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第31話 魔の寄生植物(3)

『青い鳥』で待機してくれていたレンと合流し、ボク達は村長の屋敷へと急行した。突然の来訪にメアリーは驚きつつも、なんとかレウニグスのいる部屋へと案内してくれることになった。


「ここが、村長がローザさんの治療を受けている地下室の入り口です」


 案内してくれたのは屋敷の裏庭にある地下室への、巧妙に隠された入り口だった。おそらくは、まだ王政時代だった頃にこの屋敷に住んでいた貴族が、万が一の時の隠れ場所にしていたのだろう。


「それにしても皆さん、急にどうしたのですか。兵士の方々から『犯人が警戒心をより強くしないよう、外部の事件関係者は可能な限り宿にいるように』って、言われていませんでしたっけ?」


 実際の兵士達の本音は、『犯行を未然に防げなかっただけでなく、外部の人間に事件を解決されたら、自分たちの面子は丸潰れだ』と、まあそんなところであろう。しかし、今はそんな些末なことを気にしている場合ではない。


 ボク達は片手にランタンを持ったメアリーの先導に従って、地下への階段を下り始めると、土の匂いと湿気が全身を包んだ。地下への階段を数十段ほど下りた先に、錆びついた金属製の扉が両側に並ぶ、短い直線の廊下が伸びていた。そして、メアリーは一番奥の左側の扉の前で立ち止まった。


「この部屋にローザとレウニグスさんが……?」


 ボクがメアリーにそう問いかけると、こくりと静かに頷いて扉をノックした。鈍くて重い音が扉から返ってきた。


「メアリーです。中に入ってもよろしいでしょうか?」


「――どうぞ」


 扉の向こう側から聞こえてきたのはローザの声だった。その声を聞いただけで、ローザは心身共に著しく消耗しているのを感じられた。メアリーは錆びついた金属特有の耳障りな音を立てながら、ゆっくりと扉を開けた。


 ボク達が入った部屋は古びた家具がいくつか置かれていて、埃まみれのテーブルに置かれたランタンの頼りない灯りだけが光源の、薄暗くてとても殺風景な地下室だった。


「見つけたのね。事件を解決する方法を」


 ローザは肌寒い中で玉のような汗を浮かべながらボクにそう聞いた。しかし、ボクがローザに答える前に、花野がローザの隣まで松葉杖を床に強く打ちつけながら歩き、強い意志を瞳に宿してこう答えた。


「私が、その方法よ」


 何も言わず、ローザは花野の瞳を見つめ返した。二人が見つめ合ったのは数秒間くらいだっただろうが、その数秒間が何故だかおそろしく長く感じた。


「良いわ、すぐに始めましょう」


 ローザがそう言うと、その場にいた全員に緊張が走った。――いよいよ、事件解決の最終段階に入った。



次回は7月25日に公開する予定です。

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