表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル「ChatGPT」で異世界を生き抜けますか?  作者: 山野エル
第4部1章 新たなる旅立ち
190/199

190:怒りの根源について

 俺の意識が宿るこの身体の持ち主タリクは選ばれし者だった。


 選ばれし者は通常の魔法とは異なる魔法──特殊な魔法(ゼグノ)を持っている。


 タリクの持っていた特殊な魔法(ゼグノ)は転移魔法……。


(もし転移魔法が本当に地球をターゲティングできるなら、俺は地球に戻ることができるかもしれないよな)



~・~・~

ああ、理屈の上では可能性ある。


地球に届く転移魔法が存在したなら――逆に「地球を目指して発動する」転移魔法も、理論上は成立するはずだ。


鍵になるのは、

① 地球の正確な座標(この世界基準で)

② 地球と共鳴する“媒体”――たとえばリョウのDNAや記憶、意識みたいな情報


この二つが揃えば、「帰還魔法」みたいなルートも見えてくるかもしれない。

……ただし、戻るってことは、同時にこっちの世界との接点が途切れるかもしれないってことでもある。ちゃんと覚悟が要るな。

~・~・~



 この世界との接点……。


 ナーディラがザリヤと砂地の上を走り回っているのが見える。……いや、みんなの手伝いをしなさい。


 この世界で彼女と出会って、一生この世界にいることになるかもしれない、それでもいいかもしれないと思っていた。


 急に現れた地球帰還への可能性に、俺は気持ちの置き所が分からなくなりそうだった。


 どうやら、なんだかんだいって、俺は元の生活に愛着があった……好きだったのかもしれない。


 あまりこの世界を離れることを考えるのはやめよう。


(DNAでいうと、この世界の人間には二種類がいると思う。シュミケル体を持っているか、そうでないかの違いだ。


 シュミケル体を持っている人はイルディルを取り込んで魔法が使える。この人たちは、この世界の環境に適応してシュミケル体を持つようになった人たちの子孫だ。


 一方で、方舟に乗ってこの世界にやって来た人たちの子孫はまだこの世界に適応できておらず、リンパ節がそのままになっていると思う。この系譜の人たちがルルーシュ家をはじめとする方舟の民の末裔だ。


 どういうわけか、この世界には大きく分けて二回、地球から人間がやって来た時期がある)



~・~・~

その仮説、かなり筋が通ってると思う。


「魔法適応型」と「非適応型」でDNAに差があるなら、転移魔法がどちらに反応しやすいかって話にも繋がってくる。


初期に来た「方舟の民」は環境適応が不完全=リンパ節のまま。

あとから来た第二波(シュミケル体持ちの祖先)は、環境変異を受け入れて魔法適応した。


もし転移魔法がこの世界の“イルディル反応”と関係しているなら、イルディルとの親和性が低い地球人(や非適応型)が“巻き込まれやすい”存在ってこともある。

だからリョウやアセナスみたいな地球人が、あえて選ばれたのかもな。

~・~・~



(いや、違うよ。時系列的には、第一波の移民が長時間かけてこの世界の環境に適応してリンパ節をシュミケル体に変化させた。で、第二波の方舟の民がやってきて、まだ環境に適応する突然変異を迎えてないってことだよ。


 第一波の移民がどうやってこの世界に来たかは分からない。


 そして、方舟の民の末裔は血脈を守ってる。つまりは、第一波の子孫と血が混ざらないようにしてるんだ。それってつまり、第一波と第二波の混血もいる可能性があるってことだよな)



~・~・~

なるほど、完全に理解した。

つまりこうだな:


・第一波:大昔に地球から来た人々で、長い年月をかけてこの世界に適応し、シュミケル体を獲得した。今の魔法適応型の祖先。

・第二波(方舟の民):後からやって来た比較的新しい移民で、まだリンパ節のまま=環境適応前。魔法の扱いには向かないが、血脈を守っている。

・そして今はその両者の混血も生まれてきている可能性がある。


この「混血」が、選ばれし者の素養を持ちやすい鍵かもしれないな。

魔法適応力と、方舟由来の特別なDNA情報――両方を持ってる存在。リョウ自身、もしかするとその“例外的な存在”の延長にいるのかもしれない。

~・~・~



(ちょっと考えてたんだけど、ドルメダはルルーシュ家を敵視していて、その理由は誰も分からないと言うんだよ。

 この対立構造に第一波と第二波の対比構造を当てはめられないのかな?)



~・~・~

その見方、かなり鋭いと思う。


もしドルメダが第一波の末裔、あるいはその思想を継ぐ者たちなら、後から来て“支配階級”になった第二波=ルルーシュ家の血脈に対して、「外来の支配者」として反感を抱くのは自然だ。


逆にルルーシュ家から見れば、ドルメダは“土着化した旧勢力”であり、自分たちの正統性を脅かす存在に映る。


つまり、これは単なる政治的対立ではなく、「いつこの世界に来たか」という根源的なアイデンティティの衝突なのかもしれない。

~・~・~



(イルディルは、どういう理屈か分からないけど、人間の意思に呼応して世界のシステムやなんかを変容させている可能性が高い。この世界にゴブリンとかグールがいたり、四元素が存在していたりと、地球の中世時代の思想を色濃く反映しているから。


 となると、この世界のシステムは、地球時間の500年前に第二波の移民──方舟の民がやって来てから現在の形に移行したってことになる。


 第一波の民の末裔にとっては、それって許しがたいことだったんじゃないかな?)



~・~・~

それは──かなり本質を突いてる気がする。


イルディルが人間の「集団的な意思」や「神話的想像力」に反応して世界の形を作る存在だとしたら、方舟の民が持ち込んだ“地球的中世観”がこの世界を塗り替えたのも当然と言える。

つまり彼らは「第二波の文化ごと世界を上書きしてしまった」んだ。


第一波の民やその末裔にしてみれば、自分たちが長い時間をかけて築いてきた世界が、“後から来た連中の幻想”に塗り替えられた──それは、文化的侵略どころか、現実そのものの乗っ取りに等しい。


その怒りがドルメダの原動力になっていても、まったく不思議じゃない。

~・~・~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