海の王様
水中から上がり、来た道を戻っていると玄関ホールのところで、3人と出会ったのだった。
シュカさんとヒャッキさんは疲れたような顔をしているが、スチルさんは普通に元気そうな顔をしている。シュカさんたちは激戦を繰り広げたらしい。
「もう疲れた~~~~! ボスきっついーーーー!」
「お二人は楽勝なモンスターだったんだな……」
「そうでもない。私のほうもものすごく強かった」
「私も少々苦戦しましたね」
「こいつら戦闘力おかしい」
どうやら全員ボスクラスの魔物を相手していたらしい。この海底神殿にそんなボスが三体もいるなんて……。一体ここはどういう場所だったんだろう。
いや……どういう場所かはなんとなくわかったが……。
「で、ユメミの頭のそれなに?」
「見つけた王冠です」
「え、いいなぁーーーー! 私も王冠が良かった!」
「シュカさんのほうは何だったんですか?」
「海の王笏っていう杖だよぉ~……。武器らしいしウチの魔法使いはラーだけだからラーに上げようと思って持ってきたんだけどさぁ! ねぇ、くれない?」
「いいですよ」
私は王冠を外し、シュカさんに投げ渡す。
「え、いいの? マジ?」
「そこまで興味ありませんから。スチルさんのほうは何かありましたか?」
「私のほうは海のマントと呼ばれるものだった」
水色に煌めくマント。
「シュカに差し上げよう。どうせなら揃えたほうがいい」
「マジ!? ラッキー! ありがとう! あとでキスしてあげる!」
「それは別に要らない」
シュカさんがノリノリで王冠をかぶり、マントをつける。
海のマントをたなびかせ、偉そうにふんぞり返るシュカさん。だがしかし、この場の反応はとても冷めたようなものだった。
シュカさんはいそいそと王笏をしまう。
「むぅ。しろんちゅとかならノリノリなのに」
「申し訳ございません。そろそろ海底神殿からお暇致しますか?」
「そうだね。ちょっと疲れたからログアウトしたい……」
「そんなに強敵だったんですか?」
「二人で戦うようなモンスターじゃなかったんだよ。ボスってそういうのだし……」
シュカさんは溜息をついた。
そして、海底神殿の扉を開け、私たちは海上へと上がる。砂浜に上がると、しろんちゅさんとタイタンさんが体育座りで待っていたようだ。
「遅い」
「ここまで時間をかけたのだ。収穫はもちろんあっただろうな?」
「じゃじゃーん」
「おぉ……! これぞまさしく海の王様! シュカの美貌の前に我々はかしずくしかあるまい……」
「うむ。苦しゅうないぞ」
「それ殿様だろ……。王様じゃねえよ」
「これだよこれ! 今のみんなに足りないのはこのノリだよ!」
「と言われましても」
別にそういうの興味ないんで……。




