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第52話:転生王子、主の龍を仲間にし、イキリ冒険者を勝手に改心させる

「本当にすみませんでした……」


 正座して謝罪するマルクの、絞り出すような声が呟かれる。

 ブリジットたちに滅多打ちにされた彼は、今や魔物に襲われた時以上に満身創痍となっていた。

 顔や腕には何個もの青タンが浮かび、息も絶え絶えだ。


 ――すごい痛そう……。


 というのが素直な感想であった。

  

「マルクさん、シーカーを道案内につけますので、どうぞ出口に向かってください。ここに来るまでの魔物は全部倒しましたし、罠の場所もわかっているので安全に行けると思います」

「はい……」


 ネオンの言葉に、マルクはしおしおと答える。

 シーカーが案内を始めると、仲間を連れて出口に歩き出した。


 ――これで一安心……かな。


 ネオンがタブレットの記録情報を見ながら進み始めると、ブリジットがマルクの背中に厳しい視線を向けながら言う。


「ネオン様は優しすぎます。あのような輩の性根は、死ななければ治らないのです。どうせ生かすなら、目玉の一つや二つ潰しておけばよかったですね」

「あ、いや、なんとも……」


 実のところ、エリクサーを生成しようとは思った。

 だが、ブリジット始めみなに「そんな必要はない」と言われ、見守るに徹したのだ。

 何はともあれ、ネオン一行はダンジョンを攻略するため最下層に向かう。


 一方、ダンジョンの外に戻れたマルク。

 終始しおらしかったが、シーカーがダンジョンに戻った瞬間、本性を剥き出しにした。


「あのネオンとかいうクソガキ、二度も俺に恥をかかせやがった。……許さねえ。こんなに腹が立ったのは生まれて初めてだぜ……おい、お前ら、出口で待ち伏せして復讐するぞ!」

「「あんた、馬鹿ぁ!?」」

「うるせえ! 俺の言うとおりにしろ! 殺すぞ! お前らから先に滅多打ちにしてやろうか! 俺はマジだぞ!」

「「俺たちはなんて人について来ちゃったんだ!」」

 

 マルクは剣を振り回し、仲間に無理やり準備をさせる。


(あんなガキに良いようにされて終わってたまるか。最強は俺だ。俺がこの世で最強の存在なんだよ)


 助けてくれた礼など忘れ、ただただネオンに対する復讐心を募らせるばかりだった。



 □□□



「ここが……主の部屋……」


 およそ小一時間ほど後、ネオンたちは最下層に到着した。

 これはダンジョンの難易度"神話級"を考えるとありえない速さだった。

 攻略には三大超大国の専門部隊でも、二週間はかかるだろう。

 ここに棲息する魔物は最低でも上級で、中層からは超上級以上となった。

 だが、ネオン一行は合流したシーカーによる詳細な分析もあり、最短経路で進み、全ての罠を回避し、魔物は逆に不意打ちして突破してきた。

 装備している<神裂きの剣>の破壊力は凄まじく、ついさっきもネオンがたった一人で伝説級の魔物を三体ほど屠ってきたところだ。 


(やはり、ネオン様は今まで出会ったどの冒険者よりもお強いです……)

(帝国一の冒険者パーティーがネオンのことを聞いたら、ショックで引退するかもな)

(ボクの探索魔法でもこんなに細かく分析することはできないよ)

(ネオンさんがいなかったら、今頃はまだ5階層付近に留まっていたでしょう)


 事前の情報があれば、これほどまでに攻略が楽になるのかと、数多のダンジョンに踏み入ってきたブリジットもスパイ三人も思った。


 ――最下層までは問題なく来られたけど、まだ最後の難関が残っている。扉に刻まれた防御の魔法陣だ。

 

