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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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154/168

154・地底湖の水中で

(広いな……)


 地底湖の広さは、多分、学校のグラウンドぐらい。


 暗闇の中、光源に照らされる青い水面の広がりは美しくもあり、また恐ろしくもあった。


 他に道はない。


 事前説明で、アルタミナさんが水没した場所があり、必ず通らなければいけないと言っていたけれど、きっとここのことなんだろう。


(ここ、潜るの?)


 やば、怖っ。


 でも、仕方ない。


「じゃ、準備しようか」


 と、黒髪のお姉さんが宣言する。


 ……はい。


 僕も諦め、皆で水に潜るための準備を行う。


 荷物は、防水袋に詰める。


 剣なども鞘から抜き、鞘は最初から防水袋の中へ。


 なぜ、と思ったけど、クレフィーン先生が言うには「鞘の中に水が入ると、拭くのに苦労しますから」とのことらしい。


(なるほどね~)


 僕も短剣、小剣を鞘から抜く。


 それから重い鎧や外套も脱ぎ、浮袋付きの袋に詰める。


 3人とも上着とズボンだけの姿になったけど、泳ぎ易いように袖と裾は丸められ、肌の露出が増えた。


(……うん、皆さん、スタイルいいなぁ)


 と、再認識。


 特にクレフィーンさん、鎧を脱ぐと、より大きな胸が強調されますね。


 ドキドキ


 と、僕の視線に気づき、


「……っ」


 彼女は、少し恥ずかしそうな顔をする。


 でも、隠さず、


 ユサッ


 むしろ、赤くなったまま微笑み、お胸様を僕の方に向けてくれる。


 お、おお……?


 怒られるかと思ったけど、許された……恋人の特権ですな!


(えへへ)


 でも、少し照れる。


 その後も、準備は続く。


 水中メガネも用意され、全員装着。


 靴の代わりに足ヒレも装着し、最後にマウスピースみたいな物も渡される。


「? あの、これは?」


「酸素供給用の道具だよ。それに私が『空気生成』の魔法をかけるから」


「おお……!」


「約1時間、常に空気が生まれるから口に入れておいてね。吸い切れない分は、外に吐き出すんだよ? 無理に吸い過ぎると、逆に息が苦しくなるからさ」


「あ、はい」


(多分、過呼吸かな?)


 と、理解し、アルタミナさんの言葉に頷く。


 レイアさんは、青い水面を触る。


「昔は、湖で行き止まるこの場所が暗黒大洞窟の終点だと思われていたみたいね。水中の横穴から更に奥へ通じてるとわかったのは、たった80年ぐらい前らしいわ」


 チャポッ


 白い指が動き、湖面に波紋を広げる。


(へ~、80年)


 最近なのか、昔なのか、わからない感じ。


 でも、エルフ的には『たった』なんだろうね。


 僕はふと、思ったことを聞く。


「あの、この湖に危険な生き物とかっていないんですか?」


「いるよ」


「え?」


「龍魚。体長3~4メードの肉食の魚。何匹も」


「…………」


 僕、絶句です。


 え、嘘……そんな水中を泳ぐの?


 や、やだよ。


(しかも、3~4メードって、まるでジョーズたちのいる中を泳ぐようなもんじゃないか……!)


 僕、涙目です。


 いや、行かなきゃいけないのはわかってるけど~。


 と、僕の様子に、母性本能が刺激されたのか、クレフィーンさんが思わず僕を抱き締め、慰めるように頭を撫でてくる。


 ムニュン


(おぅ……)


 薄着なので、弾力がダイレクト。


「大丈夫、私がそばにいますから。必ず守ってあげますからね」


「う、うん」


「よしよし」


 ナデナデ


 う、う~ん、甘やかされてる。


 僕は戸惑うけど、クレフィーンさんはそういう行為が好きなのか、少し嬉しそうな表情だ。


 年上のお母様な恋人、素敵です。


 そんな僕らに、レイアさんは呆れ顔、アルタミナさんは苦笑する。


 そして、言う。


「心配ないよ、シンイチ君」


「え?」


「水は電気を通し易いんだ。だから、龍魚が近づいてきたら、青き落雷の大剣の雷魔法で追い払ってあげるから。ね?」


「…………」


「ん? まだ心配?」


「いえ、あの……それ、僕らも感電しません?」


「魔法だから指向性があるみたいだよ? だから普段、持ち手の私も感電しないし、制御すればきっと大丈夫さ」


「…………」


 だ、大丈夫かなぁ?


