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上位クラン”イザヨイ”

 スチルが復活し、立ち上がる。

 私はスチルのことを掲示板で少し調べてみたが、割と強いプレイヤー……というか、現ランキング1位のクランに所属するプレイヤーのようだ。

 難しい依頼もこなす超熟練者のみで集められたクラン”イザヨイ”。そこに所属しているという情報。


 まぁ、これだけ強かったら納得がいく。

 私自身、スピードに特化させているからそれに対応できている時点でも上澄みみたいなものだろう。


「やはり強者との戦いは私を成長させてくれる」

「そこまで私は強くないですよ。レベル差もありますし」

「謙遜はするな。それにしても貴殿は何者なのだ? プロのゲーマーという話は聞かないが……」

「んー」


 漫画家ですとは言いたくないしな。

 私自身、運動神経は子供の時から自信があったといえど、私がここまでやれているのは少年漫画の心意気のほうがでかい気もする。


「どうだろう。私のギルドに来ないか? 君ならばリーダーが提示する条件も軽々と満たすだろう。いや、即戦力になる。どうだい?」

「遠慮しておきます。私は所属してるところあるので」

「ふむ。ナイチンゲール……といったか?」

「はい。いいところですよ」

「ふむ……」


 スチルさんは何か考えている。


「私も所属することは可能か?」

「えっ」


 いきなり提示してきたこの人。

 うーん、どうだろう。


「今のクランはいいんですか?」

「構わないんだ。私自身、あそことはあまり合わないような気もしてね。どうもリーダーが私としてはあまり好ましくない。君みたいな者がいればいいなと思い勧誘したのだが……」

「……環境が良くないんですか?」

「ノルマというものが存在していてね。一介でもこなせなかったら除名。ゲームとしては上を目指すための行為として良いのだが……。私も現実の仕事の関係上、ログインできないもあってね。一か月のノルマをこなすために必死なのだ」


 なるほど。


「私のところもノルマは一応ありますが……」

「ふむ?」

「私は免除してもらってますし言えばわかってもらえると思います」

「そうか。なら、頼んでもらってもよいだろうか。私も今のクランをやめてくる」

「今ですか? 入れないかもしれないのに……」

「あぁ。今がいい。思い立ったが吉日というだろう。入れなくても、クラン所属しないで気楽にやるのも悪くはない」


 私はシュカさんにメッセージを送ってみると、二つ返事でアジトに連れてきてと言っていた。


「路地裏……」

「かっこいいでしょう?」


 アジトの扉を開ける。


「どもー! ようこそ! イザヨイを抜けてやってきたんですね!? 歓迎しますよ~げへげへ」

「普段とキャラ違くないですか?」

「いいんだよー! イザヨイにいたってことは強いんでしょ!? これで強敵が現れてもたくさんこなせるじゃん!」

「まぁ……強敵が現れたらですけど……」

「ふっふっふ。ウチも人数増えてきた……。上位目指すのも夢じゃない!」

「この人数はまだ夢じゃないですか?」


 私、タイタンさん、しろんちゅさん、シュカさん、ラーさんにヒャッキさん。ここにスチルさん加えても7人だし数足りなさすぎるだろう。

 スチルさんがソファに案内され、ノルマについての話を聞いていた。


「ノルマそれだけなのか?」

「え、少ない?」

「イザヨイはこれの10倍くらい存在していた」

「マジ? ストイックすぎるだろ……。さすがにそこまでクランのためだけにさせらんないわ……。どんだけガチ勢なんだイザヨイ……」


 それの10倍以上のノルマ……。大体の時間をノルマこなすためにやらないといけなくなるんじゃないだろうか。

 まぁ、そんだけの数をこなしているからこそ上位にいけるんだろうが……。そこまでするのか。


「まー、そんならこんだけは余裕かな? これより増やすつもりは今のところないから安心してねぇ」

「そうか。助かる」

「私も時期が来たらノルマとか言ってられないくらい忙しくなるだろうしねぇ」

「……復帰するめどが?」

「復帰? ナンノコトカナ?」

「女優の相澤 朱歌、ではないのか?」

「えっ、えーっ? やっぱわかっちゃうー? スターの放つオーラやべぇよなー」

「……いや、もろアバターをぎり似せてるからじゃないですか?」


 わかる人が見れば普通にわかると前々から思っているが。


「それに……あそこの男性はプロ野球で見たことがある……。有名人が二人も存在するのか」

「二人……だと?」

「しろんちゅさん、いたんですか?」

「二人ではない! 我らだって有名人であるぞ!」

「そうなのか?」

「聞いて驚くがいい! 我は音楽を生業にしている素人しろとであるぞ!」

「……聞いたことがある」

「はーっはっは! だろう? この俺様の音楽は世界にとどろいている……。知らないほうが珍しい」


 すごい自信だ。

 まぁ、あまり世間に疎い私でも知っていたぐらいには有名ではある。もともとボーカロイド曲からやってきたらしいという経歴も知っているぐらいには。


「このギルドはすごいな。よくもまぁ無名のまま……。これだけの有名人がいて話題になってないとは」

「上位に行って話題になるつもりだったから……」

「できてないからなそれ。ま、いらっしゃい」

「ま、私たちのことはいいでしょー。ほらほら、早く申請してちょ?」

「そうだな。これからよろしく頼む」


 スチルが仲間に加わった。












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