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役者はそろったかな?

一個前のお話で、ユイがナナミの作る変な空間のことを知っているかの様な描写をしてしまいましたが、よくよく思い返するとユイにはそんな記憶はないはずなので、修正しました。申し訳ないです。

(………ここが……)


 目を開くと、いつの間にか違う場所にいた。全体的に霧に包まれたように真っ白で、何も見えない。見えないけど、周りにいる人たちのことはハッキリと見える。イブ、スティア、ルナ、ナナミ、メル……メル?


「あ、先に来てたのね」


 しれ〜っと隣に立っていたメル。わたしが気がつくと嬉しそうにいう。


「こちらの女神様の力との事……とにかく、ユイちゃん達も来てくれて安心です。 1人でここで待つのは心細くて…… 」


「……ユイちゃん、ねえ。 なんかお前この前と違くね?」


 さすがイブ、そういうことは絶対に気がつく。ニヤニヤしながらメルを問いつめる。けど、それに答えるより早くナナミが言う。


「さてさて、ついにいよいよお揃いでございます。世界を見捨てた虚構の女神を討つための5人……ワタクシが想定していたよりよっぽど早くの集結とあいなりましたが、さすがはワタクシの見込んだお嬢さん。」


「ま、わたしだしね」


「偶然だろどう考えても……そもそもボクがもしライズヴェルに来てなかったらどうなってたんだよ」


「い、いいじゃん別に! こうして揃ったんだからいいの!」


「……勇者の言いたいこともわかる。我やメルリアはまだしも、スティアや勇者が貴様の周りにいることは本当に偶然なのか……くっくっくっ……必要な役者が偶然にも身近にいると……」


「おやおや? なにやら勘違いをしているご様子で。それは至極真っ当、当然のことでございます。」


「え?」


「さてさて、皆さんそこにおすわり下さい。」


 いつの間にやら地面?には座布団が5枚敷いてあった。……とことん形にこだわるなぁ。 とりあえず、言われるがままにわたし達はそこに並んで座る。わたしが真ん中ね。ナナミもその正面に座る。


「必要な役者が偶然にも存在していた……それは真逆でございます。ワタクシの判断で、お嬢さんの周りにいる存在の中から虚構の女神に対抗出来そうな人材を探し、集めるように助言したわけですな。故に近くに揃っていたのは何ら不思議なことではございません。当然、世界中探せばここにいるよにもっと適した人材はたくさんいるに決まっております。しかしそれでは時間もかかるうえに現実的ではございません。ご理解頂けたですかな。」


「チッ……じゃあ上手く乗せられたっことかよ…こいつチョロいしな」


「そもそも、わたくしには一体何が出来るのででしょうか……?」


「くっくっくっ……貴様が我の力を欲したのも、元はと言えば我と貴様が近づいたからこそだったわけか……天地混沌……つくづく何が起こるかわからない……」


「…………」


(………別にわたしは悪くないからね?)


「さてでは本題。こうして集まって頂いたわけでございますが、女神と刃を交えることになるのはこのお嬢さん一人だけとなるわけなんです。他の方々はその力を一時的にお貸しいただく形になりますな。」


 ナナミは座ったまま、視線だけを5人に均等に向けて話している。なんか上手いなぁ。


「一人? わたしだけ?」


「あらぁ〜……じゃあ、わたしたちは応援とかかしら〜」


「勇者のお嬢さんにはその剣を、狂気のアナタにはその並外れたタフさを、お姫サマはその身に秘めた()()な光を、そこのお姉さんには人の身を超えた存在と対等になるために力を借りる次第でございます。」


「ボクの剣……こいつに貸すのか……普通なら絶対に嫌だな。」


 イブは悪態を着きながら剣を抜いて見つめている。ほかの3人はそれぞれなにか言いたそうに、でも何も言わずにわたしとナナミを交互に見ている。


(全知全能の力で、概念的な力もわたしに付与できるんだ……それなら確かに、ルナのタフさは欲しいよね……スティアの力は女神であることそのものって感じなのかな、女神カーストでは下だけど、女神であることには変わらないからとか……メル……メルのはなんのことだろ。………あっ、もしかしてあの時の………)


 記憶を辿りまくると、一つだけ心当たりがあった。カレンと依頼に行った時、メルを助けるためにカレンが人工遺物(artifact)を召喚した時……カレンは武器が壊れて少し驚いてたし、その後メルから逃げるようにどっか行った……理由は不明だけど、王家の血はカレンに対抗出来る何かしらの力があるのかも? メルが必要なのはそのためで、今回はその力をわたしに貸すことになるのかな。


「そして、力を貸したらあとの方々は祈って見守るしかございません。準備が出来たらワタクシの力でカレンと戦うことのできる場所へと誘います。どうやらカレンとしてもお嬢さん達を倒して、邪魔するものがいなくなってから目的を果たしたいご様子……つまり、カレンはもう既に完成しているわけでございますな。新たなる女神として、その力を完璧にその身に宿しました。故に……お嬢さんが敗れた時は、お察しください。」


「……早い」


(ココ最近何もしてこなかったのは、最後の仕上げでもしてたのかな……)


 敗れた時は……なんて、考えたくない。勝てばいい、勝てばそれで終わりだから。それに、わざわざナナミの誘いに乗ってわたし達と戦う場所で待つなんて、よっぽどの余裕?


「前置きはもういいだろ? とっととやろうぜ。ボク達の力の一部、こいつに貸すんだろ? 」


 イブが立ち上がると、それにつられてみんなも立ち上がり、やる気を見せる。ルナまでちゃんと乗ってきてくれてるのほんとに違和感。いや、助かるけど!


「あいあい、では……始めるとしましょうか。」


 ―――――――――――――――


「ふむ、これにて完了でございます。お嬢さん、調子は?」


「………実感なし」


 ナナミがみんなを順番に触り、最後にわたしに触れるともうそれで終わったみたい。イブだけは物理的なものだから直接剣を渡してくれた。でも、特になんとも変わりはない。


「くっくっくっ……ならば試しに我の刃で切り刻んでやろうか? 並外れたタフさだと言うならその程度の苦痛など取るに足らぬはず。」


「それなら、私も試しに……」


「やめて!!! なにメルも乗ってきてるの!? 大丈夫だから、女神のこと信じよ!?」


「ご心配には及びません。……では、早速参りましょうか。運命を決める、女神との戦いの場へ。」


「………いいよ、いこ」


(想像以上のトントン拍子……本当に何も落とし穴がない。みんな直ぐに事態を理解してくれたし、力の付与も出来た。それにルナが急に裏切ったりもしないし、カレンもちゃんとまだこの世界にいる……ナナミも協力してくれてる。それならあとはわたしが勝てば、それで大団円。もう少しだ。)


 唯一気になるのは、あくまでのこのメンツは『できる範囲での最適解』でしかないってことかな……もしかしたら全然力及ばない……なんて、いやいや、ネガティブはやめよ! 勝てる、わたし達なら勝てるに決まってる!

総合評価が1000を超えてとても嬉しいです。いつも読んでくださる方、応援してくださる方には感謝してもしきれません。これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。

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