あ、うん
教会からギルドはまあまあ距離があるけど、報酬が貰えるっていう気持ちが先行しまくってるおかげか、全然疲れることなく直ぐにたどりつけた。
「あ、ユイさん」
中に入ってカウンターの方に行くと、またまたまたしてもいつもの人がいた。ほんとにいつもいる。
「これ持ってきました! ほら、これですこれ!」
「……ああ、なるほど……。ふむふむ……そういうこと……はい、わかりました。では少し待っていてください。」
「はーい!」
渡した紙に目を通し、一旦奥に下がる……何かしらの報酬を取りに行ってくれたんだよね、きっとそう。
「お待たせしました〜。では、こちらがこの件の報酬です。どうぞ。」
受付の人は布の袋を持ってきて、カウンターの上に置いた。
(……あれ?)
見た目、置いた時の音、持ち方……どう見ても軽そう。少なくとも大金が入ってることはありえなく無い?
「……これ、なんですか?」
わたしがきくと、受付の人は笑顔で答える。
「なにって……もちろんお金ですよ? あ、ただ……今回の依頼は教会関係でもあって普段のものと違うといこと、それから一応依頼主……という形になるんでしょうか? フィリアさんって方から言われてて…まあ、なんていうか……かなーーーり本来よりは引かれてますね。あ、でもご安心を。その分はぜんぶ返済の方に回ってるので。予め回しておいてくれるなんて優しい方ですね。」
「あーうん、そうですね……」
(袋の中は……3000ルピア……か)
いや、まあいいけどね? どうせ返済するし。うん、いいよ別に。いいんだよ……でもなんでフィリアさんはわたしの事情知ってるの……。
「あ、そうだユイさん。せっかくなのでお話いいですか? 見ての通り今人少なくて暇なんです。」
たしかに、ギルドの中を見渡すと珍しく人が少ない。
「いいけど……何の話ですか?」
「ユイさんって……神様とか信じます?」
「いきなり攻めますね??? ………信じるか信じないかでいえば………信じてはいないけどいると思う……ですかね???」
我ながら意味のわからない答えだけど、ほんとにそうなんだし。
「なるほど……教会の話が出たので、せっかくなら……と思って。……その、ここだけの話……これはギルドマスターも仰ってたことがあるんですけど、オーリン教会は……すこし信用できません。」
「………」
(なるほど……やっぱりそういう考えもあるんだ……)
「もちろん、教会の教えを否定したりはしませんし、どんな神様を信仰しても自由です。現に、メルリア姫様もオーリン教に関しては好意的です。ただ……」
(お姫様もそうだったんだ……)
「それこそ、今回の依頼もそうなのですが……実は昔は全ての依頼はギルドとお城の管理でした。ですがある時から今回のような、『人間』に関する依頼はお城だけじゃなく教会も受け持つようになりました。……もちろん対象を生きたまま捕まえることが目的なんですが、教会の依頼を通して捕まえた場合……その多くの罪人は、どうなったかわかりません」
「………それって」
「お城から出た依頼であるなら当然捕まった人は国管理する牢屋にぶち込まれるんですけどね」
(なんで急に口悪くなったの……)
そんなこときく隙もなく、受付の人は続ける。
「そしてさらに、教会の依頼の方が危険度の高い人物が多いんです。今回のルナとアルマも、お城の兵士さんたちですら下手に手を出せずにいました。……まあユイさん達が強すぎるってのもあるんですけど、とにかく……普通ならこんな依頼出しませんよ。もしルナ達を捕らえることが出来てたら……一体何を企んでるかわかりません。」
「でも」
「たかがギルドの受付にもそんなふうに懐疑的に思われるなんて……ふふ……正義と光、そして救済を謳う教会なんてものは常にその背後に悪と闇、そして謀略があるものよ……」
「なんでここに…」
いきなり現れたカレン。例のごとくわたしの疑問は無視して受付の人に問いかける。
「あなたと、それからギルドマスター……きった悪くない勘よ。ただあなたではその裏に潜む真なる深淵に踏み込めない……だからこそワタシはユイが欲しいのよ……。ところで、そのギルドマスター……会うことは出来るかしら。」
「あー、多分暇なんでいいですよ。ちょっと待っててくださいね。」
(………あんまり尊敬されてなさそうだよねぇ)
さて、受付の人がいなくなってしまったせいでカウンターの前にはわたしとカレンの2人だけ。ほんとにこの人と二人でいるの嫌だし帰ろかな。
「……まだ帰ってはだめよ」
「だからなぜ読まれる……」
この人ほんとに普通の人間?




