2-8 投稿動画「最硬のフェアリーライダー、あっけなくダウンする」11.9万再生 3年前
「フェアリーライダーがカッコよすぎる」
このどこか寂しげな全身鎧はフェアリーライダー、自称では妖精騎兵と言い、第八自治政府周辺の森に生息する英雄気質の戦士になります。
妖精騎兵は身長約160センチ、体重なんと42キロと決して大きくはありませんが、
驚くべき事に物質強度で最強である硬度10の鎧を創ることが出来ます。
この圧倒的な防御力は危険が伴う森の探索に必要不可欠であり、
天敵から身を守るための強力な手段となります。
そんな卓越したチカラを獲得した妖精騎兵ですが…………最も優れた性質は命を賭けてパーティーを守る愛情深さにあります。
妖精騎兵は孤高の戦士が四名のパーティを守る形で地上を探索します。
そのため地下を攻めるパーティに比べ天敵が多く、通常の獣や魔獣に加え、ドリモールスとかいうバチクソに怖い土竜まで襲って来ます。
そこで妖精騎兵はパーティを守るために驚くべき行動を取ります。
なんと自ら囮になり、強敵をパーティーから引き離すのです。
ですがこの最硬の戦士だからこそできる命懸けの作戦により、新米パーティーは難敵に襲われることなく避難できるのです。
数多のパーティーを守るため安全を第一に考える妖精騎兵ですが、おとりになる上で致命的な欠陥があります。
それは「割と攻撃が通る」事です。
フェアリーライダーはさんざん最硬の戦士ともてはやされていますが、冷静に考えると大した防御力でもありません。
所詮物質としては一番硬い鎧を着てるだけで、クッション性などがゴミすぎて話になりません。
そのため、魔獣はおろか神獣を相手に耐え切れる気満々で囮になりますが、そのまま気絶し帰ってきません。
しかし、守るべき者のためにも彼は諦めません。
最硬の戦士から無駄な抵抗を繰り返すヤケクソの戦士と化し、最後は潔く連れていかれます。
それが、二度と出会えない戦士、妖精騎兵なのです。
◆
「気になってたんだが…………この後、どうやって復帰してるんだ?」
「あー、繭みたくなって携帯食喰いながら、クソと一緒に出てくるの待つんだよ」
「き、訊くんじゃなかった……普通に喰われるんだなオマエ」
決起前の下準備、俺達は過去の評価を二人でおさらいしていた。…………気がついていたが、どうもフィーは二号の前ではカッコつけるようでこういう事をしないらしい。
「で? また多くを率いる訳だが…………今度は上手くやれそうか?」
「当然。今の俺は一人じゃないからな」
語らうテーブルと同じ、ガラスの精神に熱をくれたであろう少女。
エイル・クロースに思いを馳せつつ、状況を次へと進めていく。
皆が、待ってる。