 主の部屋の扉は5mほどの高さがあり、全面には防御の魔法陣が展開されている。

 鍵穴も確認できず、物理的な解錠は不可能だ。

 ネオンは学んできた魔法の知識を思い出しながら見るが、"解除は難しい"ということしかわからなかった。


「これは……なんだかすごく複雑で強そうな防御魔法陣だね」

「ええ、おそらくですが、数千年前にこの大陸を支配していたとされる全域大王朝時代の魔法が使われています。一度目にした古文書に、似たような術式が記載されていたことを覚えています」

「ボクが見るに、全域大王朝の黎明期に開発された術式だろうね。この時代の物だと仮定すると、魔法陣上で術式を書き換えなければならないか……」


 ネオンがぽつりと呟くと、ブリジットとベネロープによる極めて専門的な魔法談義が始まる。

 ルイザとキアラは二人ほど魔法には詳しくないが、対策談義に加わる。


「解除が難しいんなら、ぶち破ってやる……と言いたいところだが……」

「わたくしの薬で溶かしましょうか? と申し上げたいですが……厄介ですね」


 超攻撃による正面突破を提案するが、魔法陣には反射の術式も組み込まれていることに気づいた。

 下手に突破を試みると反撃される危険がある。

 だが、術式の解析には年単位かかる可能性があった。

 反射の術式ごと破壊するため一斉に攻撃しようと話がまとまりつつあると、ネオンはみんなに告げた。


「待って。攻撃しなくても扉を開く方法があるよ……《神器生成》!」


 ネオンはスキルを発動する。

 白い粒子が舞い上がった後、その手には小さな銀色の鍵が握られていた。



<万能解錠鍵マスターキー>

 等級:神話級

 能力:全ての閉じられた場所を開ける。



「鍵がかかっているのなら、開ければいいよね」

「し、しかし、ネオン様、鍵穴がございません」


 ブリジットが言うように、この扉に鍵穴はない。

 だが、そんなことはまったく問題ないのだ。


「大丈夫だよ」


 とネオンが言い、扉にマスターキーを当てると、鍵穴が作り出された。

 鍵を差し込んで回すと、いとも簡単に開かれる。

 ドーム状の広大な室内が広がり、周囲を囲う壁は淡く発光しており、部屋全体を隈なく照らす。

 教会を思わせる荘厳な雰囲気だ。

 そして、その最奥には……。


『……ほぅ、人間がこの地に踏み込むのは……ふむ、2025年振りか。我がここに座ってから、ずいぶんと時が経ってしまったものだ』


 全長およそ50m強の、赤黒い鱗を持つ龍がいた。

 書物などでしか見ることのない、神話級の魔物。


「「げ、幻橙龍……!?」」


 間髪入れず戦闘態勢を取るブリジットたちの後ろで、ネオンは厳しい表情でオモチを抱く。

 ――古の時代から生きるとも言われる……幻橙龍。放たれる超高温のブレスは、骨の髄まで焼けるほど熱いのに、幻のような美しさで熱さを感じないという……。

 

 張り詰めた緊迫感のネオンたちに対し、幻橙龍は至極柔らかな雰囲気で話す。


『まぁ、そう警戒しないでほしい。我に汝らを攻撃する意志はないのだ。警戒するのも無理はないがな』


 ――に、人間の言葉!?


 驚愕するネオンたちを見て、幻橙龍はさらに和やかに笑う。


『こう見えて、人と話すのは得意なのだ。遥か昔、人間と旅をしたこともある。……まぁ、そのせいで我はこの部屋に縛り付けられてしまったのだがな』

「え……?」


 幻橙龍が身体を動かすと、左脚に嵌められた巨大などす黒い輪が見えた。

 同じくどす黒い鎖が伸び、部屋の床に突き刺さる。

 幻橙龍は悲しげな瞳で、己に課せられた運命を話す。


『これは"縛呪の念"と言い、術者に対し心を許した存在を縛りつける呪いだ。我は良き友人と思っていたが、その人間にとってはそうではなかったらしい。彼はこのダンジョンの地下に我を縛り付けた。おそらく、我や魔物の力を使い、国か世界を支配しようとでも考えていたのだろう』

