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不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。  作者: ちょすニキ


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お休み

 祝勝会から次の日。俺は地球時代にやれることはできなかったことをやろうと早起きをした。


 「ふん♫ふん♫ふんふん〜」


 ちなみになんだと思う?


 「make she her〜♫」


 まぁ答えは簡単だ。

 ──料理だ。


 俺は地球時代、最初の方でしか作ることができなかった。理由は未だに分からない。力加減が悪かったのかと言われればそれまでだし、普通じゃない力を手にすればそうなるのかと結論づけてきた。


 だが今思えば、それだけではない気もするのが人間の深層心理なのだろうか?


 まぁとりあえず⋯⋯俺は17年も生きてきて超久しぶりにこうして誰かの為に朝食を作ることができたのだ。職業という有り難いシステムのお陰で。


 「肉はこれでよしっと」


 あとは汁物と副菜だな。


 「⋯⋯ん?なんかうるさいな」


 ガシャン!カラン!ドガン!


 上から嵐のような勢いでドタドタ犬のように走り回る騒音が聞こえ、俺はやっと意味が分かって爆笑していた。


 「⋯⋯はっはっはっ〜そうだよな」


 彼らの意識で言えば、主人が起きているのにぐうたら寝ている時間はない。

 というより、今はいつもだったらあいつらは起きている時間だ。要は寝坊だ。


 まぁ単純に疲れていたんだろう。俺は怒る気も詰める気もサラサラない。むしろ良い機会だった。


 机にお洒落っぽいマットを敷き、彼らが息を切らして来る時に備え、俺は水とピッチャーを用意して待機。


 タバコを片手に優雅な朝を迎えていた。


 「ご主人様!!!」

 

 「ようガル、おはようさん」


 なんの問題なく俺が笑って手を軽く上げて返すとその場で死んだように土下座を噛ましていた。だから止めてくれ、その態度。


 「お疲れだったようだな。朝ご飯を作っておいた。あとは配膳するのみだが、先に水を飲んでおけ」


 「もっ、申し訳ありません!!」


 「ご主人様!!」


 ガルが終わると次はセレーヌ。その次は⋯⋯と、永遠に終わらない話に俺は全員分かってるからとりあえず水を飲めと笑って強引に座らせる。

 

 「ほれ、朝ご飯だ。昨日はご苦労だったな。とりあえずしっかり朝飯を食って、ゆっくりしろ、今日は」


 「いえしかし⋯⋯」


 「なに、休めと言っている俺の言葉が、聞こえなかったのか?」


 鼻で笑いながら問い掛ける俺にガルたちは申し訳なさそうに飯を食べ始める。


 「さて、今日の予定は無い。俺は鍛錬と街の様子を見物に行ってくる」


 「ご主人様の朝食⋯⋯は」


 「俺はあんまり食べない派だ。さて、俺は行ってくる」


 何やら後ろで色々声が聞こえたが、俺は面倒くさいのでトラシバとはまた変わった新しい街⋯⋯カルデアに向かった。





 「聞いていた話より良いな」


 「あら冒険者さん、そうなのよー!うちは冒険者の方でも気に入っていただけるような首飾りとか指輪を売っているのよ〜?」


 早速お土産ついでに自分の買ってみようという欲求の為、アクセが売っているお店や食べ物、様々なものが売っている商店通りにやって来た。


 食の方は分かりやすいくらい某海賊漫画のようなメニューがそこら中に並び、野菜などの栄養はないように見えるような街で、装飾品にはそこまで期待していなかったんだが。


 「⋯⋯申し訳ありません、この宝石でしょうか?こちらなんといいますか?」


 「それはブルーダイヤよ、ちなみに証書もあるから本物よ?」


 視線を落とすと価格は日本円にして35億。こんな所に平然と置いてあるということはダミーだろう。俺の鑑定も相まって正確だ。


 「宝石も色々あるんですねーありがとうございます」


 「いえいえ!もう、こんなに買ってもらっては⋯⋯こちらも是非!なんて言いたくなっちゃうんだけどね」


 「とんでもない。こちらを手に入れるのにあなたがどれだけ苦労された事か」


 軽いお辞儀をして離れ、俺は路地裏に入るとアイテムボックスに荷物をしまい、大方見終わったので我らがAIレベルの力を持った相棒⋯⋯渚ちゃんに聞いてみようと思う。


 "どうだ?"


 'トラシバの街と比較すると、かなり活気があって食事の質や量も圧倒的です。人通りの層もかなり若く、日本の街で言うところの渋谷などの都心をイメージするのが早いかと思います'


 なるほど。俺も似たような感覚を覚えたが、良くも悪くも若者の街って言ったところか。


 "人気商品やその他の詳細な情報は取れたか?"


 'はい、食材での売れ筋は右に、武具を含めた装備品のランキングは左にご用意しました'


 渚ちゃんはこんな事もできる。念の為将来アナリストや他の専門家を作ろうかと考えていたが、これじゃ顔負けだな。所詮は情報だし。


 「中々だな」


 食材は予想外。まさかの野菜の方が売れているとは。


 「こっちは両極端だな」


 武器は初心者装備の鉄剣とミスリル製の物が9割を占めている。もしかして中間層に何もないのは本に書いてあったドロップのせいなのか?


 '仰る通りでございます'


 "おお、やっぱり?"


 'あの著書の情報を信じるのであれば、ダンジョンにはドロップ品とボスを倒すことで手に入るクリア報酬というシステムがあります。その中に入っているレアリティ次第ではマスターの考える思考で合っているかと思われます'


 「だとすると今後、尚更ダンジョンを攻略していく必要がありそうだな」


 もちろん転売だ転売。俺は自分で自分の剣を作る為に向こうでも死ぬほど鍛錬してきた。2重の意味で。


 「さて、仕事としての散策は終わりだ。あとは渚、お前もしっかり休んでこの観光を楽しむといい」


 'はい!ありがとうございます'


 ⋯⋯やっぱ人間みたいだよな?


 "違います"



 そんな痴話喧嘩にも似た俺と渚のやり取りを続けて暫くした後。俺は思わぬ所でまた運命的な出会いを果たすことになる。

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