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終焉の世界でゾンビを見ないままハーレムを作らされることになったわけで… サイドストーリー  作者: 緑豆空
第3章 橋本里奈編

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第164話 耐ウイルス人間

遠藤さんとのデートから数日が立ったある日、華江先生から号令がかかりみんなが展望台に集まっていた。


…なんだろう。もしかしたら二人きりのデートの事怒られるのかな?


あのデートの日。遠藤さんと私が帰って来た時には、まだ誰も私たちが居なくなったことに気が付いていなかった。優美さんと沙織さんが内緒にしてくれていたらしい。でも、もしかしたら後から入って来た人たちが漏らしたのかもしれない。


そんな不安を抱きながら展望台に行く。


皆もぞろぞろと歩いて移動していた。


「里奈!」


「あゆみ!話って何かな?」


私の後ろから追いかけて来たあゆみに聞いてみる。


「わかんない。とにかく話があるからって言われただけ。」


「そうか…。」


なんだろう?みんなの前で言われるのかな?嫌だな…


私は心配になりつい口数が少なくなってしまう。


「とにかくいってみよ!」


「そうだね…。」


展望台に着くと医療組と遠藤さんや、菜子様と吉永さんが既に話し合いをしていた。


「あーみんなごめんね。」


華江先生が言う。


「いえ。」

「大事な話ってなんです?」

「もしかしたら何か糸口が?」


それぞれにガヤガヤと聞く。


「まあ一旦みなさん座ってください。」


あずさ先生が仕切る。


とりあえず全員がそろって静かになった。展望台の前にはパソコンとプロジェクター、ホワイトボードなどが置かれて何やら既に書き込みされていた。


「えー、古くからの皆さんも、新しく参加された皆さんも忙しい所すみません。実は我々医療グループが突き止めたことについて話そうと思います。」


良かった…この前のデートの事を怒られるのかと思った。


私は胸をなでおろし集中して話に耳を傾けるのだった。


「まず新しく参加された皆さんには以前もお話した通りですが、遠藤さんの遺伝子にはゾンビを消滅させる能力があります。おおよその遺伝子的情報は読み取ったのですが、なぜそんなことが起きるのかは科学的に何一つ立証されていないのが事実です。」


皆が黙って聞いていた。


「そして、彼の子を妊娠している間は、その能力が妊婦に受け継がれます。」


これも前に話をしていたので皆がうんうんと頷いていた。


「さらに生まれた子が男子だった場合、ゾンビを消去してしまう能力は受け継がれます。しかし女児だった場合はその能力は消えてしまい、一般の女性と同じになってしまうのだと考えられていました。」


ちいさい子供達はそんな話は興味がないようで、展望台の奥の方で外を見たり遊んだりしていた。いつもどおり麻衣さんが子供たちの相手をしてくれている。


「ここまで何か質問はありましたでしょうか?」


あずさ先生がみんなを見て確認を取る。しばらく皆が静かにしている。


「あの、誰も質問は無いようですので続けてください。」


菜子様が言う。


「はい。そして今回首相官邸から持ち帰った検体、およびデータからいろいろな情報を読み取る事ができました。」


皆は静かに聞いている。


「それにあわせて総合的に調べている内容は次の通りです。」


と言って華江先生はホワイトボードを私たちにみせた。


・遠藤さんの遺伝子情報と体組織

・男児の遺伝子情報と体組織

・女児の遺伝子情報と体組織

・未感染者の遺伝子情報と体組織

・新たに入手した検体

・官邸より入手したサーバー情報


「これらを総合的に調べておりました。官邸から回収したサーバーにはいろいろな情報がありました。それは次の通りです。」


・数百万人の感染者情報

・感染経路

・感染拡大地域

・病原菌による死亡者数

・ゾンビに変化するまでの情報

・耐ウイルス者


他…


「他にも膨大な量の情報があって全部は読み解いていません。しかし上記までの情報を調べて凄く気になった事があります。いや発見と言ってもいいでしょう。」


「それは?」


菜子様が聞く。


「はい。それは女児の遺伝子情報と体組織についてです。」


ざわざわざわ


皆がざわつく。


それもそのはずで、消去能力を持っている遠藤さんや男児たちの情報の方が重要に思えるからだ。女児にはゾンビを消す能力が無いのは確認済みだった。


「まあそうよね。今までは私も気が付く事はなかったでしょう。ですがサーバーにあった情報の耐ウイルス者情報がその認識を変えました。」


華江先生が言った事で私達、既存組が一つの事を思い出した。


「先生。」


私が手を上げて言う。


「里奈ちゃんどうぞ。」


「あの、もしかしてあの事故で無くなった男の人と関係がありますか?」


「ええその通りよ。当事者だけに気が付いたようね。」


私を連れ去ろうとしたあの男はゾンビウイルスに感染しなかったのだ。私は目の前で見たがゾンビたちはあの男に率先して群がらず、私の方に向かってきたのだった。


「どういうことですか?」


翼さんが聞く。


「おそらくあれは耐ウイルス者よ。」


私を含むみんなが納得した。新しい人たちはいまいちピンと来ていないようだったが。


「それと女児がどう関係しているのですか?」


「耐ウイルス者の遺伝子情報、体組織の特徴などが、私たちの娘たちの情報と類似しているのです。類似と言うより統計的には99・9%の確率で一緒と言っても良いかもしれません。」


「えっ…。」

「そうなんだ‥。」

「彼女らが…。」


皆が向こうで遊んでいる女児たちを見る。


「はい。今までは彼女たちを連れて行ってもゾンビは近づいてきていました。決して消える事はなかった。でも恐らく彼女らは感染しない体を持っています。」


ざわざわざわ。


皆がざわつく。


先生は次にパソコンをたたいてプロジェクターに画像を移すのだった。

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