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ANOTHER WORLD  作者: てんくう
10/10

番外編 もしも……

これは本編と関係ありません。

エイプリールフールネタです。


その1…ジェシーとアリエス


俺とジェシーは今、あるクエストを受けている。


「おかあさーん」

「おっかさーん」

「お袋ー」


10人近く4歳くらいの子供達がジェシーに群がり、引っ付いていく。

というか最後、お前4歳じゃないだろう。


「はいはい何ですかー、って誰がお母さんよ誰が。私はまだ未婚よ!」


ジェシーは子供達が吹き飛ばないように加減しながら両手を上げて叫ぶ。

器用なことしますね。


クイクイ


「ん?」


ローブの裾を引っ張られて目を向けると、5歳くらいの女の子が涙目でジェシーを指差しながら、


「お父さん、お母さんがおかしくなっちゃった」


と、俺に言ってきた。

うん。まず俺はお父さんじゃないし、それに…


「大丈夫だよ。元からだから」


目線を会わせるように屈んで、頭を撫でながら女の子に言った。


「聞こえているわよ、アリエス!」


くそっ、聞こえないように耳元で囁いたのになんて地獄耳なんだ。それとも弓士は皆耳が良いのか?


だが、その前に逃げよう。ジェシーが俺に弓を向けているからね。

というかここで矢を射とうとするなよ。この子に当たったらどうするんだ。


「俺は逃げる!」


俺は逃走をはかるが、


「そこ!」


それを予測したかのように矢を射ってきた。つーか、マジで射つんかよ。


「あぶなっ!」


俺はそれをギリギリでかわす。

まぁ、町の中とだからダメージは通らないけど、此所には小さい子も居るんだから、そんな額に矢が刺さったまま子供の相手したらトラウマになっちゃうだろ?

だから俺は矢に当たるわけにはいかないんだ。


「わーっ、ふうふげんかだー!」

「違うよ、ちわげんかって言うんだよ!」

「えすえむぷれいって言うんじゃないの?」

「えすえむぷれいってなに?」

「え?セクハラ暴力じゃないの?」


おい、3番目以降の奴等何て言葉知っているんだよ!というか俺も訊きたいね、何、セクハラ暴力って!?

それと最後!やっぱりお前4歳じゃないだろ!


と、俺たちの様子を見て、キャッキャと騒いでいる子供たちに心の中で突っ込みを入れつつ、飛んで来ている矢を全部かわしていた。

もう、ここまで来ると奇跡だな。


「誰が夫婦よ!私たちはそんなんじゃ…っ!」


ジェシーが顔を真っ赤にしながら何か叫んでいるが、最後の方は声が小さくなっていって、聞こえなかった。

でも矢が飛んで来なくなったから、一安心。


で、その後は「ふうふげんかもうしないのー?」っと言ってくる子供たちを宥めながら顔を真っ赤にしたままのジェシーと一緒に子供たちの遊び相手をした。



さて、俺たちが受けていたクエストだが、それは『孤児院の手伝いをせよ』というものだ。

このクエストを受けた俺たちはその孤児院を経営しているシスターのような格好をした女性…アルナさんに「子供たちの遊び相手をしてください」と言われた為、ジェシーと一緒に子供たちと遊んでいたという訳さ。


それで、その過程で一人の3歳くらいの女の子が俺たちに「お兄ちゃんとお姉ちゃんはふうふなの?」と訊いてきて、悪乗りをした俺とジェシーは「そうだよ」っと言うと、目を輝かせた女の子が「じゃあ、私のお父さんになって!」と言ってきて、俺たちが固まった。


そうしている間にそれを訊いていた他の子供たちが「私も私も!」と言って俺たちに「おとうさーん」と言いながら引っ付いてきて、今の状態となった。


我に帰った俺たちが何とかお父さん(お母さん)呼びは止めて、と必死に言うが、「やだ、お父さんとお母さんなの!」とどうしても変えてくれず、最終的には「や、なの?私が娘じゃ…や、なの?」と泣きそうになったため俺たちが折れた。


