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第75話:第一王子の反応2

 三大超大国と"亜人統一連盟"間に和解が結ばれ、一週間ほどが過ぎた頃のアルバティス王国。

 宮殿の"王の間"では、第一王子のニコラスが書類仕事に勤しんでいた。

 ネオン欠乏症はとりあえず落ち着き、どうにか日常生活を取り戻せた。

 だが、ぶり返すのが時間の問題なのは明白だ。


(国内の混乱はだいぶ終息できた。あとは、三大超大国との関係改善が済めば、ある程度時間が生まれる。ああ、早くネオンに会いたい……私のネオン……)


 ニコラスの奮闘と手腕により、王国の国内情勢はほとんど平時に戻った。

 三大超大国との関係が元通りになれば、愚かな父たちが巻き起こした問題はなくなる。

 そう思いながらネオンのぬいぐるみを吸っていると、文箱を持ったギルベールが入室した。

「ニコラス様、三大超大国から書簡が届きました」

「見せてくれ」


 文箱を開けると、三者三様の封蝋をされた手紙が入っていた。

 ニコラスは丁寧に中身を確認する。

 まずは、"亜人統一連盟"と呼ばれる、人間への敵対心を持った亜人の大規模な組織について記されていた。

 ニコラスも噂程度に知っていたが、アルバティス王国に組織の関係者はおらず、被害も出ていなかった。

 ターゲットにされた三大超大国は大きな被害が出ており、対話を望んでいた。

 人間と亜人の溝は深かったが、なんとネオンが両者の間を取り持ったらしい。

 連盟は武装解除し、互いのよりよい未来に向けて協力するとのこと。

 ネオンの活躍もあり、三国ともアルバティス王国との国交を完全に正常化したいという旨が書かれている。

 最後まで読んだニコラスは感動で震えてしまった。


「そんな大役を果たすなんで、やはり君は素晴らしい……。世界一の弟だ! 私はネオンの兄であることが非常に誇らしい! 今すぐにでも国を挙げて祝いの宴を設けたいところだ!」

「仰るとおりでございます」


 "亜人統一連盟"を巡るネオンの活躍は目覚ましく、アルバティス王国と三大超大国の関係改善に極めて多大な貢献をした。


「私は一度、ネオンに会いに行こうと思う。留学から帰ってまだ挨拶もできていないし、我が弟を思いっきり愛でたい。明日の朝にでも出立しよう。馬車を用意してくれ」

「ええ、早急に王国一の早馬を準備いたします」

「ありがとう、ギルベール。……さて、ネオンの下に行くとなれば、悪い虫を追い払わないといけないね」


 宮殿内を調査した結果、ネオンはメイドのブリジットと一緒に飛び地に転送されたことがわかった。

 ネオンは一人で飛び地に向かったと思っていたが違った。

 "年頃の女性"と一緒に、飛び地に行ったのだ。

 自分の知らないところで、いったい何をされているのか。

 抱き枕にされていないだろうか、はたまた無理やり夫にされていないだろうか……。

 あれこれと妄想や想像を勝手に膨らませ、ニコラスは嫉妬で身も心も燃やし尽くされそうだった。


「ふふっ、私のネオンを誑かすとは良い度胸だ。誰が一番ネオンを愛しているのか証明しなければ……」


 ニコラスは残っていた仕事を爆速で進め、ネオン王国訪問に備える。


 翌朝早く、いよいよネオン王国に向かうときが訪れた。

 ギルベールが用意した馬はどれも名だたる名馬ばかりで、通常の旅路よりずっと早く進むことができる。

 ニコラスはギルベールとともに乗り込むと、さっそくネオン王国に急がせた。

 前と後ろには護衛や付き人たちの馬車が続く。


(待っていなさい、ネオン。今からお兄ちゃんが愛しに行くからね)


 その胸に強く深い愛情を抱いて……。

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