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第61話 真相と野望(1)

 事件はまだ終わっていない。ボクが持っていた分の薬にも潜んでいた『パラサイト・リーフ』を、フランヌの時とほぼ同様の手順と手段で処分した後、ボク達『青い翼』のメンバー全員は村の教会へと急行した。


 鍵のかかっていなかった教会の玄関扉を勢い良く開けると、祭壇の前に跪いていた神父が教会内部の静寂を破る大きな音に驚いて飛び上がり、ボク達の姿を目にするなり心底忌々しそうに顔を歪めた。


「薬に潜ませた改良型の『パラサイト・リーフ』に支配されずに済むとは、なんとも運の良い奴らだ。どいつもこいつも私の計画の邪魔をして、ことごとく足を引っ張って、実に忌々しいことこの上ない!」


 がたん。教会の帳簿が入れられている粗末な事務机が不意に音を立てた。教会の中にいる全ての人間の耳目が、事務机が置かれている場所の方へ集まった。


 誰かが、否、何かがそこにいた。それは二本足でずるずると緩慢に動き、窓から入り込んでくる月の光でその姿をあらわにした。ボクの背後で花野が小さく悲鳴を上げた。


 昼に教会を訪れた時にボク達を冷たくあしらおうとしたシスターが、全身に『パラサイト・リーフ』を絡みつかせながら、焦点の合わない両目を血走らせて、左右によろよろと体を揺らしつつボク達に近づいてきた。


 ボクとレンは護身用の短剣――いつも使っている武器は休暇中の旅行先だったので持ってきていない――を鞘から抜いて、ローザと花野の壁になるようにシスターの前に立ちふさがった。


「残念だけど、シスターの人はもう手遅れね。――その人の止めは私に任せてちょうだい。そして神父、お前は本当に取り返しのつかないことをしてくれたわね!」


「くっくっくっ。悲しいか。悔しいか。この私が憎いか。その感情こそが私が求めているものだ。見よ、これが私の『加護』の力だ!」


 神父はいつの間にか手にしていたワイングラスを高く掲げると、ワイングラスの中が音もなく黄金の液体で少しずつ満ちてきていた。その液体は疑いようもなく、『黄金の蜂蜜薬』と名づけられていたものと同じものだった。


「『他人の不幸は蜜の味』という言葉を、お前達もよく知っているはずだ。私は他人の不幸、厳密には負の感情を特別な液体――『黄金の蜂蜜薬』に変えることができる、そんな『加護』の力を持っているのだよ」


 神父は驚愕の事実を口にした後、黄金の液体を一気に飲み干した。すると、神父の肌は青黒く変色していき、体からはみしみしと骨と肉が軋む音が聞こえてきた。空になったワイングラスは床に投げつけられ、粉々に砕け散った。


「ノースブルク村ではお前達に暗殺を阻止され、オズウィン砦では偶然にも冒険者の女に私の秘密を知られ、予定が随分と遅れてしまった。だが、今ここに全ての準備が整った。私の計画を、野望を実行に移す時がきたのだ!」


次回は2月19日に公開予定です。

ツイッターもよろしくお願いします!

https://twitter.com/nakamurayuta26


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