これからどうするの
「はぁ……」
とりあえずお城の外に出て、イブとは別れた。兵士の人達にも特に何も言われなかったから、まあ変な心配はいらないはず。そんなことより……
(なんでこんなことに)
いや、確かに面白いと思うし、嫌じゃない。でも、なんて言うか……全てにおいて、上手くいってるというか……それこそまるで、わたし中心で物事が進んでるような、そんな気分。
「……ま、そんなわけないけどさ」
ていうか結局、なんでルイがわたし達のところに来たのかわからなかったけど……フィリアさんがルイに頼んだってことだろうけど、なんでかな。次会う時あったらきいてみよ。気になる。
「寝よ……」
シンプルに、疲れた。今日だけでも色々ありすぎ。また明日から頑張ろうね。最近全然お金返せてないし、そろそろちゃんと頑張らないと。
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「……はっ……ここは……ここかぁ」
寝たはずなのに、すぐに意識が戻る。気がついた時にはまたあの場所……星空が綺麗な湖のほとり。つまり……
「やほ〜」
「でた、女神……」
呑気に手を振りながら近づいてきたのはスティア。ニコニコふわふわした笑顔で、わたしの方に来て……来て……
「うわっ!? な、なにいきなり!?」
そのまま、抱きついてきた。
「なにって〜特になんでもないわよ〜。ユイちゃんのことが好きだから、こうしたいだけ〜。」
「そ、そうなんだ……」
(女神にも効果出ちゃったよ……)
少し危惧してたけど、まさかほんとにそうなるとは。なんなのこの力。女神さえも惚れさせたよ。…………ん? ちょっと待ってよ……たしか、エルザは『女神様がいるから』って理由でわたしに惚れなかったよね。でも、その女神様はいまわたしに惚れてる……ちょちょちょっと不味くない? っとっと、ドロっとしちゃうよ? 平気?
(……言わなきゃいいか)
バレないバレない。バレなきゃいいんだよ。
「そろそろ離れて?」
「ごめんね〜」
半ば無理やり、スティアは引き剥がす。……ちょっといい匂い。
「で、なんのようなの?」
湖の近くに並んで座り、スティアにきく。
「…………言おうか迷ってたこと。この前はハッキリと言えなかったんだけど、ユイちゃんももう多分……すこし気がついてる。」
「……まさか」
そして、いつになく真面目そうな顔でスティアは言う。
「偶然なんかじゃない。自意識過剰とかでもないの。本当に、ある程度の事象は……ユイちゃんに集まっている。勇者がこの国を訪れたのも、何かを企む黒の人物がいるのも、教会に従う白の女の人がいるのも、誰かがユイちゃんに心を奪われたのも、王の器を持つ人が声をかけてきたのも……偶然じゃない。」
「なに……それ。そういうのはさ、わたしなんかには似合わないでしょ。」
(そんな、因果なんて背負えないし……)
これじゃあまるで、わたしの行動ひとつが世界に影響でも及ぼしかねないよ。なに、わたしって何者? 世界に対する切り札かなにか? トリックスター?
「…………………………………………………………」
「え、いや、何か言ってよ、なに?」
スティアは何も言わず、微妙な表情をしてひたすらわたしを見つめてくる。困るんだけど。
「前にも言ったけど、わたしは全知全能の神じゃないからわからないこともあるの。ユイチャンがこの世界に来た意味も、もちろんわからない。でも……なにか意味があるはずなの。だって、そうじゃないと……」
「じゃないと?」
「………………それはまた今度。」
「またそうやってはぐらかす! 尺を稼がないでよ!?」
「それなら……教会に協力しているあの白い人……あの人のことを持ってよく知るといいと思う。いまのわたしに言えるのはそれだけ。それじゃまたね〜」
スティアは笑顔で手をふり出す。その途端、わたしの視界は狭くなってきて、意識も遠のく。
(……やっぱりエルザ、なにか裏があったりするのかな……)
確かに、前ここでみた映像でもエルザはわたしのことを……
「それにね、わたし気になるの〜。誰がなんのために、どうやって……ユイちゃんにそんな力を与えて、転生させたのか……」
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