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終焉の世界でゾンビを見ないままハーレムを作らされることになったわけで… サイドストーリー  作者: 緑豆空
第3章 橋本里奈編

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第155話 ゾンビ対策のアイテム

ドアの一部が破れボロボロのゾンビの腕が入ってきた。私達が積み上げたバリケード越しに蠢めく腕が見えている。


「入ってくる!」


私は思わず叫んでしまった。


「落ち着いて!薄い部分が壊れただけよ!」


吉永さんが叫んだ。


ドアの下半分はバリケードで押さえられているため、ドア自体が崩壊する事は無さそうだが、精神的に物凄い恐怖を感じる。


「でも、どうしましょう!」


愛菜さんもパニックを起こしていた。


「まずは冷静に。とにかくゾンビが侵入するにはこのバリケードを乗り越えなければならないわ。」


吉永さんの言葉に皆が一斉にそのゾンビの状態をみた。


「確かに、腕が入った部分はドアの薄いところだわ。」


あずさ先生が言った。


ゾンビの腕は空気をつかむようにバタバタしてるだけだった。それ以上何かが出来るようでもない。


「万が一のために救急セットがある。」


華江先生が言う。


出来ればそれを使う事にはならないで欲しい、そしてそうなってしまった時に感染してしまわないかが不安だった。


「とにかくこれ以上の侵入を防がなくては!」


「そうですね。」


あずさ先生がボウガンを構えて腕に向かって撃ちこんでみる事にした。


ボシュ


ガスッ


腕の手首付近から入って肘のあたりまで貫通したようだった。しかしゾンビは動きを止めずに特に何事もなかったように空を掴んでいた。


「これじゃあ無理だわ。」


「かといって拳銃で撃ったところで腕では致命傷を与えられません。」


吉永さんが言う。


「えっとこれならどうですかね!?」


私が見つけたのは消火器だった。備え付けの赤い消火器を持って来る。


「で…どうしましょう。」


私は次の行動が思いつかなかった。


「貸して!」


吉永さんが私の手から消火器を受け取り、上段に振りかぶった。


ガン!バギン!


ゾンビの腕の部分に振り下ろした消火器は、ゾンビの腕をひしゃげさせて折ったようだった。


しかし…


ゾンビは腕を折られてもぴくぴくと腕の先を動かしている。


「ダメだわ。」


「とにかく私たちはバリケードを押さえてるから、里奈ちゃんが何かを探してくれないかしら!」


あずさ先生と愛奈さん菜子様が必死に押さえている。


「わかりました!」


私が周りを見渡すとクローゼットのような扉があったので、そこに駆け寄りクローゼットを開けた。そこはウォークインクローゼットで中に白衣などがぶら下がっていた。


そして足元にあった物は…


「きゃああああ。」


私がクローゼットの中に見た物は白衣を着た研究者らしき人の遺体だった。銃を手に持って顎の下から撃ち抜いたらしい。


「大丈夫?」


「華江先生!これを!」


「うっ」


既にミイラ状態になったクローゼットの中の死体を見て、華江先生が引き攣った。


「銃があるわね。」


「そ、そうですね。」


華江先生はクローゼットの中の死体が握っている手から銃をもぎとった。


「吉永さん!銃が見つかったわ!」


「それはありがたいです。見せてください!」


華江先生が吉永さんに銃を渡した。


「これはSPが使っているSIG P230JP自動拳銃です。」


ガシャ


吉永さんが銃の玉の部分を取り出して見ている。


「6発あります。」


「とにかくありがたいわ。」


菜子様が言う。


「えっとこの銃はあなたが持って。」


吉永さんが私に銃を渡して来た。


「でも撃ち方が…。」


「いまセーフティーを外したから標的に向かって引き金を引くだけよ。」


「わ、わかりました。」


とにかく私も必死なので吉永さんの言うとおりにしてみる。


「クローゼットの中の死体は?」


「ええ、大丈夫です。どうやら頭を撃ち抜いて自殺したようです。」


「他に何かなかった?」


「ちょっと待ってください。」


私は恐る恐るクローゼットの中に入り見るが特に使えそうなものはなかった。しかしクローゼットの入り口付近にある物を見つけた。


「これはどうでしょう?」


私が持っていったのは柄の長い掃除用のモップだった。


「ああ、貸して頂戴。」


私は吉永さんに変わってバリケードを押さえ込んだ。吉永さんはそのモップでゾンビの手を押し込み始めた。


グイ!


ボキン!


さっき消火器で折れた部分から腕が折れて垂れ下がった。ピクピク動いてはいるが特に何が出来るわけでもなさそうだ。折れた付け根の部分は相変わらずぐいぐいと入ってこようとしている。


「とにかくこのドアの穴がこれ以上広がらないように、モップでこの腕を押さえておかなくちゃ。」


吉永さんはモップで必死にゾンビを固定しようとしている。


「いつまでこうしてなきゃいけないでしょうか?」


私が言う。


「恐らく私が検体を取りに行っているのを知っているから、陽が落ちるくらいまでは遠藤君たちは動かないと思うの。だからそれまでこの状態を維持できないかしら?」


華江先生が答えた。


「このまま夜まで…。」


まだ昼の1時だ。これから日没まで恐らく7時間以上かかりそうだった。このドアがそれまで持つかどうかわからないが、ドアの向こうには何体のゾンビがいるのだろう?圧力で押し切られたりしないのだろうか?


と思っていた時だった。


バキッ


またよからぬ音がした。


穴が開いているドアのその隣のあたりの薄い部分が、少し押し込まれたようになった。


「またドアが!」


全員の顔が蒼白になった。


「とにかく!」


吉永さんがその少し壊れた部分をモップで抑え込んだ。


どうやらこのまま夜までもたない可能性が出てきた。皆黙ってバリケードを押さえながら考えている。


「覚悟を決めないといけないかしらね…。」


吉永さんがポツリと言うのに対し私たちの思考は止まってしまうのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 他国と違い日本の警官の使う銃は弾丸が殺傷力の弱い フルメタルジャケットだから予め弾頭に 1㎜程の穴を空けて其処に遠藤君の口内のタイ細胞を 付けた寒天を梅、改めて液状の寒天を掛けて蓋をした物を…
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