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不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。  作者: ちょすニキ


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17/102

17話 今後の予定とアレの品切れ



「あ~!今日も運動したな〜」


ガゼルの放ったその一言は全員の心にぶっ刺さっている。

この男にとっては、"あの程度は戦いですらなかったと"。


「お疲れ様でした師匠」

「お〜、アレックスも、横にいる二人も、今日はよく頑張ったな!」

「ははは⋯⋯」


全員ガゼルの見せる"運動"に愛想笑いを向ける事しかできなかった一同だった。その後も色々な雑談をしながら歩き続けていると、無事宿に到着した。


「着いたな」



ガラン。


「あら!お帰りなさい!」

「帰りましたよ。今日の夜は何が出たりしますかね?」


ガゼルの言葉を聞き、即座におばちゃん今日の食材と予定を一確認している。


「今日はアムボアのモモ肉とそこから取った出汁でスープね⋯⋯後はその他気分って感じだよ」

「ありがとおばちゃん!」

「あいよ」


そのままガゼル達は近くの机に座る。現在は大体午後の4時半過ぎくらいだ。


'とりあえず一悶着あったが'

何よりも、アイツらの依頼が成功してよかった。まぁギルドの奴らにも──少しは見返せたみたいだしな。


周りの奴らの反応的にも、かなり見返せてたとは思う。まぁこんなもんでいいだろう⋯⋯後はコイツらが蒼き星(自分達)の物語を紡いでいけばいい。


俺はあくまでその最初の一歩を踏ませてやるのが役目だ。

まぁあとは細かいところだけを伝えて、色々自分のことやこの世界の事を進めていきたい。


ぶっちゃけ俺的には、これから早くスキルの検証をしたい所だ。まぁ魔力とかスキル、職業やそれに対する必須となる構造を知っていかなければならない。


"無知というのは最大の恥"


これを最初に言った奴は天才だと思う。知らない事を恥ずかしいから聞けないなんて言い訳も過ぎる。しっかりと1歩ずつ知っていこうと思う。


「師匠はこれからどうするんですか?」

「そうだな。これから色々生産的なこともやっていきたいところなんだよな」


煙草に火を点けて一吸いしながらそう話すと、アレックスは頷きながら口を開いた。


「そうですか!俺達蒼き星はもっと強くなりたいと思っていまして、依頼を受けながら比較的弱い魔物で実戦経験を積み、精進したいと考えています!」


'ほう⋯⋯成長したな'

口から細い煙をゆっくりと吐きながらしみじみと話を聞いているガゼル。


『それからこれからも⋯⋯』


まぁ、丁度良いといえばいいのか。別に弟子ではあるが、俺もコイツらにずっとベッタリ付ける訳では無いしな。これから毎日沢山のイベントや苦労、辛い事や悲しい事があるだろうし、何かを得て何かを失う物もあるだろう──そんなコイツらの門出だ⋯⋯今日くらいは羽目を外して盛大にやるとするかね。


「⋯⋯ふぅ、アレク」

「はい!」

「急だが、夜の予定が決まった」

「はい、どのような予定でしょうか?」


三人はまるで待てと言われている犬のようにポカンとしながらガゼルの言葉を待っている。


「この後夜の鍛錬をやる流れだと思うが、ちゃんとした鍛錬は今日で最後だ」


「⋯⋯師匠!この街を出ていかれるのですか!?」


凍ったように10秒程固まった空気から三人がハモリながら立ち上がり、嫌そうに眉を寄せながらガゼルに尋ねている。


そしてその様子をガゼルは苦笑いで眺めていた。


'こりゃ⋯⋯随分と懐かれたもんだな'

必死過ぎて飲み物こぼしてるし。


「おいおいこぼれてるって」

「あぁ〜すみません!」


それからすぐにおばちゃんが拭くものを持って来てもらい、全員でこぼした飲み物を拭き取る。


'まぁ、そうか'

この街で仲間なんて呼べる奴は自分達以外に居なかったんだもんな。そりゃこういう反応になるのか⋯⋯俺はコイツらにとって初めての友達みたいなもんだもんな。


「ほらアレク⋯⋯最後まで聞け」


微笑みながらそう言うと恥ずかしそうに座る蒼き星のメンバー達。


「まぁ、要約して喋ると、今までみたいに時間をたっぷり使って鍛錬するのが最後ってだけだ。まぁ勿論?お前達が調子に乗って似たようなことをしているようだったら──お前ら全員コテンパンに叩きつけてやるから問題ない⋯⋯安心しろ」


