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チートな真眼の少年は、異世界を満喫する! ~金髪幼女を助けたら、未亡人のママさん冒険者とも仲良くなりました♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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144/168

144・レイアさんの家族です

 僕らは、移動することにした。


 隠れ里だから、本来、宿屋はないんだけど、ルクレードさん曰く、極稀な客人用の宿泊施設はあるらしいんだ。


「使うのは、150年ぶりであるが」


 チラッ


 と、彼は赤毛の美女を見る。


(あ、うん)


 昔、レイアさんを騙した悪~い男の人ですね。


 彼の紹介で何人もの人間が里に入り、しばらく里の中で暮らしていたそうな……実際は、里の内情を調べるためだったらしいけど。


 う~ん、酷い話。


 騙されたご本人様は、不機嫌そうに唇を尖らせ、口の軽い同胞を睨んでいる。


 あはは……。


 ま、閑話休題。


 僕らは、ルクレードさんの案内で歩き出そうとする。


 その時、


「レイア……?」


「レイアなのか!?」


「お姉ちゃん?」


 と、3つの声が聞こえた。


(ん?)


 視線を向けると、通りの奥に3人のエルフが立っている。


 男の人と女の人が2人。


 彼らは驚いたように赤毛の美女を見つめ、レイアさん自身も目を見開き、3人を見つめ返していた。


 その口が動く。


「父さん、母さん、オーリア」


(え?)


 もしかして、レイアさんの両親と妹?


 その友人2人も驚いた顔で、友人と現れた3人を見比べている。


 ……うん、確かに。


 お母さんはレイアさんと同じ赤い髪で、お父さんは金髪だけど目元がそっくり。


 妹さんは、桃色の髪。


 でも、彼女はお母さんに似た顔立ちをしている。


 ちなみに、両親はレイアさんと同じ人間の20代ぐらいに見え、妹さんは10代後半ぐらいに見えている。


 ヒィン


 と、真眼発動。


(ふむふむ?)


 ご両親は400歳ぐらいで、妹さんは121歳だって。


 う~む?


 人間なら40代と大学1年生ぐらいかしら?


 ずっと里を出たレイアさんを心配しており、『森の守り手』からの話を聞き、もしかしたらと待ち構えていたらしい。


 家を出たお姉ちゃんは、バツが悪そう。


 でも、3人は構わず駆け寄り、


 ギュッ


「おかえり……!」


「ああ、よく無事で戻った」


「お姉ちゃん……!」


 と、彼女のことを強く抱き締める。


 突然のことに、レイアさんは少し戸惑いの表情を見せ、やがて、ゆっくりと家族を抱き返す。

 

 小声で、


「……ただいま」


 と、少しぶっきら棒に言う。


 あらあら……?


 少し頬が赤いですよ。


 素直になり切れない赤毛のお姉さんに、僕は何だか微笑ましい気持ちになってしまう。


 友人2人も同じ表情だ。


 ルクレードさんも笑顔で見守っている。


 ……しかし、


(家族……か)


 僕は、日本にいる両親を思い出してしまう。


 また会える日は、来るのかな?


 それとも、もしかして一生……?


 …………。


 1人、切ない気持ちになっていると、


「シンイチ君?」


 僕の様子に、クレフィーンお母様が気づいた。


 彼女は、心配そうに僕を見る。


 長く綺麗な金髪がサラリと肩からこぼれ、整った白い美貌の青い瞳が至近距離で見つめてくる。


 彼女の瞳の中に、僕が映る。


(……うん)


 僕は笑う。


「何でもないです」


「……そうですか?」


「はい。僕には、クレフィーンさんがいてくれるので」


「…………」


 彼女は、少し目を見開く。


 そして、頷いた。


「はい、私はシンイチ君のそばにいますよ。貴方が望む限り、ずっと……」


 と、柔らかに微笑む。


 その頬は、ほんのり赤い。


 思いが伝わり、僕の顔も何だか熱くなる。


 僕らは、一緒に笑った。


 やがて、家族の再会も落ち着き、僕らはレイアさんの実家に泊めてもらえることになったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 里の中を移動する。


 ルクレードさんとは、ここでお別れだ。


 さすがに人数が多いため、御者さん2人は彼が里の宿泊施設まで案内してくれるという。


 その提案に、御者さんたちは目を白黒して頷く。


 ま、ね。


(150年ぶりだもの)


 今、この世に生きてる人間が誰も経験していないことだ。


 ぜひ、堪能してくださいね?


 と、彼らと竜車を見送る。


 その後、僕らもレイアさんの家族と里の中を歩く。


 妹さん――オーリアさんの紹介だと、里の奥には長老たちの暮らす『長老院』や精霊への親愛や感謝を捧げる『精霊堂』なる大きな建物もあるらしい。


 ただ、


「今は、病人の隔離施設になってるの」


「ああ……」


 伝染病だものね。


 少ししんみりしたけど、


「霊薬草ネクレタールも手に入ったし、皆、すぐに良くなるわよ」


 と、赤毛の姉が言う。


 妹も「うん」と微笑んだ。


(おお……お姉さんしてる)


 なんか、新鮮。


 また、道中、他のエルフさんは見かけなかった。


 皆、流行り病を恐れて、家の中にいるらしい。


(そっか)


 残念だけど、そりゃそうだよね?


