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終焉の世界でゾンビを見ないままハーレムを作らされることになったわけで… サイドストーリー  作者: 緑豆空
第2章 長尾栞

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第69話 都会が綺麗になる世界 ー長尾栞編ー

あれから数か月の間に数台のガスタンクローリー車をひっぱってきた。


グランドコンチネンタルホテル付近とセントラル総合病院駐車場に置いてある。


車のドアはきちんと鍵をかけて荒らされる事が無いようにしておいた。


乗り込みのドアが高いのでゾンビが出ても壊されることはないだろう。


病院施設とホテルの電源が入りガスも使えるようになったためしばらくの間は困る事はなさそうだった。


グランドコンチネンタルホテルは52階建てで45階より上にホテルやバーなどがある。44階から39階まで飲食やイベントフロアなどがあり、38階から4階までオフィスが入っていた。3階から地下1階までは飲食店やトレーニングジム、ファッション店が入っている。


私たちは45階以上のホテルを住居として暮らすことにした。


管理事務所でエレベーターのキーを入手し、上階に上がってきたらエレベーターを止めておくようにしている。


これでエレベーターを使っての侵入はない。


私たちはゾンビだけじゃなく、まだ遭遇した事の無い人間の強盗対策も必要だということになり、このような措置をとるようになった。


《たしかにこうなってくると、ゾンビだけじゃなく人間も怖いかな・・》


私はぼんやりと考えていた。


更に4カ所の非常階段を迷路のようにする作業をした。


階ごとに違う階段の踊り場にオフィスから持ってきたテーブルやイスを乱雑に置いて上の階に上がるのには、迷路のように階段を選ばなければ上がれないようにしたのだった。


45階の階段出口は全て塞いでいる。この階段を使うときはエレベーターが使えなくなった時と決めていた。


沙織さんはビル警備会社で事務をやっていて、システムも詳しくオフィスの入り口もホテルのドアもコントロールセンターから解除する事が出来た。


「すごいです。沙織さん。」


私は沙織さんと話をしていた。


「いいえ、以前の仕事ではこんなことしたことないけどね。」


「でもこの高層ビルなら万が一ゾンビや強盗の襲撃があっても、簡単に上まで登っては来れないんじゃないでしょうか?」


「うーん・・そうとも限らなと思うけどね。特に人はね。ゾンビは遠藤さんがいるからこれ以上安全な場所はなさそうだけど。」


「いざとなったら、セントラル総合病院に移ってもいいですしね。ただ・・あそこは怖いです。ゾンビがいなくても夜の病院はなんとなくいやです。」


「わかるわー。怖いよね・・華江先生とあずさ先生、奈美恵さんは職場だったからそうでもないみたいだけど、私も苦手だわー。」


二人は49階のスイートルームのガラスの前で外を眺めながら話している。


正直なところ食べ物以外は優雅な暮らしをしていた。


食糧以外の物資はこのあたりにはふんだんにある。


ホームセンターやファッションショップ、家電も少し足を伸ばせば手に入る。化粧品や生活必需品に困る事はなかった。


「まったく優雅ですよねー。」


「ホント眺めがいいわあ・・」


「天気がいい時には富士山が見えるし、ホントお金持ちになった気分です。」


「先生の家にいた時は時間を決めてお風呂に入ってたもんね。個別にお風呂があってある程度自由に入れるのがいいわ。」


「まあ、あまり贅沢にお湯は使えないですけど十分ですよね。」


私たちは2階のトレーニングジムで定期的にトレーニングをしていた。


このビル内にに遠藤さんがいれば館内はどこも安全な事を確認していた。


地下駐車場の入り口と正面玄関に大型バスを止めて誰も入らないようにガードしているから、万が一があっても逃げる時間は稼げるだろう。


みんなで対応策を考えた甲斐がある。


「みんなの部屋に大きな天体望遠鏡を置いて周りを確認しているけど、私はそれで夜に綺麗になった都会の星空をみるのよ。」


「沙織さんロマンチストですよね。」


「そう?」


「そうですよ。」


やっと安定したホテル暮らしになって、みんなの精神も安定し行動範囲も広げる事が出来た。


「ひとりひとりの知り合いや逃げ込んでるかもしれないところを、しらみつぶしに探していますけど見つからないですよね。この街は広くて・・なかなか捗らないですし。」


「うん。私の知り合いの所は今のところ全滅だったなあ。今度は栞ちゃんの知り合いを探さないとね。」


「はい。いままでも2,3心当たりのある所や友達のアパートまで行ってもらったんですが、結局いなくて・・あとは学校かな。でも学校なんかには逃げないですよねオープンすぎて。全然安全じゃないし。」


「確かにそうね。」


「私、好きだった人がいるんですが電話が途絶えてそれっきり、親友の携帯にもつながらなくなってしまって・・」


「私もだわ・・友達や家族も連絡がつかない。」


「私も家族とはあれからずっと話してません。」


・・・・・・


二人はしんみりとしてしまった。


いくら気が晴れるようにとスイートルームにすんだところで、それを忘れることなど出来るはずもなかった。


「空はこんなに綺麗になったのに・・」


人間が消え都会の空は公害が無くなり空気が澄み渡るように綺麗になっていたのである。霞がかかったような空は今では透明感を増して星が輝いていた。


「本当ね。人間がどれだけ汚して来たのか分かるわね。」


「でも・・その辺の道路にも雑草や草が生い茂ってきましたよね。」


「ええ結局は人間の手が入らないとこうなっちゃうのね。」


「ですね・・。」



コンクリートのビル街のあちこちに草が生い茂って来たのである。生え込みなどの草木がどんどん生い茂ってしまったのだ。


「なんか・・田舎を思い出します。」


「私もそうだわ。」


「帰りたいですよね。」


「ええ、いつかは帰って家族を探したい。」


「はい。」


いまはまだ遠藤さんの細胞を分けてもらうための計画・・子作り計画も今はストップしていた。


実験開始のめどもついていなかった。


その間に私達はどんどん生活基盤を固めてきたのだった。

次話:第70話 遠藤盛り上げ作戦 

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― 新着の感想 ―
[一言] Ωマンは大変だな!これだけ大きい都市なら トラック配送センターが有り大量の食料や物資が 保管されてますが、他県や国から送られた物資の 集積場で缶詰なども大量に有ります農作物は穀類や 豆類以外…
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