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海底神殿 ①

 六月がやってきた。

 夏の時期。このゲームでも夏イベントというものが開催されるらしい。


「夏だ、海だ!」


 ビキニ姿のシュカさんが走り出す。

 その隣ではヒャッキがものすごくどんよりしていた。というのも打ち切りが決定したということを告げていたからだ。

 打ち切り。私はされたことはないが危機に陥ったことはある。

 読者からして、一話、二話で引き込めなかったら読まれない場合が多い。「あ、これつまんねえな」って思われて飛ばされてしまう。その状態になってしまったんだろうな。


「ふっ……。懐かしいな。この水辺の洞窟で貴様と我でソルトゴーレムとの激戦……」

「ですね」


 あの時は苦戦したが、今は火力もあるしもう少し早く倒せそうだ。

 シュカさんが海へ飛び込み、泳いで沖まで向かっていた。


「ん?」


 シュカさんがおーいと私たちを呼んでいる。

 私たちは泳いでシュカさんが呼ぶところまで向かう。シュカさんのところにたどり着くと、シュカさんは海底を指さしていた。


「ねぇ、あれなにかな?」

「建物……のように見えるな」

「集落か?」

「それにしては建物があれひとつというのは気になりますね。ここはだいぶ浜から離れてますし、はるか昔に水没した集落という線はないと思います」


 そもそもそんなはるか昔に沈没した建物が今なお形を保っているとは考えづらい気がする。それに集落ではない一つのデカい建物があるのは変だな。

 

「行ってみようよ!」

「構わんが……。モンスター出るんじゃないのか?」

「じゃあバトルチームで!」

「となると、行くのは私と、シュカさん、スチルさん、ヒャッキさんですか? ラーさんは今いませんし」

「うん! いこいこ!」

「じゃあ準備しないとですね」


 あの海底まで潜るのはいいが、息は続かない。

 どうにかして探索できる分の酸素が欲しいところだが……。海辺の町にダイビング用の酸素ボンベが売られていた気がする。ファンタジー世界にそんなのあるんだとかつっこみたかったがまぁいい。

 行く人数分購入し、私たちは海底へと潜っていったのだった。


 透き通るような海では視界はとてもクリアだった。

 その建物の前にたどり着く。建物には月のようなマークが扉に施されていた。シュカさんは扉を開ける。中は水がなぜか入ってきていないらしく、私たちは酸素ボンベを外したのだった。


「水が入ってない? こんなに囲まれてるのに」

「それになんつーか、神殿みたいな場所だな。祭壇があるしよ」

「異質。海底神殿といったところか。ここにはお宝が眠ってるやもしれぬ。手分けして探したほうが効率がいいだろう」

「そうだね。じゃ、手分けしてお宝さがしじゃーい!」


 ということになった。

 私はまず祭壇の上を調べてみる。これはもしかしなくても資料に使えるかもしれない。デザインはこのまま使用しないが、祭壇としての資料は十分だ。

 それに、こういう祭壇や神殿での宝の手に入れ方は謎解きと相場は決まっている。どこかに謎があってそれを解いたらお宝が手に入るんじゃなかろうか。


「……お宝よりまずは」


 バックボーンが知りたい。

 この海底神殿は何のために作られたのか。ここは何の神様を祀る祭壇なのか。海底に神殿を作った意味とは? いろんな設定があるのだろう。それを知りたい。

 どこかにありそうなものだが……。


「祭壇に続く道、魚が泳いでいますね。小さい魚が」


 何も思いつかず、道中の魚が泳ぐ水の中を見てみると。

 水底にきらんと光る何かがあるのが見えた。私は水の中に飛び込み、そのきらんと光るものを手に取る。水晶玉のような、手に収まる球体の青い玉。


「これは謎を解くカギになりそうですね。持っておきましょう……」


 その時、地面が揺れる。

 そして、水から勢いよく何かが飛び出してきた。


「儂のお宝を盗むなぁ!」

 

 やってきたのは巨大な蛇だった。













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