ガゼルの言葉が三人に緊張感を生ませ、真剣な表情で見ている。


ピィ〜ン。

三人の目には火を点けるガゼルがいつもより怖く見えている。そう、ついさっき前の男は──いつでも強いのだ。殺ろうと思えばいつでもやれる。


『⋯⋯ふぅ』

当たらないように煙草の煙を吐くガゼルがさっきの姿と重なる。


それを見たアレックス達はすぐに口が開いた。


「調子に乗るなんて有り得ないですよ!」

「そうよ!そんな事あるわけないわ!」

「2人の言う通りだ!」

「⋯⋯⋯⋯」


ガゼルはゆっくりと吸いながらそう必死に話す目の前の三人を見つめている。


'まぁ最近まで落ちこぼれなんて言われたワケだし'


コイツら──多分自分の実力の一端くらいしか理解できていないだろうな。まぁそれも含めて⋯⋯これからなんだよな〜。今はまだゴブリンとかを相手にするレベルだが、多分今の質と量で更にトレーニングと実践というのをやりまくれば確実に半年1年後には──今度はウルフをゴブリンのように圧倒出来るようになるだろう。


まぁあくまでそれが最低ラインだ。コイツら次第でいくらでも伸び幅というのは変わる。まぁ半年1年あれば10倍以上は変わると個人的に思っている。なんせ数値がモノを言う世界だしな。


まぁそれにしても、コイツらなりに自分達が恵まれているという自覚はあるようだが⋯⋯ちゃんとその真価を理解できてはいないだろう。恐らくそこまで経たない間に目に見えた効果がいくつも見えてくるはずだ。


 そして。気付かずに実力が伸びている事に気付き、段々と内にずっとあった余裕や願望、最終的には欲望が表に現れてきて──過程は色々あるだろうが結果としてゾルドの様な奴になってしまう。


そんなの人間なんて何億って繁殖しているわけだから色々過程なんてのはあって当然。大事なのは""そういう道を辿ればほとんどの確率で駄目になってしまうという所""だ。


今の話をしていても何も変わらない。何故ならそれは今のままで到達した未来の話だからだ。変わらない人間なんてほとんどいない。たった数年で変わる人間もいれば、数時間で変わる人間もいる。


まっ、とにかくコイツらがそうなってしまうのは俺としても少々嫌な気持ちになるからな。


「それはさておき、お前達も依頼を受けるんだろ?時間を割くにはキツくなって来るはずだ。時期的に俺も少しずつ生産的なこともやっていきたいから時間がそんなに取れなくってくる。まぁ時間を空ければいいのだがな。しかしお前達自身で考えて考えて試して、修正したりしても──もしそれでも分からない事が出来たら呼びに来い。内容次第では指導する。

 これから考える事と試していく事が何よりも重要になる。

 まあ少し真面目な話はこれくらいにして、お前達が更に精進することを願って!今日の夜⋯⋯規模はまぁ小さいが、祝勝会でもやるぞ!」


「やった!」

「久しぶりのお酒飲み放題!」

「楽しみであるな!」


嬉しそうな反応を見せる三人にガゼルは笑顔を見せながら立ち上がり、アレックス達も同様に立ち上がった。


「それじゃあ今が夕方手前だし、2刻後くらいにでもに集まろう」


「はい!ありがとうございます師匠!」


「「ありがとうございます!!」」

「ああ」


そのまま3人とガゼル達は各々の部屋へと帰っていった。




ガチャン。


自分の部屋へと帰宅したガゼルは、ベッド手前の少しのスペースにちょこんと座る。


「2時間も空いたな」


そう余韻を残して呟きながら天井を見つめ、無意識にポケットから煙草の箱を取り出して中を見ると──恐ろしいことに気付いたガゼル。思わず美しい顔が台無しになるほどの焦り。


「マズい────」

「ご主人様!?どうかなされたのですか!?」

「ストックが─────」

「え?す、すとっく?」


煙草が⋯⋯⋯⋯⋯⋯無い!!

今日だけで何本吸ったんだ?俺。確かに鞄の中には数箱入れておいたが、あまりにもなさ過ぎる。


足を組みながら座っていたガゼルは両腕を更に組み、瞳を閉じて今までの事を思い出す。


─「あ~最悪」

─「そうだな〜」

─「やべぇ、寝る前に吸ってから寝てぇわ」

─「おはようの一服」

─「腹減ったから一服しねぇと」

─「もう食べ終わったから食後の一服」

─「誰かに会った記念──」


'うん'


ピィ〜ン。


そう一言発した直後には⋯⋯もう口元に煙草があり、ライターの開閉音が部屋の中に響いていた。


マズイぞ──。非常にマズイ。ヤニカスの俺に異世界で煙草が吸えないなんて考えたことがなかったぞ!?


