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【Twitterお題シリーズ】⑦【#ふぁぼしたフォロワーさんをイメージして小説の書き出し一文】
鳴り止まぬ雨の音は耳鳴りのように響く。
こんなにも五月蠅いものなのか、成程、耳を澄ました事は無かったな。
雨の音の中に、別の音が響く。
水音の跳ねる音の方へと視線を向ける。
倒れている為、顔を横に向ける、というだけであるが。
血相を変えた彼女は、顔をくしゃくしゃにしながら走っていた。
私に向けているのか、その涙は。
「嫌!嫌!行かないで!」
叫んでいる声は聞こえない。
耳鳴りが酷い。震える手が、彼女に触れる。
ああ、声はもう聞こえないけど、私の為に泣いている。それだけで救われる。
耳鳴りが止んだ。
耳鳴が止んだよ。
ほら、雨の音も、聞こえない。




