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第1話「女神の居る街」【Eパート ドリーム・チェンジ】

 【5】


 1時間ほどぶりに戻ってきた礼拝堂。

 その大きな扉を、勢いよく華世は蹴り開けた。

 物々しい音に、奥から神父クランシーとその妻マリアが姿を表す。

 

「何の騒ぎかと思えば、華世さんでしたか。そちらの方は?」


 鋭い目つきをクランシーから向けられた咲良が、胸ポケットから手帳を取り出して開いて見せる。


「ちょっとよろしいですかね? 私はアーミィの者です。あなた達にすこしお話がありまして」

「……ふむ。リリアン、こちらに来なさい」

「パパ?」


 呼ばれたリリアンが華世たちの元を離れ、クランシーの側へと移動する。

 気づけば、彼らの背後からいかにも警備員といった風貌の男たちが銃を持って集まってきていた。


 そのとき突然、頭上からバキンと金属が壊れるような音が聞こえてくる。

 華世がその音の方へと顔を向けると、目の前には落下する巨大なシャンデリアが────。



 ※ ※ ※



 シャンデリアが床に落下した激しい音が、静かな礼拝堂へと響き渡った。

 飛び散ったガラス片が床を転がり、辺りに散らばってゆく。

 破片混じりの土埃でシャンデリアの堕ちた場所はよく見えないが、このような惨状で生きてはいないだろう。


「パ、パパ……!? 華世お姉ちゃんが……!!」


 目の前で友達がシャンデリアに押しつぶされたのを見たリリアンが、ショックで震えていた。


「ああ、リリアン。あの子達は女神様の怒りを買ってしまったのだ。だからこのような不幸に──」


「へぇ、どうやら女神様ってのは、随分と懐が広いみたいね。一度も祈っていないあたし達を生かしてくれるなんて」

「なっ……!!?」


 土煙が晴れ、その中から姿を表したのは頭を抱えて床に座り込むアーミィの女と、右腕をまっすぐ上へと突き上げた少女・華世。

 彼女の手のひらの上には破片が渦巻き、シャンデリアの本体が宙に浮かんでいた。


「いったい……馬鹿な……!?」

「よくも舐めたマネしてくれたわね、ハゲ狸。リリアンには悪いけど、少し仕置きが必要みたいね」


 シャンデリアの本体を投げ捨てるように壁へと放ち、右腕を前に突き出す華世。

 並々ならぬ迫力の少女を前にし、クランシーは一歩あとずさった。


「お前は……いったい!?」


「そんなに知りたきゃ覚えておきなさい! ドリーム・チェェェェンジッ!」


 叫ぶやいなや、まばゆい光に包まれる少女。

 数秒の輝きに視界を奪われ、思わず目を腕で覆い隠す。

 光が引き、そこに立っていたのは衣装が変わった少女の姿だった。


 桃色を基調としたフリフリの衣装。

 赤いリボンで結われ、ツーサイドアップの髪型となった頭部。

 そして何より目を引かれるのは、金属装甲がむき出しになった、くろがね色に輝く鋼鉄の右腕。


「魔法少女マジカル・カヨ、見参! 逆らう奴は、八つ裂きよ!!」


「マジ……」

「カヨ……?」


「略するなぁぁぁっ!」




    ───Fパートへ続く

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