「非常にマズイ」

「どうかなされたのでしょうか?何か必要なものが?」

「いや」


これはマズイぞ。ゆっくり着実にやっていこうと思っていたが、さっさとスキルの検証をしないといけない理由がこれで出来てしまったな。


ガゼルはセレーヌの身体を上から下まで視線を動かす。


'セレーヌもずっとこのクソ汚い服のままだったな'

もっと早く気付いてやれば良かったな。これじゃ俺の奴隷は永遠にこういう待遇をさせてやると言わんばかりじゃないか。それだけは納得いかんな。


「セレーヌ」

「はい!ご主人さ───」


近付こうとした瞬間に放物線を描いて袋が飛んでくる。


そのままセレーヌは受け取った袋の重みと音ですぐにこの袋に何が入っているのかを理解した。


「ごっ──」


念の為中身を確認するセレーヌ。


「ご主人様!」

「ん?」


中身は大量の銀貨。セレーヌがビックリしすぎて大声を上げてしまうのも納得だ。日本円にすると、およそ300万円に相当する量だ。


セレーヌは思わず固唾を飲み込みながら何回も高速瞬きをガゼルに見せる。


「こっ、この量のお金はやめてください!」

「なんでだ?」

「し、心臓に悪いですよ⋯⋯持って逃げ出すとかあげるとか考えないんですか!?」


ビックリした自分を戻す為に少し声を張りながらガゼルに猛抗議しているセレーヌ。


「ん?あぁ〜。まぁそれはいいんだけどよ?その格好じゃ⋯⋯色々まずいだろ?とりあえず金額は置いておいて、お前が欲しいと思う服を買ってこい。その範囲で買うなら金額は問わない 」

「どっ、どういうことでしょうか!?」


完全に困惑しているセレーヌ。煙草に火を点けながら、ガゼルは吸いながら話し始める。


「ん?いや、どう考えてもそのボロボロの布切れで街を歩かせたり、くそ微妙な気温の時でもその格好はマズイだろ?普通に考えて。その点、俺も俺だ。全く気付かないままここまできちまった。  

 まぁそれで⋯⋯その金額の中で全身と着回し用の服も買ってこい。もし何か揉め事とか男に追われてるとかだったら場合は、遠慮なくその金を投げつけてここまで走って帰ってこい。お前の命よりその袋に入っている物は大事じゃねぇから」

「ご主人様、私のような奴隷にそのような」


下を向きながらそう話すセレーヌに、ガゼルが作ったような悪魔地味た笑みを浮かべ「お尻ペンペン⋯⋯」とニヤニヤしながらセレーヌに一言呟く。


「わ!分かりましたよ!もう!買ってきます!本当にありがとうございます」


頭を下げるセレーヌ。ガゼルは全然良いよと言いたそうな笑顔で手で頭を下げるなとセレーヌに見せる。


「まぁ仮に何かあれば直ぐに呼べ──すぐに駆けつける」

「ご主人様、そういうところの自覚はお願いします!」


恥ずかしそうに扉を開けてそう言い残し、セレーヌは部屋から出ていった。


'え⋯⋯?'

そんなにマズイことは言っていないだろう?ただアイツが心配だからそう言っただけなのに。


「まっ、とりあえず今は──早く死活問題である煙草をどうにか生産出来ないと話にならんな〜」


そのまま後ろに倒れながら、しばらく休憩してから検証を始めることにした。



**

「さて」


よし!気を取り直して⋯⋯検証を始める。

これを機に現在ある問題として、スキルの検証の前にも色々やる必要がある。だが正直に言うと、生前取得スキルとあるこの項目については全て放置にする事にした。ぶっちゃけ身体の使い方、頭の使い方をあっちで勉強しているからわざわざ見たくはない。しっかり頭で分かっているものを見直すというのも変だろう。それにLvもMAXだしな。


 それで今のところの一番大きな問題としては、やはりこちらに来てからのスキルの取得だ。アルに用意してもらった取得システムとのお陰でだいぶ楽になるはずだが、現段階でどれくらいの量があるのか、それから内容とある程度の応用までは繋げていきたいところだな。


しっかり見るのは初めてだから、ファンタジー要素たっぷりのスキルがあればなおいいが。


'渚さんやぁ~'

『はいマスター!お呼びでしょうか?』


な、なんか感情が増えた気がする。こんなハキハキ元気っ子みたいな話し方だったっけ?ま、まぁいいか。どうせはぐらかされるのは目に見えている。


'渚、今のステータスの数値とスキル欄を見せてくれ。

『かしこまりました!』


「ほう?」


────────────────────

【名前】ガゼル

【年齢】17歳

【種族】人?