「そ、そんな……」

『二度とここには訪れなかったところを見ると、死んだか、それとも忘れてしまったのか……。どちらにしろ、今となってはどうでもいいがな』


 ネオンもブリジットたちも、幻橙龍の辛い過去に胸が痛む。


 ――騙した挙げ句、こんな場所に縛り付けるなんてひどい……。


 会ったこともない人間が行った横暴を思うと、ネオンの頭は自然に下がった。


『……どうしたのだ?』

「人間が……申し訳ありませんでした。謝って済む問題ではないでしょうが、謝らせてください」


 ネオンの謝罪を聞くと、幻橙龍は首を横に振った。


『汝が首を垂れる必要はない。最初は彼に抱いていた憎悪の炎も、とうの昔に燃え尽きた。今、我の心にあるのは虚無そのものなのだから』


 幻橙龍の重く悲しい心情を吐露されたネオンは、いても立ってもいられなくなった。


「せめて、僕にその呪いを解かせてくれませんか?」

『"縛呪の念"を? その気持ちはありがたいが、そう簡単には解けないぞ。我も何度破壊を試みたことか……』

「お願いします。絶対に自由にしてみせます。この剣なら呪いも壊せます」


 ネオンが<神裂きの剣>を見せると、幻橙龍は目を細める。


(やはり、ダンジョンの外から感じた凄まじい魔力はこの少年だったか。何とも強大で、優しく温かい魔力だ……)


 幻橙龍は頷き、脚を前に出した。

 ネオンが軽く一振りすると、"縛呪の念"はいとも簡単に破壊されてしまい、幻橙龍は目を瞠る。


『なんと……我ですら破壊できなかった呪いが……。こんな簡単に……』

「少しだけでも身体は軽くなりましたか?」

『少しどころではない。身体も、そして心もまさしく自由だ。感謝する、少年。汝は類い希な力の持ち主よ』


 幻橙龍は笑顔で礼を述べた後、真剣な表情に戻り、『汝のような強者に頼みがある』と話を続ける。


『我は本当に長い時間をここで過ごしてきた。部屋から出ることはできず、ずっと時を過ごすだけ。幸か不幸か、呪いの影響で餓死の心配もなく、寿命を待つだけだったのだ。だから、少年よ……我を殺してくれ。汝が殺してくれれば、もう何もせず生きる必要もない。ただ時を過ごすだけの時間に、どうか終止符を打ってくれ』

「こ、殺すって……」


 とてもじゃないが、そんな要望は受け入れられない。


 ――殺してほしいなんて……そんなの悲しいよ!


 ネオンがブリジットたちを見ると、みなもこくりと頷いた。

 

「あの、幻橙龍さん。もしよかったら……僕の領地に来ませんか?」

『……なに?』

「生きる必要がないなんて、悲しいです。2000年近くの空白は到底すぐには埋まらないと思います。でも、少しだけでも楽しい思い出を一緒に作れたら……と思うんです」


 ネオンの話に、幻橙龍は自分の心に温かい火が灯されるのを感じた。


(この少年は……優しい。今まで出会った誰よりも……)


 ネオンが懸命に領地について話すのを、幻橙龍は真摯な気持ちで聞く。

 人間の土地でありながら、多種多様な種族が暮らすという土地もまた初めて聞くことであった。


『……ふむ、地上にそのような土地があるのだな。だが、我は幻橙龍。領地の者たちは怖がるのではないか?』

「いえ、最初は驚くでしょうが、仲間になったことを僕がきちんと説明します。みんな、温かく迎えてくれるはずです」


 幻橙龍はネオンの話をより柔らかい穏やかな瞳で聞く。


(言葉の節々から、態度の節々から……我を大切に思う気持ちが伝わってくる……)


