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第26話 ノースブルク村(4)

 この日のレウニグスとボク達との面会は、ただ、イチノセ村とノースブルク村の西に点在する開拓村が、このままだと開拓事業を中断せざるを得ない状況なのを、お互いに再確認しただけで、特に目立った進展はなく夕方遅くに終了した。


「すまないが、また日を改めて話し合いたい。こちらの準備が出来次第、連絡する。滞在費はこちらで用意しよう」


「お気遣い有り難うございます。お言葉に甘えさせて頂きます。それでは、また後日、よろしくお願いします」


 やや疲れ気味のレウニグスとローザがそう言うと、席に座っていた全員が立ち上がり、ローザはメアリーから銀貨の入った袋を受け取った。


 面会中に議論が交わされている間、ボクとレンは内容についていくのに精一杯で、花野はそわそわと終始落ち着かない様子だったので、議論についてはローザに全て任せきりになってしまった。


 応接室から出て一階に下りた後、ノースブルク村で一番良い宿をメアリーから教えてもらったので、感謝の気持ちを伝えてから足早に屋敷を後にした。


「早く宿に行こうぜ。もうクタクタで、眠くて仕方ねえよ」


 レンは大きな欠伸をしながら、馬車に乗り込んで手綱を手にした。次にローザが花野を支えながら二人同時に、最後にボクが屋敷を一瞥してから馬車に乗り込んだ。そして、レンが馬車の中に全員いることを確認すると、馬車は人混みで溢れた大通りを進み始めた。


 目的の宿に向かう途中、大通りの心浮き立つ喧噪や、ノースブルク村の特産品だという冬に咲く花の花壇を見物していると、周囲の人々とは異なる雰囲気で必死に何かを訴えている者がいた。


 ボクはよくよくその人物を観察し、必死の訴えを聞いてみると、どうやら身なりの良い小太りの中年男が、最近のレウニグスの失策について「責任追及すべし」と、言っているようだった。


「ポンペオ前議員ね。ここぞとばかりに、面倒なことをしてくれるわね」


 隣に座っているローザが小太りの中年男を見るなり、嫌悪感を露わにして吐き捨てるように言った。


「あの、ポンペオって人が、どうかしたの?」


 ボクは戸惑いを隠しきれないまま、刺激しないようにそっと顔を覗き込んで、恐る恐るローザにそう聞くと、ローザは少し気まずそうにボクから視線を外した。


「レウニグスさんの前任で、汚職で議員と村長を罷免された人よ。……よくもまあ、人様の税金を横領しておいて、あんな事が出来るわね」


 ローザはポンペオをもう一度だけ忌々しげな目で見た後、もう視界にも入れたくないとばかりにそっぽを向いた。


 そして、ボク達はそれから宿に着くまで押し黙ったまま、馬車の中から大通りの喧噪を眺め続けた。



次回は6月13日に公開する予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 政治がらみのゴタゴタに巻き込まれちゃうのかな(;´・ω・)
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