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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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092・隠し通路

「べ、別ルート駄目です!」


 僕は慌てて、3人に言う。


 美人な女冒険者たちは、キョトンと僕を振り返った。


「急に何だい、シンイチ君?」


「どうしたんですか?」


「別ルートが駄目って……どういうこと?」


 と、聞いてくる。


 僕は、自分の目を指差しながら、


「その別ルートの先で、102体のゴーレムが待ち伏せしてます! この瓦礫も奴らが積んだもので、つまり罠でした!」


「え、そうなの?」


「まぁ」


「秘術の目で視えたのね?」


 彼女たちも驚いた様子で確認してくる。


 僕は、


「はい」


 コクン


 と、はっきり頷く。


 真眼君によると、



・遺跡の中央制御システムが、侵入者――つまり僕らを排除しようとしている。


・複数の侵入予測経路に、ゴーレムを配置。


・配置したゴーレムとの戦闘で、侵入者の戦力、侵攻速度、進行経路などを情報収集し、かつ侵攻速度を遅くして時間を稼ぐ。


・その間に、瓦礫を設置。


・唯一の進行経路上に、残存の大量のゴーレムを配置。



 ということらしい。


(う~む)


 敵さん、頭いいのね。


 本当の敵は、その頭脳である遺跡の中央制御システムかしら。


 警備用ゴーレムは、その尖兵。


 で、敵の最大戦力っぽいのが、今回、僕らの討伐目標である『番人』――巨大ゴーレムって感じかな?


 僕は、その辺も説明する。


 3人も頷く。


「なるほど」


「古代遺跡の機能ですか」


「つまり、500年前のパルディオン王国期の警備システムが敵なのね? ……厄介な話だわ」


「ですね~」


 僕も同意。


 アルタミナさんは、腕組みして考える。


「ん~、102体か……。戦えないことはないと思うけど、相当、消耗しそうだね。負傷は覚悟しないと駄目かなぁ?」


 と、難しい表情で呟く。


 他2人も頷く。


「確かに、各種ポーションを大量使用すれば、何とかなるでしょうが……」


「きっと赤字ね」


「ええ」


「あと、結果的に『番人』との戦いも厳しくなるわ」


 と、吐息をこぼす。


(そっか)


 僕も考える。


 別ルートが駄目なら、瓦礫をどかす?


 全部は無理でも、人1人が通れる隙間なら、作れそうな気もするけど……。


 ヒィン


(ん?)


 赤文字表示。




【瓦礫の罠】


・上部の瓦礫は大きく密に積まれ、下部の瓦礫は小さく隙間がある。


・そのため、下部の瓦礫は動かせる物も多い。


・ただし、これは罠である。


・下部の瓦礫を動かした途端、上部が崩れて下敷きになるよう設計されている。


・瓦礫の撤去は、非推奨。




(マジかいっ)


 僕は、その情報も伝える。


 3人は唖然。


「うわ、いやらしいな」


「こっちの心理を読んできてるわね。全く……嫌な罠だわ」


 と、黒と赤の髪の美女が言う。


 クレフィーンさんは、僕を見る。


 微笑み、


「ありがとう、シンイチ君。貴方が気づいてくれたおかげで、私たちは選択を誤らないで済みそうです」


 サワッ


 と、僕の頬に白い手で触れた。


(ひょえっ?)


 ドキン


 突然のスキンシップ行為。


 見つめてくる青い瞳も、真っ直ぐ僕に向いている。


(あ……う?)


 思わず赤くなる。


 そんな僕に気づき、彼女は優しく笑う。


 ゆっくり、手が離れる。


 あ……。


 温もりが消え、少し残念。


 クレフィーンさんは数秒、僕を見つめ、そして、友人2人を見る。


 冒険者の顔に戻り、


「では、今回は戦いますか?」


「そうだね」


「他の道がない以上、仕方がないわ」


 クレフィーンお母様の確認に、仲間の美女たちも覚悟を決めたように頷く。


 う~ん、


(それしかないか)


 でも、大量のゴーレム相手に戦闘なんて、アルタミナさんが予想した通り、相当、厳しい戦いになりそうだよね。


 本当に、他に方法ないのかな?


 僕は、少し悩む。


 すると、その時、


 ヒィン




【別の方法】


・安全なルートあり。


・正規の通路ではなく、隠された道である。


・現在、ゴレームも配置されておらず、安全に地下7階層の階段まで到達できる。


・真眼君、推奨ルート。




(……お)


 おお……!


 真眼君、推奨ルート!


 マジですか!?


(……ふふっ)


 遺跡の中央制御システムだか何だか知らないけど、僕の真眼君の方が1枚上手だったようだね。


 ビシッ


 僕は「あの!」と挙手。


 3人が『ん?』と振り返る。


 僕は自信満々に、


「今、秘術の目が別の安全なルートを見つけてくれました! そっちに行きましょう!」


 と、満面の笑顔で告げたんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 僕らは来た道を引き返す。


 5分ほど戻り、


 ヒィン


 真眼が文字情報を表示した。


(……ふむふむ?)


