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コミックマーケット出店!

「搬入完了、設営完了っと……」


 私は今現在、コミックマーケットに来ていた。

 オタクたちが集うコミックマーケット。私は興味本位で参加してみることにした。


 新規でオタクアカウントを作成し、一応出ますよということだけ告げた。が、案の定というべきかリツイートはなかった。

 まぁ、こっち側で参加するのが目的なので別に良いのだけれども。


 私が用意したのはちょっとした後日談のお話。

 一応編集には話を通してみたが、後日単行本に載せるというのならということで許可をもらった。

 

「緊張しますね」

「そうだねー」


 売り子を友人に一応頼んだ。

 友人は「作者だって伏せて参加するの? おもろ!」とか言ってノリノリ。卜伝先輩のコスプレまでして本気だった。


「私、時間見て抜けるので」

「もち! まぁ、あまり来る人いないだろうけど……」

「宣伝がアレでしたからね」


 話していると開幕したようだった。

 雪崩れ込んでくるオタクの人たち。ジャッツの作品が集まったエリアでも人でごった返していた。

 私の本に見向きする人は未だにおらず、暇である。まぁ、絵の方も一瞬でバレないように絵柄を変えているし、原作者ってことは気づかれないだろうが……。


「…………」


 私としては参加者側としてオタクの人たちの熱気を観察することができる。

 突き動かす熱、というのは実際当てられてみなければわからないものがある。情熱がひしひしと感じられてとても良い。参加してよかったな。


「試し読みしてもいいですか?」

「え、あ、どうぞ!」

「……後日談ifとしてめちゃくちゃ良く出来てる……。一部ください」

「ありがとうございます」


 良く出来てるのは作者だからです。ちなみにifじゃないよ。本編だよ。

 たまに一部買っていってくれる人もいて、あまり宣伝してなくても目に止まって買ってもらえたら良いという感じかな。


「さて、私は物色して来ます」

「いってらー」


 席を立ち、ジャッツエリアを見て回る。

 すると、列になったサークルがあった。壁に配置されてるサークル。気になったので並んでみることにした。


 列がどんどん進んでいく。

 そして、私の番がやってきた。


「おや、ユメミか」

「スチルさん?」

「まさかこんなところで出会すとは。驚いた」

「世界って狭いですね……。と、この漫画……」

「今回は都市おいの本にしてみた。どうだ?」

「いいですね。一部ください」

「ありがとう」


 スチルは現実でも割とムキムキだな。

 一部もらい、自分のサークルに戻る。本はあまりはけておらず、まだ積み上がっている。

 側から見れば可哀想なサークルとして映ってるのだろうか。


「ちなみに余ったらどうするの?」

「単行本が発売されたあとに通販で売ることになってます」

「プレミアじゃね?」

「ですね。そんな価値を見出してくれればですが……」

「単行本、明後日発売だよね? 楽しみだね」

「反応楽しみですよ。これと同じ内容ですから気づく人は気づくと思います」


 友人と話していると、スチルさんが抜け出して来たようで私のサークルにやってきた。


「ユメミも都市おいか。一部いいか?」

「構いませんよ」

「ありがとう」


 スチルさんに本を渡す。


「絵、上手いな……」

「ありがとうございます」


 そりゃ本職ですから。

 スチルさんが戻っていき、オタクたちは次々とやってくる。

 とりあえず色紙とかも描いておこう。売れるかどうかは分からないが、一応売り物として。


「やはり熱に当てられるというのはいいですね。創作意欲が私も刺激されて来ました」

「うんうん! こういうのいいよねぇー」










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