表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/321

第6話「彗星の煌めき」【Bパート 謎の男】


「……誰?」

「おっと失礼。僕は────」

「わかりますか!? 人対機ミサイルの良さがわかるんですね!?」


 男の自己紹介を潰すように、結衣が食い気味に前のめりになる。

 彼女の目は同好の士を得た事による喜びかキラキラに輝いており、気がつけば男の両手を包み込むように握っていた。


「人間でキャリーフレームと戦うのは無謀だが、ロマンの果てだからね。しかもよく見たらプラズマ粒子弾頭じゃないか」

「はい! 着弾点から直線的にピンポイントで破砕するから、貫通力も高いし二次被害も出にくいんですよ! それにプラズマ弾頭が炸裂したときの青白い爆炎が大好きで、私……!!」


「ストップ、ストーーーップ!! 結衣、あんた話が進まないから止めなさいよ! そこの人も困ってるわよ。で、あなた誰なの?」

「やっと名乗らせてくれるのか。僕は常磐ときわ楓真ふうま。地球圏から出向してきたキャリーフレームパイロットで、階級は少尉だ。よろしく、ドクター」


 いつの間にか頬杖をついてあくびをしていたドクター・マッドへと、楓真ふうまが軽い会釈をする。

 ドクターはドクターで、片手を上げて「よろしく」と言いながら気だるそうに立ち上がった。


「まあとりあえず少尉クン、意気投合したその娘っ子でも連れ出して、一緒にあいさつ回りして来なよ。ほれ散った散った」

「あーっ、ひどいです博士ぇ! その義体の基礎設計したの私なんですよぉ!」

「君の才能は認めるケドね。説明の邪魔をするなって言いたいだけ。少尉クンも、手足の一本でも取れたらまたおいで」


「……できればお世話にならないように頑張るよ。では」


 眉を引くつかせながらそう言った楓真ふうまは、後ろ手を振りながら去っていった。

 後ろ髪を引かれるように数度、振り返ってからポニーテールを揺らしながらその背中を追う結衣。

 ようやく静かになった研究室で、華世はへぇと一つ乾いたため息を吐いた。



 ※ ※ ※



「へぇ、義肢装具調整士か。若いのに立派だね」

「えへぇ~そうですか? まあまだ見習いなんですけどねー!」


 薄暗い廊下を歩きながら、結衣の心は身体ごと跳ね回っていた。

 この14年弱の人生の中、初めてかもしれない話の合う人間。

 それが若くて年上の青年ともなれば、思春期の少女にとっては運命を感じる出会いであった。


 ポチりとエレベーターの呼び出しボタンを押し、二人で足を止める。


常磐ときわさんって、地球から出向って言ってましたけど……」

「今度の作戦に僕の専門知識が必要みたいでね、わざわざ呼ばれたわけさ。地球出身者を見るのは初めてかい?」

「いえ、この基地にもひとりいるんですよ。華世ちゃんとコンビをよく組んでる────」


「ええっ~!? ど、どうして楓真ふうまくんがここにいるの~~~っ!?」


 開いた扉の先に現れたのは、レディーススーツに結った髪。

 エレベーターの中から、咲良が廊下中に響く絶叫を放った。



    ───Cパートへ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 常磐楓真さん、イケメンじゃないですか…? 雰囲気から漂うイケメン臭…。 しかも咲良さんと知り合いとか…えっ、これは…楓真さんをかけた結衣ちゃんと咲良さんの戦いが繰り広げられる形でしょうか……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