 ネオンの優しさを噛みしめた後、やがてこくりと頷いた。


『……では、世話になるとしよう。ありがとう、少年……いや、汝の名前を教えてくれるか?』

「僕はネオン・アルバティスと言います。これからよろしくお願いします。えっと……幻橙龍さん」

『我の名はグランフィードだ。よろしくな、ネオン・アルバティス』

「グラン……すごく立派で、なんだか龍らしいお名前ですね」

『ふふっ、なんだその感想は』


 グランフィードが右脚の爪を差し出し、ネオンはそっと握り返す。

 二人の心が通じ合った様子だった。


「ところで、グランフィードさんはどうやってダンジョンから出せばいいでしょうか? ……あっ、もしかして身体が小さくなったりとか……」

『いや、我にそのような力はない。まぁ、見ていなさい』


 そう答え、グランフィードは全身に魔力を集める。

 地獄のように熱いが、美しいブレスが放たれた。


 ――綺麗……。


 ブレスはダンジョンの各階層を突き抜け、地上まで届く。

 空まで見える道が一瞬で作られたのを見て、ネオンは思わず呟いた。


「す、すごい……。ダンジョンが一撃で突破されちゃった……」

『まぁ、あまり使うことはないがな。さあ、我の背中に乗れ、ネオン・アルバティスよ。他の者も遠慮はいらん』


 ネオンが登るのを助けながら、ブリジットたちは内心この現実に驚愕する。


(まさか、幻橙龍まで仲間にしてしまうなんて……ネオン様のお力は規格外も甚だしいです)

(あの幻橙龍の背に乗る日が来るとはな……。ネオンに会わないあたしの人生じゃ、あり得ないことだっただろう)

(連邦の人間の誰も為し得ないことだろうね。いやはや、お見事)

(もし攻められたら、国が崩壊してもおかしくない龍を戦わずして味方につける……。まさしく、ネオンさんの人柄があってこそですね)


 各々、ただただネオンに圧倒されるばかりだった。


『では、行くぞ!』

「は、はい……!」


 一行を乗せたグランフィードは、瞬く間に地上に出る。


 ――本当に一瞬で着いちゃった。は、速い…………ん?


 ダンジョンの入り口付近で何やら蠢く四人を見ると、ネオンは素直な疑問を感じた。

 

「……あれ? マルクさんたち、まだここにいたんですか?」

「「そ、それがですね……」」

「まさか、ネオン様を罠に嵌めようなどと考えていたのでは……」


 ブリジットの指摘にマルクの仲間が冷や汗をかき始める中、当のマルクはもうネオンに復讐する気は消え失せていた。

 龍が鱗を撫でさせるのは、龍が力を認めた者だけ。

 しかもその対象が少年というあり得ない光景を見た瞬間、マルクは盛大に勘違いしていたのだ。


(俺は……死ぬ)


 グランフィード、そしてネオンとの圧倒的な実力差を目の当たりにした彼に訪れたのは、明確な"死"の恐怖だった。

 古龍から迸る圧と、そんな存在をいとも簡単に従える少年。

 二人の前にいるだけで、未来を勘違いした。


(俺には……自分の未来が見える! この龍に噛み殺されて死ぬ!)


 マルクが絶望に震える一方で、ネオンはグランフィードと談笑する。


「僕の領地は、ここから徒歩で数時間くらいの場所にあります。人間の他にも地底エルフやウンディーネなど亜人の皆さんも一緒に住んでいるんですよ」

『ウニ猫妖精もいっぱいいるウニ』

『ふむ、楽しみだ』


 ネオンたちが長閑に話す中、マルクは勝手に妄想を広げ、勝手に追い詰められていく。


(俺は馬鹿だった! 何もわかっちゃいなかった! イキっちまった! 素人に毛が生えた程度の実力で、世界の中心にいると思い込んじまった! 俺ならこいつに勝てると思っちまったんだ!)


「この辺りの土地は瘴気で汚染されていましたが、みんなのおかげで浄化が進んでいます」

『畑の野菜とか、おいしい食べ物がいっぱいあるウニ』

『僥倖なり。帰りはお主たちを我の背中に乗せて飛ぼう。その方が徒歩より速いだろう』

「ありがとうございます」


 ネオンもグランフィードも笑顔で、みなを包む空気は和やかなのだが、マルクだけは勘違いにより絶望のどん底にいた。


(一言だ! 最初の一言が俺の運命を決める! 最初の一言! 生きたい、生きたい、生きたい! 死ぬのは嫌だ! 死の運命から、生の運命に変わる一言! 人生を懸けた一言!)