 僕は、その内容を確認する。


 何もない通路の途中――その右側の壁を、僕は指差した。


「この壁、破壊してください」


 と、お願いする。


 3人は顔を見合わせる。


 すぐにアルタミナさんが頷いて、「わかったよ」と黒い刃に赤い模様のある戦斧を構えた。


 ヒュッ


 振り下ろし、


 バカァン


 彫刻が彫られた石造りの壁は、見事に粉砕された。


(お……)


「あ」


「まぁ」


「壁の奥に、通路があるわ……」


 と、僕と3人の美女は驚いた。


 凄い、


(本当にあった)


 隠し通路は狭く、人1人がギリギリ通れるぐらいの空間で、僕らのいる本来の通路と並行するよう左右に伸びていた。


 上部には、配管も見える。


 クレフィーンさんが僕に聞く。


「これは……?」


「メンテナンス用の通路みたいです」


 と、僕は答える。


 要は、作業員用の通路。


 よくある、関係者以外立ち入り禁止の場所かしらね。


 昔々の人たちも、この遺跡を管理、維持するために、メンテナンスをしていたみたいで、その名残りらしい。


 黒髪の獣人さん、赤毛のエルフさんも『へぇ……』と興味深そうだ。


 500年前の遺跡。


(でも、ただの石の建造物じゃないみたい)


 今も生きてる警備システムとか、色々な機構があったみたいだから。


 ただ、


 ヒィン




【遺跡の機能】


・経年劣化により、各種監視センサー、生存用装置、環境保持機能など多くの機能が停止している。


・現在稼働しているのは、警備用ゴーレムの管理システムのみである。




 だってさ。


 ふ~む。


(時代の流れ……か)


 これも1つの浪漫だね。


 そんなことを考えながら、僕らは隠し通路に入る。


 本来の通路と違い、装飾も何もなく、しかも天井も僕の頭上ギリギリの高さしかない。


 僕はともかく、


(3人は大変そうだね)


 異世界の美人なお姉様方は、皆、身長170センチを超えている。


 全員、しゃがみながら移動中。


 ……僕?


 うん、僕は平気。


 いえ、チビじゃないですよ?


 僕は、ほら、ただ平均身長より少し低いだけでですね、成長期はこれからで今後に期待という奴です、うん絶対にそう、だから心配なくて、はい、この話題終わり。

 

(……ぐすん)


 涙目の僕に、3人は不思議そうな顔。


 気にしないで!


 …………。


 ん、コホン。


 そんな感じで、隠し通路を歩く。


 途中、分岐があったり、鍵のかかった金属扉があったりしたけれど、


 ヒィン




【右に進め】




 と、真眼君が教えてくれたり、


「はっ」


 キィン


 お母様の両刃剣が鍵を両断して、問題なく進む。


 もちろんゴーレムに遭遇することもなく、長年の風化で散乱した小さな瓦礫を踏み締めながら、僕らは狭い暗闇の奥へ奥へ。


 やがて、30分後。


 ヒィン


(お……)


 空中に浮かんだ文字に、僕は足を止めた。


「この壁を――」


「はいはい、了解」


 アルタミナさんは最後まで聞かず、即、黒い戦斧を構えてくれる。


 うむ、以心伝心。


 そして、


 バゴォン


 石の壁を破壊。


 隠し通路の外に出ると、


(あ……階段)


 出た右側に、下方向に伸びる階段があった。


 マジ、ぴったり。


 美女3人も驚き、感心した顔だ。


「階段だ」


「……本当に辿り着いたわね」


 と、2人が言い、


 ギュッ


 お母様は、僕を抱き締める。


(ほわっ?)


 驚く僕に、


「やりましたね、シンイチ君。おかげで無駄な戦闘をしなくて済みました。貴方のその秘術の目は、本当に素晴らしいです」


 と、子供を褒めるように優しく笑う。


 ど、どうも。


 ドキドキ


 僕は照れながら、


「お、お役に立てて何よりです」


 と、何とか答えた。


 無自覚なお母様に、友人2人は苦笑する。


 レイアさんが「ほら、フィン」と襟を掴んで、引き離してくれる。


(ほっ)


 残念だけど、少し安心。


 と、その時、


 ヒィン


 真眼君が発動する。


(ん?)




【柱の破壊】


・背後の通路の柱を破壊しよう。


・通路が崩れ、102体を含めた、他ゴーレムがこちらに来れなくなる。


・7階層での戦闘時、挟み撃ちを回避できる。




(おお……)


 なるほど、いい考え。


 僕は頷き、振り返る。


 ヒィン




【この柱を破壊せよ】




 と、文字が表示された柱を発見。


 右手を向け、


 パアッ


 手の甲に魔法陣が光る。


 気づいた3人が驚いたように「シンイチ君?」と僕を見る。


 僕は答えない。


 ただ柱に集中して、



「――土霊の岩槍」



 と、短く呟く。


 ジジッ ドン


 黒曜石みたいな岩の槍が射出され、柱に命中――ゴンッと貫通して、柱が倒壊する。


 すると、


 ゴゴッ ズガガァン


 連動し、天井と壁が崩れた。


(おおお……!)


 瓦礫が土砂のように流れ込み、通路が埋まる。


 振動と共に土煙が舞い、


 カン カラン


 やがて収まり、小さな石が足元に転がる。


 通路は瓦礫で埋まった。


 崩れた瓦礫は、僕の正面1メートルの位置で止まっている。


(怖ぁ……)


 意外とギリギリじゃん。


 あと真眼でわかっていたとはいえ、遺跡全体が崩れないかと心配しちゃったよ。


 ……ふぅ。


 息を吐き、ふと見れば、


(あ)


 何も知らなかった3人の美貌が強張っていた。


 やべ。


 僕は「えへ」と誤魔化し笑い。


 それから、あえて余裕の表情で、


「これで後方の憂いはなくなりました。さぁ、地下7階層に向かいましょう」


 と頷き、力強く言ったんだ。

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― 新着の感想 ―
シンイチ・・・もう既に探知してゴーレムが迫ってきた事を恐れて説明する前に破壊したのかもしれないけど、取り敢えず訳は話しておこうよ・・・
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