表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/87

ニュース

 朝6時。外は鳥の声が響いている。

 ベッドから上体を起こす。私は洗面所へ向かい、歯を磨き顔を洗う。


「さて」


 買い溜めしておいたカップ麺にお湯を注ぎ、テレビの電源を入れた。

 朝のニュース番組が放映されている。


「この近くで殺人事件……。物騒ですね〜」


 3分経ち、私は箸を割る。


『続いてのニュースは芸能の話題です。昨夜、女優の相澤 朱歌さんが復帰すると発表いたしました』

「え?」


 意外な話題だった。

 シュカさん、活動休止をやめるらしい。しばらくゲームやるぞ〜と意気込んでいた彼女にどんな心境の変化が?

 まぁ……人気女優だから待っていた人も多いんだろう。


『復帰するというのは本当ですか?』

『はい。ただ、まだ万全というわけでもございませんので量をセーブしつつ復帰という形になります』

『なぜ復帰を決めたのでしょうか?』

『え? あー、いやー……SNSとかを拝見していると私の復帰を望んでいる声も多くあり、復帰を決めました』


 シュカさんの会見映像が垂れ流される。

 

『いやー、まさか復帰するとは。いろんな試みも挑戦していくとのことですし、楽しみですね』

「今後のご活躍に期待ですね。次のニュースです。次はスポーツの話題です。昨日、怪我で休養していたプロ野球選手の台田 寛二さんが引退を発表しました』

「え」


 タイタンが引退するらしい。

 報道によると、怪我が治っても後遺症が残る可能性が高いと医師から言われて、球団側と話していたらしい。

 タイタンのコメントも発表され、タイタンは「心残りは大きいし、もっとプレイしていたかった。今まで応援ありがとうございました」と言っている。


「なんか立て続けにうちのクランのニュースが来ますね。次はしろんちゅさん辺りですかね?」

『音楽の話題です。麦野 素人さんが作曲した音楽が昨日、動画サイトに投稿されました』

「…………そこまで重要な情報ではないですね」


 案の定次の話題はしろんちゅさんだったが、他二人と違い音楽を投稿したってだけだった。

 しろんちゅさんはたしかこのニュース番組のOPの曲を提供してたんだっけ。そのよしみでだろう。


「私の話題なんか置いてけぼりですね。シュカさんとタイタンさん強い……」


 やっぱ同人誌秘密裏で売ってネタバラシはインパクト薄かったか。

 SNSもそれで埋まってるしな。昨日は私が載っていたんだが。まぁいい。


「さ、ログインしましょうか」


 私はログインすると、すでにアジトにはみんな集まっていた。


「来たね? っていうわけで! うちら、動画配信者になります!」

「……いきなりなにぶっ込んできてるんです?」

「言葉の通りだよ〜。このクラン、有名人が多い! 女優、元プロ野球選手、作曲家、漫画家二人、有名イラストレーター……。この人気がありゃ動画投稿界でも楽勝でしょ!」

「随分と舐め腐ってませんか?」

「はは……。なんかオラだけ有名人じゃないのは申し訳ないだ……」

「いいのいいの! そういう枠もいて良いよね! みんな了承してくれたしやろうと思うんだ!」

「私何も言ってませんけど……」

「え?」

「え?」


 そういう許可とられた記憶がないんだが。


「あ、まだ言ってなかったね! なります」

「了承以外の選択肢潰してますよねそれ」

「えー! 断るのかい!?」

「断りはしませんけど……」

「よっしゃ! じゃ、チャンネル名……ナイチンゲール始動だぁ!」


 朝早くからテンション高いなこの人。

 私はソファに座ると、スチルが顔をふいと背ける。スチルからは心なしか汗をかいているように見えた。

 あーー、つい一昨日のコミケか。単行本を買って私が原作だったということに気がついた感じだろう。


「……で、どうでした? 私の同人誌」

「……偉そうに絵が上手いなどと言って悪い」

「うんうん。その反応とても美味しいです」

「まさかこんな身近に原作者がいるとは……。二次創作はナマモノだぞ……。見られたく無い奴もいるのによく堂々と……」

「面白いと思ったから」


 面白い反応をしてくれるだろうなと期待していたのだ。実際面白かった。

 こういうドッキリは仕掛けていきたいが、顔はすでに割れてしまってるので原作者じゃないでーすでオンリーイベントとかに参加は無理だな。

 コミケだからしたまででオンリーイベントとかはさすがに行かない。


「ま、そんな驚いてくれるんでしたらやってよかったですね。さて、私は依頼をこなしてきますね」

「いってらー!」


 私はアジトを出て平原へと向かう。

 動画投稿って……。たしかに試みに挑戦していくとか言ってたけどこのことか。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