海底神殿 ②
私は壁にたたきつけられた。
宝石を取ったことで出現した巨大な蛇。儂のお宝を盗むなと喋っていた。魔物がしゃべるのか。いや、それはまぁどうでもいいとして。
こいつ、ボス級のモンスターだな。
「っし、やりましょうか」
「儂の宝を返せェ!」
「嫌ですよ」
私は看破スキルを発動。
弱点は喉元、尻尾の付け根付近の二つ。私はダガーを片手にウミヘビの背後に回り込む。そして、急襲スキルを発動し、弱点にダガーを突き刺した。
ウミヘビはいってぇと泣き叫ぶ。
「大事な宝物なら大事に大事にしまっておくべきだったでしょう。私のような略奪者に奪われる可能性があるんですからね」
「こんの……!」
ウミヘビは巨大な体で私の周囲を囲みだした。
私は囲まれぬように逃げ出そうとしたが、判断が遅かった。すでに囲まれてしまっている。私を逃がすまいと体で囲み、そして、徐々に範囲が狭くなってきている。
頭上には蛇の顔が。上から脱出も無理か?
「一瞬の気の弛みが命取り、ですね」
私は蛇の身体を上っていく。
蛇は大きく口を開けて、私を食べようとしてきているが、私はダガーをふるい、蛇の顔をのけぞらせる。
急襲スキルを使ってしまったが……。のけぞらせる威力を出すためには仕方がない。
「っと、脱出成功」
蛇はとぐろを巻いている。
あの中にいたらいずれ絞め殺されていたことだろう。
「くそう……。貴様ぁあああああ!」
勢いよく噛みついて来ようとしたので、私は回避。
壁にかみついた蛇。壁が砕ける。そして、その壁は溶けているようにも見えた。しゅうう……と煙を上げている。
「毒ですか」
「死ねぇえええええ!」
私は回避しようとしたが、回避した先に尻尾の攻撃が迫っていた。
私はダガーでパリィ。だがしかし、尻尾の攻撃を防ぐことに集中しすぎていたためか、噛みつき攻撃が目の前に迫る。
私は冷静に頭を落ちつかせる。そして、噛みついてくる牙をダガーで受け止めた。
「噛み砕いてやるからのぅ!」
「チッ」
私は抵抗をやめて口の中に入る。そして、口が閉じられていく。
ダガーを手にして、私は口の中を攻撃し続けることにした。だがしかし、口が一向に開く気配はない。
「さて、どうしたものか……。このまま奥へ行くと消化されてしまいそうですね」
私が悩んでいると、先ほど手に入れた水晶玉が何やら光りだしていた。アイテムイベントリからその光輝いている水晶を取り出す。
これは一体何なのだろう。鑑定してもわからなかったが……。もう一回鑑定してみると、これを飲み込めという指示が出ていた。
「……これを飲み込めって無理でしょう」
まぁ、従ってみるが。
私はあんぐりと大きく口を開けて、その水晶玉を口の中に入れる。私の口の大きさとぴったりぐらいで、私は頑張ってその水晶玉を飲み込んだ。
こぼれないように手で口を押えて。
《海鳴りの水晶を吸収しました》
《スキル:海神 を取得しました》
というアナウンスが流れてきた。
海神とはどういうスキルなのだろうかとみてみると、大量の水を生成するスキルらしい。そして、水中での移動速度強化、水中での呼吸可能と、水中戦をするにあたってはめちゃくちゃうれしいスキル。
私はとりあえず使ってみることにした。
「海神」
すると、私の目の前に大量の水が流れ出してくる。
「おわっ!?」
大量の水は早くも蛇の体内を埋め尽くした。
私は水の中にいるようで、身体が浮き始める。が苦しくはない。海神スキルの水中効果は永続的に発動するらしい。
すると、突然光が差し込んでくる。
私はその大量の水とともに吐き出されたのだった。
「なんじゃこの大量の水は……。げほっ、げほっ」
「ふぅ、やっと出られましたね」
新たに海神スキルを取得できてよかった。これがなきゃ外へは出られなかっただろう。
「じゃ、次はこちらから行きましょう」
勝つこと以外、私は見えていない。
この蛇もいずれ漫画に登場させよう。