その時に俺とジェシーは同じようなことを思っていた。

((悪乗り…するもんじゃないね))っと。



その後も暗くなり俺たちが帰るまで子供たちと遊び、時にはまたジェシーが顔を赤くして俺に矢を射ってくるということが何回かあったが、結果的には楽しく過ごせたから良しとしよう。


まぁ、俺たちが帰ろうとすると、「だめ!ずっと一緒にいるの!」と子供たちが泣いて駄々を捏ねたため帰るのに一時間以上かかったけど。

因みに、「また遊びに来るから…ね?」と抱き寄せて、頭を撫でながら言って事なきをえた。



「うーん…楽しかったね!」

「あぁ、確かにな」


俺とジェシーはクエストを終えて、一緒にご飯を食べようという話になって、今『スターリング』に向かって歩いていた。

ジェシーは伸びをしながら俺の隣を歩いていた。


「また、あのクエストを受けようね」

「ジェシーが俺に矢を射たないのならいいけど?」

「し、しないわよ!」

「本当にー?」

「ほ、本当よ!」


俺が訊くとジェシーは顔を赤くしながら大声で言った。


「じゃあ、受けようか。あの子と約束もしたしね」

「うんっ!」


俺がそういうとジェシーは笑顔で返事をした。



●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●



その2…京花と優馬と○○○



俺は今、京花先生の授業である英語を受けている。


「えー、それではここを…優馬君お願い」


俺は一番後ろで窓際の席で俯せで当てられないようにしていたのに、嫌がらせのように俺を当ててくる。

というかここ最近…ゲームの中でジェシーとパーティを組んでから良く俺を授業の時に俺を指名してくる。


俺は附せていた顔を上げて、京花先生…もうジェシーでいいや、に顔を向けるとクスクスと笑っていた。

確信犯だなこの野郎。


もう我慢の限界だ。

俺は怒ったぞ。


「はい…いやぁぁぁ!『 help me』!」


俺は最初にジェシーと会ったときの真似をしてやった。クラスメートの皆が変な物を見るような目を向けてきたが俺はそれが気にならないほど清々しい気持ちでいっぱいだった。


俺は座る前にチラッとジェシーの方を見ると顔を真っ赤にして俺を睨んでいた。

それを俺は鼻で笑ってあげる。


「クッ!…ゴホン、それじゃちょっとここで豆知識ね。『a peaceful sleep』という言葉がありますがこれは『安らかな眠りを』という意味です。もしかしたら使う機会が有るかもしれません。覚えておくといいでしょう」


そう言ってから俺の方を見てきて、クスクスと笑っていた。今度は俺が顔を赤くする番だった。

俺はジェシーを睨む。


(どういうつもりだ、ジェシー)

(最初にアリエスが言ってきたんでしょ。自業自得よ)

(いや、最初に俺ばかり当てるジェシーが悪いんだろ)

(いいんですー、私は教師だから。生徒を指名するのが教師の務めです)

(それ、職権濫用って言うと思う)


