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第19話「決意と旅立ち」【Dパート 契約】

「では、わたくしの巡礼をネメシス傭兵団が助けてくれるということですか?」

「タダとはいかないが、ちょうどしばらく金星圏へと留まるからな。仕事を受けられるなら私が紹介するぞ」

「ちょい待ちや。もしかして全員でゾロゾロ行く言うんやないやろな」


 内宮に言われ、互いに顔を見合わせる華世たち魔法少女支援部。

 リンは言葉で表す前に、華世とホノカの腕を掴んで内宮の前に出た。


「この二人を護衛としてお貸しいただけませんかっ!」

「貸し言うても……二人はどうなんや?」

「あたしは最初からそのつもりだけど……なんでホノカも?」

「女神聖教の関係者で腕が立ちますし、それに……華世は少々わたくしへの当たりが強いときがありますから」

「つまり、ストッパーということですか……」

「もちろん、傭兵仕事として報酬が欲しいならば言い値を出しますわ。二人も護衛がいれば、この旅も安泰ですわよ!」


 そう言いながらオホホと上品に笑うリン。

 一方で遠回しに同行を拒否された結衣たちが恨みがましい目で華世たちを睨んでいた。

 けれども彼女たちをリンが選ばなかった理由は理解できる。

 リンはコロニー領主のご令嬢という、狙われる理由だらけの身分である。

 V.O.軍はもちろんの事、身代金目当ての犯罪者に狙われる可能性も無くはない。

 そうなれば、護衛として戦う相手はツクモロズではなく人間になる。

 結衣やももは生身の対人戦経験が無いため、有事に役に立てない可能性が大きい。

 この巡礼の旅は、学生の観光旅行ではないのだから。


「……それならば、傭兵団側からのオーダーをひとつ良いだろうか。アーミィ名義のキャリーフレームパイロットを一人か二人ほど護衛として追加してほしいのだが」

「パイロットを? 何でや?」

「渡航制限がかけられている以上、傭兵団側はコロニー内でキャリーフレームを動かしにくくなる。もしもキャリーフレーム戦を強いられたときに、時間稼ぎだけでもできる人材が欲しいのだ」


 あくまでも渡航制限や臨検はアーミィが敵対勢力をコロニーに通さないためにやっていることである。

 そのため、いくら内宮と知り合いだとしても傭兵団の戦力はコロニーに到着する度に長いチェックを受ける必要が出てしまうのだ。

 アーミィから身分が保証されている人間であれば、そのチェックを受けることなくキャリーフレームを発進させることができる。

 何が起こるかわからない旅路で、リンの安全を保証するにはそれだけ考えなくてはならない事が多いのだ。


「せやけどなぁ……クーロンのアーミィかてカツカツやで。防衛力強化のために、今回いろいろと運んできてもろたってのもあるし……」


 テルナ先生からの要請に頭を悩ませる内宮。

 まさに今、V.O.軍がコロニーのひとつを占領したところで割ける戦力は無いだろう。

 何が案をと考え始めた内宮の前で、ウィルがひとり勢いよく手を挙げた。


「だったら……俺が行きます!」

「ウィル、あんたが?」

「俺はアーミィの特別隊員だし、防衛力としては数えられてないから居なくなっても困らないはず。それに……」

「華世ちゃんと離れたくないから、でしょ!」


 結衣の言葉に、顔を赤くするウィル。

 華世の前で良い格好をしたい、という狙いが透けて見えるような照れ具合は、逆に信用できる材料だ。


「ではテルナ先生。わたくしと華世、ホノカさんとウィルさんがご厄介になるということで宜しいでしょうか?」

「ああ。艦長たちには私の方から伝えておく。出発は明日でいいだろうか?」

「そんなに早く出られますの?」

「事情が事情なだけに、のんびりする事はできないだろう。内宮千秋もそれでいいな?」

「まあ、ええやろ。ウィルの機体はうちからアーミィに言うて移動させといたるわ」

「ありがとうございます」


 トントン拍子に決まった巡礼の旅への道程。

 華世は明日から乗ることになる戦艦を眺めながら、必要な準備を脳内で洗い出していた。




    ───Eパートへ続く

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