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第4話「パーティ・ブレイク」【Gパート 華世無双】

 【8】


 遠くでキャリーフレームが地に伏す音がこだまし、他の暴走キャリーフレームもその方へと向かっていく。

 その様子を見ていた華世の側面から、頭部を狙うように飛来する薄汚れたカラーボックス。

 華世は右手の鉤爪を振るい、飛んできた凶器をバラバラに打ち崩した。


「デカブツは咲良たちに任せるとなれば、あたしのやることは……!」


 背負っていた斬機刀を鞘から引き抜き、華世へとカラーボックスを飛ばしたジャンクルーへと飛びかかる。

 間延びした鳴き声を発させる暇もなく、一閃のもとに切り捨て。

 骸となったゴミ人形を踏みつけ、次の目標へ。


 植え込みの木に背を向けたジャンクルーの一体が、華世へと壊れた洗濯機を放出する。

 空中で斬機刀を二度振るい、残骸と化した洗濯機を押しのけ、勢いの乗った回転斬り。

 空気を切り裂く音とともに背後の樹木もろとも真っ二つになるゴミ人形。

 メキメキと倒れる木の音を背後に、屋敷の方を見上げる。


「……屋上に誘ってる? だったら、あえて乗ってやるわよ!」


 斬機刀を鞘に戻し、二階のバルコニーの屋根を支える柱へと右腕を向ける。

 手首に力を入れ、義腕の手を射出。

 華世から離れた鋼鉄の指が柱を掴み、手首へとつながるワイヤーがピンと張ったのを確認。

 思い切り石畳を蹴って跳躍するとともに、肩の力を抜いてワイヤーを巻き取る。

 掴んだ柱へと吸い寄せられるかのように、華世は空を走りバルコニーへと着地した。


 即座に反転して手すりによじ登り、柱に向かってジャンプ。

 空中で柱を蹴り、屋敷の壁に足を食い込ませ、天へと跳ぶ。

 あっという間に屋上へと到達した華世に、2体のジャンクルーが廃棄家具の洗礼を発射する。


 先に飛んできた家具へと、斬機刀の峰を向けてフルスイング。

 打ち返された形の家具がもう一つの家具と空中で衝突し、その場に残骸として崩れ落ちる。


 華世は再び右手で斬機刀を握り、腕全体を空を斬るように振るう。

 同時に手首を射出、伸びるワイヤーとともに、弧を描く斬機刀。

 鋼鉄の刃が生み出した奔流が離れた二体のジャンクルーを巻き込み、一瞬でバラバラに散らした。



 ※ ※ ※



「今、上に飛んでったの葉月だろ?」

「本当だったのね、華世さんが魔法少女になったのって!」

「俺、葉月さんがアーミィに入隊したってのも聞いたぞ!」

「すげぇ、まるで正義のヒーローじゃん!」


 地下シェルターに避難するための道すがら。

 華世が戦う庭園を見渡すことが出切る廊下の窓から見える光景に、クラスメイトたちが湧き上がる。

 一大事の真っ只中だというのに呑気に構えているのは、平和ボケか救世主たる華世への信頼か。


「クーちゃん、ほらみんな行っちゃうよ!」


 手を引こうとする結衣の前で、下唇を噛むリン・クーロン。

 対抗心と無力さが合わさって、もどかしい悔しさが心のなかに渦巻いていく。

 ぐるぐると頭の中を支配する嫉妬心の中で、リンの冷静な思考が華世の行動を思い返す。


「いけない、屋上には……!」

「え?」

「このままでは、華世が危ないのですわ!」


 結衣の手を振り払い、駆け出すリン。

 呼び止めようとするクラスメイトや使用人たちの声を振り払い、屋上へと続く階段を駆け上がる。


「お願い……間に合って!」


 願うように、走りながら呟いた。



    ───Hパートへ続く

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦闘パートがかなり熱いですね! ジャンクルーが投げてくるごみの大きさに合わせて、華世が切りつける回数が違ったりする部分がとても細かくて凄いなぁと感じました。 今回も面白かったです!
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