そう、ジェシーとアイコンタクトをした。

これぐらいのことだったら俺とジェシーは可能としていた。


そんなやりとりを隣の席で見ていた周助は少し不機嫌そうな顔をして俺とジェシーを見ていた。

だが、俺はその視線に気づいていなかった。


「先生、質問いいですか?」


俺は手を上げて先生に訊く。

だけど、


「駄目」

「いや、何でだよ」


即答で否定された為、素でため口を使ってしまった。


「ここは、良いと言うところだと思います」

「……分かったわ。それで質問は?」

「はい、関節キ、「じゃあ、次いくわよ」スってまだ言い切ってませんが?」

「何の事か私には分かりませんが?」


と、俺が言い切る前にジェシーが被せてきた。しかも、顔を赤くして。

そんなことをしていると本当に次に進めやがった。




それから授業が終わり直ぐにジェシーは俺の手を捕って教室の外へと早足で出ていった。

そんな様子をクラスメートはポカンとした顔をして見ていた。

周助は訝しそうな顔をしていたが。


「何だよ、ジェシー」

「何だよじゃないわよ、言わないでって言ったでしょ。それと、ジェシーってこっちでは呼ばないでよ」

「じゃあ、京花で」

「…それはそれでちょっと…」

「嫌なのか?」

「嫌じゃ…無いわよ」


京花が顔を赤くしながらそっぽを向きながら何かを言っていた。しかし、声が小さくて良く聞き取れなかった。

だが、雰囲気からして否定していなかったから京花と呼ぶことにする。


「まぁ、さっきは俺が悪かったよ。ごめん」

「…こっちこそごめん。ちょっと大人げなかった」

「いや、先に言ったの俺だし謝らなくていいよ」

「でも、私の方が大人何だし、こっちが悪いよ」

「大人?」

「大人よ!」


俺が不思議そうに首を傾げると京花はムキになって大声を出した。

その後、どちらからともなく吹き出して俺とジェシーは笑いあった。



その後次の授業が始まるまで俺と京花は談笑をしていた。廊下の角から人が見ていることに気づかずに…



その次の日。


「あれ西崎君、アリ…優馬君はどうしたの?」


その日、周助といつも一緒いるはずの優馬がいないことに不思議に思った京花は一人で歩いていた周助に訊いた。

さっき京花に気付いたと言わんばかりの顔で向き直るが、京花は周助の顔を見た瞬間背中に寒気が走った。


何故なら京花を見る周助の目に光が無かったからだ。


「に、西崎君?」

「あ、京花先生。優馬でしたら僕は知りませんよ」


もう一回声を掛けると一瞬にして目に光が戻っていた。京花は気のせいだったのか?と思った。


「そう。だったらいいわ」

「あ、そう言えば先生。今日放課後用事ありますか?」

「無いけど…どうしたの?」

「でしたら、放課後ここに来て下さい」


そう言って周助は京花にある場所が書かれている紙を渡した。

紙を京花に渡した後周助はそのまま京花の横を過ぎ通っていった。


「なんだったのかしら?」


京花は周助の様子に不思議に思いながらも、職員室に戻っていった。




放課後、京花は指定された所に来ていた。


「来てみたけど…何のようなのかしら?」


そんなことを呟きながら京花は時計を見たりして少し落ち着きがなかった。

そこで、ハッとしたような顔をした。


「まさか…告白!?」

「そんなわけないじゃないですか」


と、タイミング良く周助が来たようだ。

しかし、その声は少し高く呆れを含んでいた。


「やっと来た。それでなん…の、よ…う?」


京花は周助の方を向いたがその瞬間固まった。


「どうしたのよ、そんな顔をして」

「な、な、何で女子の格好しているのよ!?」

「何で、僕が正装して悪いの?」

「正装って…」

「僕、元々女の子だよ?」


そこまで言うと、京花は固まってしまった。


「まぁ、いいや。それよりもね、話っていうのは…」


そう言いながら、周助は一歩ずつ京花に近付いていき、手がもう少しで届くというところで我に帰った京花は周助の顔を見て、直ぐに距離をとった。


その次の瞬間…


「あーあ、もう少しだったのにな」


さっきまで京花が立っていた位置で首の辺りにカッターナイフが過ぎ去った。


「なっ!」


いきなりの生徒の凶行に京花は驚愕の表情を浮かべた。それと、同時に恐怖した。

また、周助の目に光が宿っていなかったからだ。


「でぇもぉ…次は外さないよ!」


一気に京花との距離を詰める 。


「くっ!西崎さん!何でこんなことするの!?」

「何で?そんなの決まってるよ、貴女が私の優馬と仲良く話していたからだよ」

「そんなことで!」

「そんなこと?貴女今、そんなことって言った?許さない…許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!」


周助の動きがさっきより比べ物にならないほどに早くなる。


京花は徐々にかわせない攻撃が増えてきて、切り傷が増えていき、そして…


「うぐっ!」


足を切られてしまい、体勢を崩してしまう。


「ふふふ、ついに追い詰めた♪」

「や、やめて!」

「だ~め」


京花は後ろに後ずさるが背中が壁について下がれなくなってしまう。

周助の言うとおり追い詰められてしまった。


「じゃあ…バイバイ、先生♪」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」


京花の叫び声が響くが聞いた者は誰一人としていなかった。

そして、その日以降から優馬の姿を見た者も居なかった。




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