 僕、心配です。


 と、長い付き合いの赤毛のエルフさんが補足する。


「一応ね、クランハウスの風呂場で実験はしているの。その時は成功していたし、まぁ、多少、感電しても回復魔法もあるのだから何とかなると思うわ」


「……で、ですか」


 安心できるような、できないような……。


 ま、仕方ない。


(覚悟を決めよう……!)


 でも、心配性の僕は、一応、確認もしておく。


 ヒィン




【問題なし】


・多少、痺れはあるかもしれないが、命の別状なし。


・安心せよ。




 うん、よかったぁ……!



 ◇◇◇◇◇◇◇



 

 ザブン ブクブク


 僕ら4人は、青い湖水に入る。


 水の透明度は高く、意外と視界は通っている。


 さすがにランタンの灯りはないけれど、光源魔法の『光の羽根』は水中でも輝き、僕らの視界を明るく照らしていた。


 足ヒレを動かし、水中を泳ぐ。


(ん……速いや)


 身体強化魔法もあるので、意外と速度が乗る。


 ちなみに、僕らは4人ともロープでお互いの身体を縛っていた。


 1人が溺れても、他の誰かが助けられるようにね。


 あと、水中では喋れないから、簡単なハンドサインも覚えさせられた。


 人差し指の矢印で、上下左右前後。


 手を開いたり、閉じたりしたら、危険の合図。


 息が苦しい場合は、口を両手で触る。


 とかね?


(あとは、その場のジェスチャーで伝える感じかな)


 まぁ、僕の場合、伝えるのはともかく、読み取るのは『真眼』もあるので楽なんだけどね。


 コポコポ


 気泡を出しながら、水中を進む。


 水の中は広く、湖底は見えない。


 相当、深い湖なんだね。


 青く見える水中の世界には、半透明の小魚や小エビみたいな生き物がチラホラ見え、たまに50センチぐらいの魚も泳いでいたりする。


 音もなく、静寂の空間だ。


 僕の前を、アルタミナさんが泳いでいる。


 黒く長い尻尾が、ユラユラ。


 そして、水中素人の僕の隣には、美しい金髪をたゆたわせながらクレフィーンお母様が並泳してくれている。


 見れば、


 ニコッ


 いつものように微笑んでくれる。


 最後尾には、レイアさん。


 森の妖精だけど、普通に泳ぎも達者、むしろ華麗でした。


 さすが、200歳。


 人生経験豊富な分、色々なことができるんだなぁ……なんて思ったり。


 やがて、湖の奥側の壁が見える。


 水草の生えた岩の壁面だ。


 そして、その壁面には大きな亀裂があり、暗い穴が更に奥へと続いていた。


(この先か)


 この横穴の先、約300メートルほど進むと、更なる洞窟の奥の空間へと通じるらしい。


 アルタミナさんが、人差し指を穴の方へ。


 僕らは頷く。


 コポポ


 僕は、その亀裂へと泳いでいく。


 と、その時、


 ヒィン


 真眼が、水中に文字を表示した。




【龍魚の接近】


・龍魚が1匹、後方より接近中。


・距離、137メートル。


・戦闘力、210。




(ぶほっ……!)


 思わず、大量の気泡を吐いちゃった。


 グッ グッ


 3人のロープを強く引っ張る。


 彼女たちの視線が集まったのを確認してから、後方を人差し指で示し、手を開閉させる。


(龍魚、来てます~!)


