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終焉の世界でゾンビを見ないままハーレムを作らされることになったわけで… サイドストーリー  作者: 緑豆空
第3章 橋本里奈編

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第157話 ゾンビから逃れる打開策

ドアの隙間から外にいるゾンビの頭を銃で撃ち抜く吉永さん。


しかしその銃声を聞きつけて、どこからともなくゾンビが集まってきているようだった。ドアの向こうはゾンビでひしめき合っているようで、どうする事も出来ない状態になりつつある。


「もう…弾が切れるわ。」


吉永さんが絶望的なセリフを吐く。


「いろいろと失敗してしまいましたね。トランシーバーを持ってきてさえいれば良かったです…」


愛菜さんが過失を後悔する。


「いまさら言っても仕方がないわよ。」


あずさ先生が言った。


ここにいる全員のミスだった。状況からすれば持ってこなければいけない物を忘れてしまった。武器の調達に頭がいっぱいで抜けていたのだ。


「とにかく、バリケードを押さえるしかないわ!」


「はい!」

「わかりました!」

「ええ。」


吉永さん以外の全員がバリケードを押さえ更なる侵入を防ぐ。吉永さんは銃を使うのを止めホウキを使って一生懸命、侵入しようとするゾンビをひっぱたいていた。しかしまったく効果をなさないようだった。


バギン!


バリケードの上側のドアがまた大きな音をさせてひしゃげる。


「どうやらドアの前に積みあがったゾンビを足掛かりにして、上の方に上がってしまったみたい。」


吉永さんが言った。


「乗り越えて来ようとしているのかしら?」


菜子様が言う。


「いえ、彼らに知性はないわ。恐らくただ詰みあがってしまった屍の上に乗ってしまったのね。」


「私が撃ち殺したから…。」


吉永さんが言う。


「いえ違うわ。そうしなければ既に侵入されていた可能性もある。」


「他に…方法がなかったかしら?」


「吉永さんは最善を尽くしたと思います!」


私が言う。


「そうですよ。吉永さん!吉永さんは全力を尽くしました。」


あずさ先生もきっぱりと言った。


「すみません…。」


吉永さんはホウキでバサバサとゾンビを叩きながら言うが、既に絶望しているようだった。見れば菜子様も真っ青な顔をしている。


「私がここにウイルスに関する情報があるなんて言ったばっかりに…。」


「菜子様!菜子様のせいではありませんよ。」


華江先生が言う。


「だって。」


「とにかく今はここを切り抜ける事だけを考えましょう!」


愛菜さんが言う。


そうだ。菜子様や吉永さんはこんな窮地を乗り越えたことが無いのかもしれない。しかし私たちは更に究極の状況から生き残った経験があった。


それがここにきて強さとして現れる。


「名案があります!」


私が言う。


「名案?どんな?」


華江先生が言う。


「あの隠しカメラの場所は壁が薄い。あそこに穴を開けましょう!」


「できるかしら?」


「やらねば死にますよ!」


「そうね!」


ドアの向こう側にはゾンビが倒れて積み上がり、それもバリケードの役割をしているらしかった。今入ろうとしているゾンビは上に乗っている奴ら。


「じゃあ私が肩車を。」


吉永さんが言う。


「どうやって壁を?」


あずさ先生が聞く。


「消火器をぶつけます!」


私が言う。


「分かったわやってみましょう!」


私が消火器をもって、吉永さんが私を肩車して壁に手を当てながらゆっくり立ち上がる。


「よいしょ!」


ガン!


「よいしょ!」


ガン!


ボロ


「よし!」


このまま続ければどうやら穴が開きそうだった。


「急いで!」


あずさ先生が言うので振り向くと、ドアの上側が更に折れかかってゾンビが見え始めた。


ガン!

ガン!

ガン!

ガン!


とにかく無我夢中で殴った。おそらく火事場のくそ力と言うやつらしい、消火器の重さも忘れてガンガンと壁を叩きまくる。


ボゴオ


「空きました!」


「それでどうするの!」


華江先生が言う。


「じゅ、銃を!」


私が言うと意外な返事が返って来た。


「す、すみません。銃は全て撃ち尽くしました。」


「え…。」


「すみません。」


吉永さんがこれ以上無いような悲壮な声で言う。


「そ、そんな…。」


あずさ先生が呆然とした。


「3丁とも無いのですか!?」


菜子様が言う。


「はい。」


この穴から銃を撃って知らせようと思っていたが、既に銃の弾丸は切れてしまっていたようだった。


「どうしましょう。」


愛菜さんが言う。


せっかく見つかった突破口がまた無くなってしまったかに思えた。


その時


「大丈夫です!」


私が叫んだ。


「えっ!」

「里奈ちゃん?」

「どうやって。」

「声では無理よ。」

「なにを?」


私は吉永さんの肩に乗せられたまま、消火器のノズルを穴に突っ込んだ。そしてピンを外して思いっきり消火器を握りこむ


プシュー!!!


消火器は壁の外に向かって吹き出した。


「どうです?」


私の方からは角度で見えなかったが、バリケードを押さえている菜子様が窓を見て答える。


「白い薬剤が外に噴出してます!」


「やった!遠藤さん!見つけて!」


私は祈りを捧げるように叫んだ。


その時!


バギン


ドアがとうとう壊れてしまった。


のそりのそり


壊れたドアの上部からずるずるとゾンビが入り込んできたのだった!


「きゃあぁああああ」

「入って来た!」

「こ、こないで!」

「わああああ。」


菜子様、華江先生、愛奈さん、あずさ先生がバリケードを押さえるのをやめて、部屋の反対側へ後ずさりして来た。消火器を出し尽くした私は吉永さんの肩を降りる。


「くるなぁぁぁ!」


そして消火器を振りかざしてゾンビに向かって行く。


「わぁぁぁぁ」


シュッ


ゴン!


消火器は這い出て来るゾンビの頭に直撃した、頭がバックり割れるが動きを止めなかった。私は錯乱してなりふり構わず消火器を振り下ろす。


ゾンビは頭が潰れて動かなくなった。


しかし…


次々とゾンビがドアの上部分から入り込もうとしているのだった。

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