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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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148/168

148・森を出発し、先へと進む!

 僕らは、グレシアンの里を出発した。


 動き出した竜車に、見送りに集まった里のエルフたちが手を振ってくれる。


(どもども~)


 窓から身を乗り出し、僕も手を振り返す。


 皆、明るい表情で『火枯れの熱死病』は、ちゃんと収束に向かっているのだと感じさせてくれた。


 ふと、隣を見る。


 赤毛の美女エルフさんが、その光景を眺めていた。


 少し遠い表情。


(…………)


 出発前、彼女の家族と別れの挨拶をしたけれど、やっぱり名残惜しそうだったな。 


 あと妹さんに、


「お姉ちゃんをよろしくね」


 と、頼まれた。


 僕も「うん」と頷き、彼女も笑ってくれた。


 でも、そのあと、そのお姉ちゃんに「何言ってるの」とコツンと頭を殴られていたけれど。


 あはは……。


 思い出したら、苦笑しちゃったよ。


 あと、女長老のクラシュレアさんには、万が一のために、今、森に生えている『霊薬草ネクレタール』の場所を教えておいた。


 僕らがいなくなったあと、また流行ったら困るからね。


 里から周囲を指差して、


「この方角に23万2477メードと、こっちの方角に24万16メード、あと、こっちの方角に……」


 と、6箇所、伝えておいた。


 彼女は唖然としていたけどね。


 でも、レイアさん、ルクレードさんの口添えで信じてもらえた。


 女長老さんは、


「長い時の中では、極稀にこのような不可思議な人の子も生まれるものなのだな」


 なんて、最後は感心していたよ。


 まぁ、うん。


 僕というより、真眼君が不可思議なんだけどね。


 ともあれ、改めて感謝され、今後のために人を派遣して採取しておくことになったらしい。


(うん、これで安心)


 僕らも心置きなく旅立てるというものだよ。


 で、出発。


 先のようにエルフさんに見送られながら、竜車は森の道を走り出したんだ。


 ザザザ……


 進路上の木々が避けていく。


 相変わらず、不思議な光景だ。


 通り抜けたあとは、木々が戻ってしまうので、里はすぐに見えなくなった。


 ……少し寂しい。


(ま、仕方ないね)


 僕らには、やることがあるのだ。


 世界を守るため、ファナちゃんを守るため、僕らの未来のために『高濃度汚染体』を倒さなきゃいけない。


 長居はできないのだ。


 ちなみに、御者席にはルクレードさんも座っている。


 銀髪のエルフさん曰く、


「里の恩人が無事、森を抜けられるよう、最後まで守るように長老たちに頼まれたのだよ」


 だってさ。


 すみません、ご足労かけます。


 でも、彼の戦闘力は1520――その護衛である。


(頼もしいし、心強いや)


 正直、ありがたいです。


 要は、あの『深緑の大角竜』に襲われても、僕ら、何もしなくても平気ってことだもんね。


 うん、大船だ。


 僕は安心し、座席に寄りかかる。


 と、その時、


 パチッ


 隣席の金髪の未亡人さんがこちらを見ていて、ふと青い瞳と目が合った。


(お……)


 彼女は淑やかに微笑む。


 うん……美しい。


 僕もはにかむ。


「エルフの里、素敵な場所でしたね」


 と、僕は言う。


 彼女も「はい」と頷いた。


「このような場所に来るのは、私も初めてでした。思わぬ良い体験ができたと思います」


「ですか」


「はい」


「また来たいですね」


「ええ」


「今度はファナちゃんも一緒に、遊びに来ましょう」


「え?」


「この剣もありますし」


 カチャ


 鞘に納められ、腰ベルトの金具に提げられた『霊樹の小剣』を触る。


 グレシアンエルフとの友好の証。


 これがあれば、


(うん、気軽に行ってもいいんだよね?)


 と、僕は思ってる。


 クレフィーンさんは、その美貌をポカンとさせていた。


 別の座席にいるアルタミナさんは笑い、レイアさんは息を吐いて苦笑する。


「一応、隠れ里なのよね」


 と、里出身のエルフさん。


 黒髪の友人は「ま、いいんじゃないの?」と、その友人エルフの肩を叩く。


(???)


