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短編  作者:
8/11

【Twitterお題シリーズ】⑦【#ふぁぼしたフォロワーさんをイメージして小説の書き出し一文】

 鳴り止まぬ雨の音は耳鳴りのように響く。


 こんなにも五月蠅いものなのか、成程、耳を澄ました事は無かったな。


 雨の音の中に、別の音が響く。


 水音の跳ねる音の方へと視線を向ける。


 倒れている為、顔を横に向ける、というだけであるが。


 血相を変えた彼女は、顔をくしゃくしゃにしながら走っていた。


 私に向けているのか、その涙は。

 

「嫌!嫌!行かないで!」


 叫んでいる声は聞こえない。


 耳鳴りが酷い。震える手が、彼女に触れる。


 ああ、声はもう聞こえないけど、私の為に泣いている。それだけで救われる。


 耳鳴りが止んだ。


 耳鳴が止んだよ。


 ほら、雨の音も、聞こえない。

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