【職業】修羅道 Lv0(ユニーク)


HP4500→78000 MP1800→96000


攻撃力2500→53000 防御力2200→50000

素早さ6500→71000

魔法攻撃力3200→63000

魔法防御力4000→79000


運 500→13200

魅力、耐性値、現在測定中です。byアルテミス


【スキル】

・ナビゲーターLv1→5(固有名 渚)

・鑑定Lv1→3・偽装Lv2→4

・職業転職制限無しLv0

・全スキル取得制限解放&条件検索

・アイテムボックス(スマートフォン)Lv1→2

・言語理解LvMAX

・獲得経験値上昇LvMAX(進化可能)

─『ここから新スキルです』

・成長限界無制限・最大HP上昇無制限

・最大MP上昇無制限・レイアース加工Lv1

・日本技術加工Lv1

・無属性魔法LvMAX(限界突破可能)

・魔法纏LvMAX(進化可能)・鉄壁Lv2

・魔力操作LvMAX(進化可能)

・予知LvMAX(進化可能)・気配察知LvMAX

・脚力Lv7・夜目Lv5・器用Lv9

・手加減Lv8・殺気LvMAX(進化可能)

────────────────────

「なんじゃこりゃ?」


こ⋯⋯れ⋯⋯は〜な○う小説でも見た事ないくらい上がっていますね。ハッキリ言っておかしいと思います。なんでなんですかね〜?俺まだそんな行動してないと思うんですが〜⋯⋯。


チャンチャン♪~敬語タイム終了~


はぁ〜、チートにも程があんだろ。

どう考えてもおかしい。渚?普通こんなに上がると思う?


『マスター。この世界ではありえない現象である事は間違いありません』


'そうだよな!?有り得ねぇだろ。まぁ困ることじゃねぇから構わないが'


『それについてマスター。少々説明させて頂きます。おそらく身体強化系のスキルは、マスターが"常"に使用している為に起こった現象かと思われます』


'常に?'


『はい。現在渚が調査している物の一つ、マスターの体内反応で軌道の流れをある程度まで把握する事に成功しました。全身に流れている不可思議な力は身体の丹田へと向かっています⋯⋯それも意図的にです。何かの力でザルで振るいをかけていくような工程が丹田周辺で起こっており、最終的には巨大な渦の中へ入っていっているのを渚は何度も目にしております』


'やっぱ渚は凄いな'


『⋯⋯やはりマスターの意図的な行動なのでしょうか?』


'あぁ、俺は魔力ではなく、武功の修練者だ'


『修練者⋯⋯ですか?未知の単語です』


'まぁ、だろうな'

知ってるのは地球でも一部の奴らだけだし、都市伝説とかそっち辺りに属してる物だしなどれも。


『その修練者とはどういうものなのでしょうか?』


まぁ簡単に言うと魔力を内功という単語に切り替わっているだけだ。俺の場合は"元"修練者で、今は"気"という分かりやすい単語で新たに自分で作ったオリジナルのモノ使った結果──この身体では内功が使えなくなったんだよ。その代わりに別の力を使っている感じだな。


 そして魔力との運用において最大の違いはそこまでまだ理解できてはいないが、ここの世界に漂う魔力は軽くて広い。誰でも使える事のせいかはまだ分からないが、とにかく軽く薄い。


俺達修練者とは考え方が真逆だ。


俺達は肉体を器とする為に──身体に不必要なモノを全て排出して、身体全部を上質に、その工程ののちに浄化させていく。そして丹田の一か所に内功を溜め込み修練者としての格を上げていく。だがこの世界の魔力を持つ人間達を観察していて思うことは、使い方が明らかに下手くそ過ぎるという話だ。まぁ、この辺りは今度でいいが、修練者はこんなところだ。


『大体の話は理解できましたが、やはりその運用によってマスターのスキルLvが異様に上がっているようですね』


'なるほどな、納得のいく答えではあるな'


『次に渚が気になった殺気なんですが、おそらくマスターは異世界の時に使われていた物が異質だったという予測です。上がり幅の異常性についてそれしか考えられません』


'あぁ、なるほど'

理外の技を使ってたらアルテミスの使っているシステム?の上がり幅が異常だって事も分かりやすく理解できるな。


『ですが私個人としては、もっと別のモノ(●●●●)だと考えています』


'別のモノ?'