 と、表情でもアピール。


 彼女たちも察してくれたみたいで、頷いた。


 スイッ


 先頭にいたアルタミナさんが『青き落雷の大剣』を手にしたまま泳ぎ、最後尾の位置へと移動する。


 僕も真眼を使いながら、


 スッ スス~ッ


 と、龍魚が左右に泳いでいる方向に合わせ、指を向け続ける。


 と、


(あ……あれか!)


 青い水中の向こうから、巨大な生き物が迫っていた。


 魚……?


 いや、海の恐竜モササウルスっぽい外見で、めっちゃ凶悪な雰囲気だ。


 こ、怖ぁ……。


 僕らの2倍はありそうな巨体が、この青い水中を恐ろしい速さで自由自在に泳ぎ、僕らを捕食しようと迫ってくる。


 アルタミナさんが剣先を向ける。


 パチチッ


 岩を削り出したような黒い大剣が、内側から青く光り出した。


 放電開始だ。


 龍魚は僕らの周囲を1周、様子を窺うように旋回する。


(近い近い!)


 感情の見えない黒目が、僕らにずっと向いているのがはっきりわかる距離である。


 襲われたら、とても避けられない。


 クレフィーンさんが僕を守るように、自分の背中側に僕の身体を押し込もうとする。


 レイアさんも、2本の短剣を握っている。


 そして、


 グパッ


 突如、巨大な口を開き、急旋回した龍魚が襲いかかってきた。


(!)


 僕は身を固くする。


 直後、僕の顔の横を抜け、青く光る巨大な剣身が龍魚の方へ、ボ……ッと突き出された。


 先端に、青い光が集束し、


 ジュバァン


 青い雷光が水中を真っ直ぐに走り抜けた。


(んぐっ……!?)


 一瞬、肌が焼けたような、熱湯に触れたみたいな痛みが走る。


 そして、青い雷光は龍魚に直撃、その巨体がビキンと跳ねるように固まり、数秒後、無数の気泡と共に上方の水面へと浮かんでいく。


 と、真眼が発動。


 ヒィン




【龍魚】


・死亡している。




(…………)


 え、死亡……?


 追い払うだけじゃなかったの?


 いやいや、話が違うと言うか、水中であの巨体を焼き殺すって、どれだけの威力の雷を放出したんですか?


 僕、すぐ隣にいたんだよ?


(怖ぁ……)


 アルタミナさん本人も驚きの表情で、友人2人も少し唖然だ。


 3人が僕を見る。


 僕は首を振り、合掌のように両手を会わせ、龍魚が死んだことを伝える。


 ジト……ッ


 アルタミナさんに、非難の視線が集まる。


 黒獅子のお姉さんは、


『あはは……』


 と、言いたげな表情で、自分の髪をかく仕草をしていた。


 全くもう……。


 きっと僕だけでなく、全員、あの放電の余波で感電し、痛かったんだと思うよ。


 でも、ま、


(龍魚から身を守れたから、いっか)


 と、思い直す。


 実際、威力が弱すぎて、龍魚に噛まれる方が怖い未来だろうしね。


 クレフィーンさん、レイアさんも許しの表情で、アルタミナさんも次は気をつけるねって笑顔である。


 ……うん。


 言葉なくても、意外と伝わるね。


 長年の付き合いだから?


 いや、僕は短いけど。


 でも、相手の表情でわかるぐらいお互いを理解してるって事実が、何だか驚きで、でも、素直に嬉しかった。


 やがて、再び水中の移動を開始する。


 横穴へと入り、慎重に泳いでいく。


 亀裂の壁や天井、床には無数の水草が揺れ、発光性のクラゲや小魚も泳いでいて、少し幻想的だった。


 コポポ


 幸い、龍魚の襲撃はあの1回のみ。


 あとは、特に危険もなく。


 やがて、亀裂の横道を泳ぎ切った僕ら4人は水面に向かい、そして、青い水の世界から洞窟の次の空間へと浮上を果たしたんだ。

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― 新着の感想 ―
流石に湖の中となれば探索は困難だし、80年前に発見されるのも無理ないよね・・・レイアさん的には「たった80年前」かもしれないけど。こうした水中装備があるとなれば、他のダンジョンでも・・・という訳か。
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