 そして、美しい里の風景を眺めながら、やがて、僕らはレイアさんの実家に到着する。


 へ~、ここ?


 凄く綺麗な建物だ。


 白い石と木材、煉瓦を組み合わせた家。


 大きさは一般的なサイズだけど、見た目は上流階級みたいに洗練されている。


 テラスの柵には蔦が絡み、花が咲く。


 招かれ、室内へ。


(おお……)


 2階建てで、吹き抜け構造だ。


 天井、高~い。


 階段も螺旋を描き、手すりには見事な彫刻がされている。


(え、凄くない?)


 もう芸術だ。


 他の家具、調度品も同様で。


 森の奥に隠された700人規模の里なのに……どうして?


 すると、


「エルフは人より寿命が長い分、時間が余るから、1つの物事に長くこだわってしまうの。だから、人の職人並の技巧があるエルフも多いのよ」


 と、人間社会にも詳しいレイアさんのお言葉。


(へ~、そうなんだ?)


 これぞ、知られざるエルフの秘密。


 友人2人も、驚いた表情である。


 でも、そっか。


 人間だと30年のベテラン職人とかいるけど、エルフは300年のベテラン職人がいる感じなんだね?


(そりゃ、凄いわ)


 室内を眺め、僕は技術の高さを再認識だ。


 やがて、個室へ。


 昔、レイアさんの部屋だった場所に案内される。


 へ~?


 机と椅子、空のベッド。


 あと、品の良い箪笥が置いてある。


 3人でキョロキョロ眺めると、元部屋主のお姉さんは「あまり見ないで」と不機嫌そうに言う。


 少し恥ずかしそう。


(いや、でも、見ちゃうよね~?)


 と、クレフィーンさん、アルタミナさんと僕は笑った。


 ここは宿屋じゃないし、一般家庭の家だ。


 他に空き部屋もないらしく、本日はこの部屋に4人で泊まることになった。


 男女同室。


 ま、時々あるけど。


 でも、レイアさんの家族は驚いたようで。


 オーリアさんは、


「もしかして、この男の子、お姉ちゃんの新しい恋人?」


「馬鹿ね」


 コツッ


 と、姉に頭を軽く殴られていた。


(あはは……)


 でも、クレフィーンさんは少し本気にしたのか、心配そうに僕らを見たりしたけれど……いや、大丈夫ですよ~。


 で、家族団欒の時間。


 リビングで、レイアさんは家族と話をする。


 僕らも、同席。


 お茶をしながら、話を聞く。


 家を出て約15年、エルフの感覚としては、多分、2~3年ぐらいの感覚だろうか?


 現状の娘のことを、両親は心配そうに訊ねている。


 時に、


「悪い人間に騙されてない?」


 と、その辺を。


 まぁね、そりゃね。


 150年前でも、家族にとっては娘の一大事だったから。


(今も気にはなるよね)


 で、レイアさん本人はため息をこぼしながら、「大丈夫よ」と答えていた。


 逆に僕らも質問を。


「昔のレイアさんって、どんなでしたか?」


 と、聞いてみた。


 ジロッ


 おう……赤毛の美女に睨まれた。


 怖い怖い。


 でも、彼女のご家族は、むしろ懐かしそうに教えてくれた。


 レイアさんは、子供の頃から好奇心が強かった、と。


 閉鎖された里なので、どうしても若い時分には外に興味を持つエルフは多いけれど、大抵は成長と共にその気持ちも静まっていく。


 でも、150年前の事があったからか、レイアさんは成長しても変わらなかった。


 人間社会を調べたり。


 たまに、森の浅い部分に入った人間の行商人を見つけて、話を聞いたり。


 そして、


「まさか、里を出るなんて……」


「本当にな」


「お姉ちゃん、頑固なのよ」


「…………」


 家族からの評価に、赤毛の頑固なお姉ちゃんはムスッと唇を尖らせている。


 おやおや……。


 だけど、


「でも、そのおかげで、私たちはレイアに出会えたのですね」


「うん、そうだね」


 と、友人2人が言う。


 レイアさんは驚いた表情をし、すぐに微笑んだ。


 その3人の様子を見て、ご両親と妹さんはとても優しい顔をしていたのが印象的だった。


 やがて、日が暮れる。


 夜は、エルフの家庭料理をご馳走になった。


 グレシアンの森で採れた山菜や果物、また動物の肉などを使った料理で、


「うん、美味しい!」


 と、満足できる味だった。


 いや、これ、料理店で出されるレベルの味だよ。


 あ、そっか。


(長い寿命で、料理職人にもなってるのか)


 エルフ、凄~い。


 で、あっという間に完食。


 おかわりも頂いたりして、作ってくれたレイアさんのお母様も嬉しそうだった。


 食事も終わり、やがて解散。


 その日の就寝のため、僕らはレイアさんの昔の部屋に戻ったんだ。

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― 新着の感想 ―
長い時を経ているから技術とかで凝ったりするんだね・・・しかしこの世界のエルフ、普通に肉食べるんだ。
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