閃光の刃
(……あの二人、すごいなぁ)
2人共『ガチ』になって戦ってるのは見てるだけでもわかる。ルナの方はともかく、あんなふうになってるイブ見たことない。他人のことであんなに怒って、武器を振るなんて………。でも、イブがどんなに本気で武器を振ろうと、魔法を使おうとルナはそれをいなして、かわして、受け止めて……かと思えば、ルナの斬撃もイブは剣1つで受け止める。かなり均衡……?
(ってなにわたしは眺めてるんだ……これじゃあ観客気分……そうじゃない!)
今のわたしにできること……それは、とりあえず……アルマを助けること!?
「……よし、行こう」
1歩踏み出そうとしたその時、背後から肩を掴まれる。
「誰!?」
「し〜……静かに、バレちゃうわ〜」
「スティア……いつの間に……」
背後にいたのはゆるふわ女神、スティア。相変わらずのゆるい笑顔で立っている。
「何しに来たの……」
「ん〜……わたしもね、たまには……みんなみたいに暴れたくて……」
「はぁ?」
「んふふ……見ててね……!」
変な笑い方をして、スティアはその場から消えた。
(なんなの?)
気を取り直して、アルマを助けようと振り返ると、さっきより激しく交戦してるイブとルナ。
「ん?」
激しく、素早く動き回るルナ。でも、イブの攻撃を受け止めて一瞬立ちどまるタイミングが時々ある。そして、何度目かのその瞬間。ルナの背後に突然スティアが現れた。そして……
「えいっ!!!」
スティアは可愛らしい声を出して、ルナの後頭部を蹴飛ばした。ドレスが派手にめくれ上がってる。
「ぐっ!?」
あまりに予想外の不意打ちだったからなのか、ルナは結構な距離吹き飛んで、刃を2本とも地面に落として頭を抑えている。ていうか、あの可愛い蹴りでそんなに飛ぶ???
「な!? なんだコイツ!? 誰だよお前!」
イブもスティアのことはわたしの話でしか知らないから当然パッと見ただけじゃ分からないし、突然現れたせいで全く理解出来てない。とはいえ、チャンスは逃さない。武器を手放してフラフラと立ち上がるルナに剣を向けて、言う。
「なんかよくわかんねーけど……どうやら万事休すって感じだなお前。……当然、死ぬ覚悟出来てんだろ? おい」
「くっ……何者だあの女……不意打ちとはいえ、我にここまでのダメージを与えるなど……考えられん……貴様らの仲間か?」
「あ? ボクは知らねーな……ユイ、お前は?」
少し離れた所にいるイブとルナに聞こえるように、大声で答えてあげないと。
「知ってるーーー!!! めちゃくちゃ知ってる!!! なんなら仲良し!! 」
「だってよ……おい、ユイとお前もこっちこい」
「は〜い」
イブに呼ばれて、わたしとスティアもルナの前に行く。もちろん、2本の刃はこちらで回収済み。ついでにちらっと後ろを見ると、アルマは城の兵士の人達にどこかに連れていかれてる。……手当した後にまた牢屋行きかなぁ。
「ユイ、せっかくならなんか言うか? こいつに対して言いたいこと、お前もあるだろ?」
「……くっくっく……いいのか? 悠長なことをしていると何が起きるかわからんぞ……?」
本心なのか強がりなのか、頭にダメージを喰らって武器を奪われて、更にはイブ剣を向けられているのにまだそんなこと言う。
「言いたいこと……ある。あるよ。……ルナ。」
「……なんだ」
「手を貸してほしい。一緒に……世界を守って。……イブもスティアも一緒。ここにいる4人と、あとメル……メルリア姫……5人の力が必要だから………うわぁ!? イブ、わたしに剣向けないでよ!?」
「チッ……お前も頭でもイカれたか?手を借りたい? 世界を守る? 何言ってんだお前……」
「は?」
(え、ちょ……イブには説明してあるのに……)
「…………」
「……………」
「…………………」
(あ、これあれか)
多分言ってから思い出したけど、引くにひけなくなってるこれ。pride……が邪魔してるね。そしてイブはまたルナに剣を向けて言う。
「………不本意でしかねーけど、ボクもユイと同感だ。今は、今だけは……お前の力が必要だ。…………だから、殺すのはあとにしてやる。」
(取り繕うの諦めたな……)
「ふふ、すごいわね〜あっという間に必要な力が集まっちゃったのね〜。ユイちゃん、さすが〜。」
「あ、もしかしてこの変な女がスティアか?」
「そういうこと」
「……くっくっく……まさか貴様らが我の力を必要とするとはな……つくづく思う……世界は何が起きるか予測など不能……いいだろう……! 我のこの力、貴様らに貸してやる……! 世界諸共滅びて死ぬのは本望では無い。」
まさかの承諾。……これってもしかしてわたしの力も関係してるんかな。
(………とは言っても、これでいいのかな………)
はっきりいって、ルナの本心なんてわからない。今すぐにでも手のひら返しで殺してきてもおかしくない。でも、だからといって信用しない訳にも行かない。とにかく今は、信用するしかないんだ……!
とりあえず、イブには剣を収めてもらって、ルナには刃を返す。本来ならこんなこと絶対しないけど、仕方ない。これに賭けるしかない。周りで見ている兵士の人たちはわたし達がどんな会話をしているかわかってないみたいだからかなり慌ててる。
「ねえユイちゃん、なんだかあっさりいきすぎよね〜」
「それはわたしも思う……なんか、どっかに……落とし穴がありそうな……」




