プール底の悪意 ②
プールの幽霊。作中ではどう対処したんだったか。
ウミウシが水が抜けていったプールに戻っていく。私はウミウシの手を切り裂くが大したダメージにはなっていなかった。
切られた手が再生していく。
「ねぇ、あまりダメージ入ってないよ!? ってかめちゃ再生してる!? どうやって倒したんだっけ!?」
「どうだったかな……。描いたのは5年位前ですからね」
「原作者ちゃんとしてよーーーっ!」
記憶の糸を辿っていけ。
たしか……。
「塩?」
「それだ! 大量の塩を使っていた気がする!」
「家庭科室にあると思います。取りに行きたいところですが……」
「……私取りに行くね?」
「逃げましたね」
びゅんっと素早く家庭科室へ塩を取りに行くシュカさん。
追いかけようとしていたので、私はダガーでウミウシを攻撃。べちゃっと切られた手が地面に落ちる。何とも気持ち悪い。
ウミウシは私にとびかかってくる。ひらりと躱すと、ウミウシの体液が私に飛び散る。
見る分にはいいが、実際体験するとものすごく気持ち悪いな。
(こんなの私描いてたんですね。再現度がえげつないと言いますか……。うへぇ)
早く帰ってきてほしいという思いが切実である。
「持ってきた! 塩!」
シュカさんが到着。
「って、なにそのげんなりした顔」
「ちょっと思いのほか気持ち悪くてですね……」
「デザインしたのあんたじゃんっ!」
「昔の私ってどうかしてたんですかね。こんな気持ち悪いもん生み出して……」
私は塩をわしづかみにして、ウミウシに振りかける。
ウミウシは苦しみ始めた。そして、徐々に体力が減っていっている。やはり塩だったか。私は塩をもっと手につかみ、そのまま拳でぶん殴る。
感触がとても気持ち悪い。ぐにょんとスライムを殴ったような感覚。
「うひいいいいいい……」
「なぜ遠距離攻撃をしない!」
「塩で攻撃するには殴るしかないですから……」
「そりゃそうなんだけど攻撃判定になってるかなそれ」
私は塩を振りまく。
「悪霊退散ッ! 悪霊退散ッ!」
「情緒が不安定すぎる」
もがき苦しむウミウシ。
ウミウシが動かなくなったかと思うと、塵になって消えていったのだった。怖い話とかそういう怪異系は好きなんだが、こういう気持ち悪い系はどうも苦手なのがよくわかった経験だった。
コラボを見据えるなら金輪際こんな気持ち悪いものをデザインはしない。そう誓う。
「終わりましたね。これでプールの幽霊は終わりですね。桜の木の下のほうはどうなっているでしょうか」
「おーい」
心配していると、二人がやってきた。
「こっちも終わったみたいだな。同じくらいのタイミングで終わったのか」
「おー、どうだったそっちは?」
「ふん。児戯に等しいものであった。いたって単純で……とても切ないものであった」
「まぁ設定的にそうだろうね。七不思議で切ない設定がないほうが珍しいよね? 原作者さん」
「まぁ、そうですね。だからこそここがえげつなくなってるんですが」
「ずいぶんとげっそりしたな」
「無理もないだろう。あれだぞ」
「あぁ……。ってかデザインしたのお前だろ。なんでそんな削られてんだよ」
「実際に体験してみないとわからないことってありますよね」
もう金輪際あのような化け物は描きません。
「まぁいいよ。最後の七不思議いってみよー!」
「つっても二宮金次郎じゃないやつだろ?」
「ふむ……。まず我らに必要なのは情報だ。都市伝説研究部の奴らはこの世界に来ているのだろう? 奴らが何か知っているはずだ」
「んじゃ、都市伝説研究部の部室へ行ってみますか!」
「「おー」」
最後はロッカーの幽霊か。えげつないデザインにしてないから大丈夫だろうが、アレに関しては未知数だからな。攻撃方法とかバトルの方法は指定していないから運営次第である。
だから私も一応初見ではあるのだ。