 僕は、キョトンとしてしまう。


 クレフィーンさんは少し困ったように笑い、やがて、頷く。


「そうですね」


「え?」


「落ち着いたら、今度はファナも連れて来ましょう」


「はい」


 僕も笑顔で頷く。


「まだ見てない場所、いっぱいありましたから」


「ええ」


「う~ん、また南都フレイロッドにも行きたいですし、クレフィーンさんやファナちゃんと観光したい所、たくさんあり過ぎですね。でも、これからが楽しみです!」


「ふふっ……」


 口元を押さえ、お母様は愉快そうに笑う。


 笑うたび、柔らかな金色の髪が躍る。


 青い瞳を細めながら、


「そうですね、私も楽しみです」


 と、僕の年上の恋人さんは、嬉しそうに言ってくれたんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 3日後、グレシアンの森の外に出た。


 目の前に広がるのは、草原の景色。


 森の道中は、ルクレードさんが『姿隠しの精霊魔法』を使ってくれたおかげか、1度も魔物に遭遇することなく、無事にここまで来ることができたんだ。


 彼は、草原を指差し、


「この先に、人の町に通じる街道があるのだよ」


 と、教えてくれた。


 僕らは頷き、


「ありがとうございました、ルクレードさん」


「何の。お礼を言うのはこちらなのだよ。里の災いを祓ってくれたこと、ずっと忘れはしない。例え、君の寿命が尽きたあとでも……ね」


 パチッ


 彼は、片目を閉じる。


 えっと、エルフジョーク……?


 僕らは顔を見合わせる。


 レイアさんは嘆息し、額を押さえた。


 僕らの反応に、ルクレードさんは滑ったとわかったのか、少しだけ恥ずかしげに笑う。


 そのあと、順番に全員と握手。


 最後に、レイアさんと握手し、


「またいつでも気軽に帰ってくるのだよ、レイア・ロム」


「…………。ええ」


 一瞬、間を置き、彼女は頷く。


 微笑み、


「ありがとう、ルクレード・ロム」


 と、もう1度、伝えた。


 2000歳のエルフさんは、穏やかな笑顔で頷く。


 そして、こちらを向いたまま後ろに下がり、森の中へとその姿が入る。


 ザザッ


 途端、木の葉が舞う。


 彼の姿が隠れ、すぐに風がやみ、舞っていた葉が落ちると、銀髪のエルフさんの姿は消えていた。


(う~ん、格好いい退場)


 僕らはしばらく、目の前の巨大な森を見つめてしまう。


 やがて、黒髪の美女が僕らを振り返る。


「よし。じゃあ、5日間も短縮できたし、このまま『暗黒大洞窟』に1番近い街を目指そうか」


 と、笑った。


 僕らも「うん」と答えた。


 再び、竜車に乗り込む。


 森から吹く風に赤毛の髪をなびかせながら、レイアさんは1番最後までグレシアンの森を見つめ、そして、乗車した。


 ゴトトン


 竜車が草原を動き出す。


 1時間もしない内に、広い街道に出る。


 そのまま、街道を走る。


 半日ほどで、景色は草原から岩の多い風景へと変わった。


 岩石地帯、かな?


 太陽が傾き、赤い夕陽の中、竜車は大小の岩や石が転がる荒野の中を進んでいく。


 そして、


(お……?)


 街道の先、遠くに城壁が見えた。


 ――街だ。


 僕は、目を見開く。


 多分、あれがアルタミナさんの言っていた『暗黒大洞窟』に1番近い街かな?


(……うん)


 目的の戦場は、もう間近に。


 僕は、黒い瞳を細める。


 ゴトゴト


 その街を目指し、僕らの竜車は真っ赤な街道を進んでいった。

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― 新着の感想 ―
エルフ達を救い、時短出来て目的の場所近くの街に辿り着いたが・・・何が待ち受けているのか。
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