負ける理由が見当たらないけどね
「やる気も威勢もそりゃあ結構だけどさ、おまえ……どうみたってもう戦えないだろ。」
(言われてみれば……)
立ち上がって喋ったことに驚いちゃったせいで他に目がいってなかったけど、よく見ると……ルナは服や髪の毛、武器などの装備品的なものは全部綺麗で傷1つないけど、手や足、顔なんかの露出してる部分は、何故か傷がある。足に攻撃なんてしてないはずなのに。それに、さらによく見れば立っているだけでも辛そうで、動き回って武器を振り回したり魔法を使えるようには見えない。
「ふっ……それは否定できない……しかし! いつから我が単独行動だと思っていた!! 」
ルナはまるで勝ちへの確信でもあるかのような表情を見せ、こえをあげる。
「えっ!!!」
「さあ! 愚かなる罪人共に終局の裁きを与えるため、今こそ姿を表わせ! 我が半身アルマ!!」
アルマ。ルナがその名を呼んだ瞬間、わたし達の背後で大きな爆発が起きた。
「うわ!?」
「マジか! もう1人いるってか!?」
振り返ると、凄まじい爆煙。そして、それが晴れると……少し燃える地面の中、ルナと同じくらいの身長の女の子が立っていた。
「あははっは! やっとアタシの番だ……!」
その子はルナと同じくらいの長さの、青い髪。こちらも軍帽みたいなのを被っていて、服装は全体的に白。帽子もスカートも、多分パンツも。なんていうか……ルナの対極、みたいな外見。ブルーの瞳はやっぱり狂気を帯びている。
「アタシはアルマ。ルナに隠れて待ってろって言われてこっそりみてたけど……ルナを追い詰めるとか、てめーら強いんだね。」
アルマはニヤニヤと笑いながら、楽しそうに言う。
「そりゃあボクは強いさ。でも、別にこいつを相手にしても強いとは思わなかったぜ。攻撃してもきいてねーのはちょっとビビったけど……至近距離でやればダメージ入るみたいだし、雑魚だったな。脳筋すぎだぜ。」
そんなこと言うとまたルナがうるさ……
「………っあれ!? ルナは!?」
ついさっきまでそこにいたはずなのに、振り返ってみると居ない。もう一度振り返り、アルマの方を見ると……そっち側にルナはいた。
「なんで!?」
わたしの疑問には答えず、アルマは喋り出す。
「……アルマ。我の後を貴様に任せてやる。今回だけは好きに暴れることを許可してやろう。奪うのではなく………殺せ!」
「あ、おい!!」
ルナはアルマにそう告げて、立ち去ろうと歩き出した。それを見たイブは止めようと走り出した……けど。
「消えた!? なんなんだよあいつ……!」
「魔法……?」
わからないことしかない。教会でフィリアさんから話を聞いた段階では、単なる野盗だとしか思ってなかったけど、事態はもっと複雑かつ深刻な気もする………。
「あーあ。ルナから許可を貰っちゃったらアタシは止まらないよ。……殺される覚悟、できた?」
そう言うアルマの手には、爆弾のようなものが握られている。ついさっきまでなかったことと、若干光ってることを考えると、爆弾に見えるようにしてる魔法?
「なんかさぁ……ルナもそうだったけどさ、お前ら口だけやたら達者で実際は全然強くねーよな。たぶん、動いて戦ってる時間よりこうやって喋ってる時間の方が長いぜ。それってあれだろ? 自信がないからそうやって時間稼ぎ。ほんとくだらねーな。覚悟がねーのはどっちだよ。」
「お、イブ言うねぇ」
「ボクはもっと強いヤツと…」
「なるほど……死ぬ覚悟、出来てるってことか! だったらアタシももう躊躇う必要も無い! 大地諸共消し炭になって焦土となれ!!」
(きたっ!)
予想通り、アルマは手に持った物を一気に投げつけてきた。でも、大丈夫…!
「ユイ! そっちいってるぞ!!」
「おっけー!!」
(今こそこの武器の真価を発揮するときでしょ……!)
地面に捨てたバットを拾い、構える。いつもと違って今回の構えは戦うための構えじゃない。ボールを打つための構え……爆弾なんて、打ち返せばいいんだよ!魔法を纏ったこのバットなら爆発させずに打てるはず! しかも今回はいいサイズの球体…やるしかないでしょ!
「さあ……いくよ!!」