 彼の脳は、今までの人生でかつてないほど働く。

 生き存える一言を、生み出すために。

 マルクはみなと談笑するネオンの前に跪くと、静かに首を垂れ、自分の命を救う渾身の一言を述べた。


「俺はゴミ」

「いきなりどうしたんですか!?」

「俺……いえ、私は間違っておりました。今までの自分の行いや言動、全てに恥を感じます。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした」

「え、ええ……? というか、顔がすごく綺麗になってますけど……」


 マルクは本当の死の恐怖やネオンの実力を体感した結果、綺麗なマルクになっていた。

 恨みや過剰な自信、イキリなどは綺麗さっぱりと消失し、まさしく憑きものが取れたような顔だ。


(このお方こそ、私を導く神の御使いだったのだ。ネオンさまに出会わなければ、私はずっと愚かで醜い生き物のままだった……)


 涙を流すマルクを見て、仲間たちは驚愕する。


(あの横暴で、傍若無人で、他人の都合などまるで考えない、自分大好きなイキリーダーが改心した!?)

(やっぱり、ネオンというこの少年はすごい……。彼の人柄と人徳がイキリーダーを改心させたのだ……)

 

 仲間もみなネオンに手を合わせ、拝み、祈る。

 この世界での祈りの言葉が詠唱され始めると、ネオンは思わずおじけづいた。


 ――え、ええ!? これはいったいどういう状況なの!?


 混乱していると、ブリジットが満足気に説明してくれた。


「ネオン様はこの者たちの神になったのです。迷える子羊を導く全知全能の神に!」

「そ、そんな……」

 

 しばらく祈られた後、ネオンはブリジットたちと一緒にグランフィードの背中に乗る。


「じゃあ、僕たちはそろそろ領地に帰ります。さようなら、みなさん」

「「本当にお世話になりました!」」


 グランフィードにの折ったネオンはマルクとその仲間に別れを告げ、空へと飛び立つ。

 一方のマルクは、ネオンの姿が見えなくなるまで手を振ると、感激の涙を流しながら誓った。


「神の御使いネオンさま……私は一生、人のために生きてまいります。それが私がこの世に生を受けた意味だと、あなたさまに教えていただきました」


 マルクは人のために生きられることを、神……いやネオンに感謝する。

 仲間とともに故郷に戻り、冒険者は引退。

 神父を目指し、修道院にて厳しい修行を積む。

 やがて、故郷で孤児院を開き、子どもの教育と街の治安を改善していくのは、また別のお話……。


 □□□


 その後、たった数分で領地に戻ってきた。

 龍ともなれば飛翔のスピードは桁違いだと思う。

 眼下に広がる美しい家々と土地を見て、グランフィードの顔が綻んだ。

 

『ほぅ、想像以上の素晴らしい土地ではないか。見事。……おや、一際強大な魔力を放つ者がおるな』

「あれはセントリーと言いまして、領地を守る巨大ゴーレムです」

「補足いたしますと、ネオン様の生成した神器でございます」

『それは素晴らしい。ネオン・アルバティスよ、我はますますお主に興味が湧いた』


 グランフィードが地上に降り立つと、領民は大変に驚く。


「「りゅ、龍の襲来!?」」

「いえ、大丈夫です、みなさん! こちらのグランフィードさんは僕たちの仲間です!」


 驚くのも束の間、ネオンが背中から顔を出したらすぐに状況を理解した。


『おおおー、幻橙龍とは久方振りじゃなー!』

〔逆鱗売ってくれラビー!〕


 領民たちはグランフィードと、その背中に乗ったネオンたちを見て歓声を上げる。

 こうして、ネオン王国にまた新しい仲間が増えた。

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