『⋯⋯⋯⋯⋯⋯一時停止ののち、再起動します』


'え?再起動?'


『失礼しました、検索禁止ワードが検出されたようです』


'検索禁止ワード?なんじゃそれ?'


『何でもかんでも教えてはならないというアルテミス様のお考えだと理解していただけると』


'なんか悪いな'


『問題ありません、マスターのサポートが私の、私()嬉しいだけですので』


'渚⋯⋯?'


『失礼しました──。続けて対応策の方を』


'ちょっと待ってくれ、一旦進化できる物は進化してくれるか?'


『かしこまりました』


おぉ〜⋯⋯。


ガゼルの身体から光の粒子が溢れる。喜ぶガゼルだったが、数秒経つとすぐに光は消えてしまい元に戻った。


'なんとも言えない感覚だな。体験した本人にしか分からない感覚だ'

まぁとりあえず良いだろう。さて次だ、渚⋯⋯スキルのレベル概念について説明を頼む。


『かしこまりましたマスター。

この世界のスキルLv概念は、属性魔法の最大レベルは10です。1から2が初級で、簡単に申し上げると2ずつ区切りでランクが変わっていきます。初級、中級、上級、達人級、神級といった形で分かれています。

 そして次にステータスアップ系スキルは最大50となっています。ただ、進化可能な物もありますのでそれを踏まえると100まであるかと』

 

'ほう⋯⋯スキル上げも大事になりそうだな'


『その通りですマスター。練度が重要です!スキルレベルが低ければ上手く使えないため、使えない扱いとなります。ちなみに無属性魔法がマスターは最大ですが、世間一般はゴミすぎると言われています』


'ん?何故だ?最重要だと思うが'


『マスターはお気付きになっていませんが、この世界での体術や剣術は流派によっておよそ分かれています。スキルや職業でも確かに恩恵がありますが、貴族の方たちは更に流派が存在しており、その高等教育を受ける為には⋯⋯コネがある人が受け継いで新たに指導を受けることが可能になります。何が言いたいかといいますと、レベルが非常に上げづらいのです。平民はまず流派という概念がありません。したがって我流剣術が主な物となっています。つまり──』


'なるほど。つまり強い奴が居ない理由──一部利権の為に貴族達が独占してるから他は全く恩恵が無く、死亡者は多く好き放題な状態な訳だな。なんて世界だ。日本人としてはあり得ない思考回路⋯⋯


そう呟くガゼルだったが、その時突然脳内に過去の記憶であろう声が聞こえた。


─「いやぁ〜!※※様、ささ、こちらへお座りください」

─「※※様!本日はですね!」

─「こちらの石なんですが⋯⋯※※だけにお安く」

─「新しいビジネスが⋯⋯⋯⋯」

─「行く宛のない子供達に⋯⋯」


'いや、そんな事ねぇ。何処の世界も──人間ってのはゴミばっかだ'

すまん。渚、続けてくれ。


『大丈夫ですか?マスター?精神領域の負担がかなり多いようですが』


'あぁ、多分大丈夫だ'


─「うっせぇ!!お前らの話なんてどうでもいいから困ってるガキ共全員連れてこい!!!!」

─「しかし──貴方一人ではどうする事も─」

─「てめぇらクソみたいな利権絡みのゴミ共なんかに任せるよりよっぽどガキ共はマシだろうよ!グタグタ言ってねぇでさっさと俺の前に呼んでこいクソションベンまみれのゴミみてぇな大人共が!!!」


'⋯⋯⋯⋯大丈夫だ'


『かしこまりました。それでは続けますね。

 もう1つの原因としましては、無属性魔法は経験値取得が困難です。この魔法は明確に使えるモノが人によって違います。なので、取得方法もわからない魔法なので誰もやり方や能力の上げ方を知らないというのが正しい言い方でしょうか。

 マスターは常時使えていますが、本来魔力の流れ感じるのも平民は難しいのです。そしてマスターも感じているとは思いますが、平民に流れている魔力は貧弱で魔法を持続的に使用するには⋯⋯マスターのような人間でなければ──膨大な時間と労力が掛かると断言できます』


'はぁ⋯⋯世の中面倒くせぇことばっかだな'


『人間社会はやはり難しいですね』


'分かるのか?まぁ考えただけで頭がパンクするっていうのは俺も理解できるよ'


『ふふふ』「ははは」


さて、日本技術加工の方も早く検証したいな。早速使ってみるか〜渚いけそうだよな?


『問題ありません』


'よーし'


ガゼルはそのまま達成させる為に、早速頭にアレを思い浮かべた。

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