退き、落下してしまう。
「あ、ごめん! 回復!」
優しい光が私を包み込んだと同時に落下ダメージが入る。
「……妖精?」
「妖精なんて下位互換と一緒にしないで! 私は精霊よ。風の精霊シルフ。あなた精霊の森に何のようかしら」
「精霊の森?」
「この大きな大きな森の名前よ! ここに来たってことは精霊王様に何か用かしら?」
「いえ、迷ってしまっただけなのですが」
「あら迷子。まぁ入り組んでるし道も変わるからそらそうよねぇ。出て行きたいなら案内して差し上げましょうか?」
「あーーー……。いえ、精霊の森に興味があります。案内していただけませんか?」
「任せなさい! じゃ、まずは精霊の里へ向かいましょ!」
私はシルフと名乗る精霊に案内されて精霊の里へ向かうことになったのだった。




