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終焉の世界でゾンビを見ないままハーレムを作らされることになったわけで… サイドストーリー  作者: 緑豆空
第2章 長尾栞

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第140話 銃撃を受けて逃亡

なんとか回収した大型バスに私と遠藤さんとあずさ先生が乗り込んで、昨日煙を確認した方向へ進んでいた。煙が上がっていたのは製油所の一つだったが今日は煙が上がっていない。


遠藤さんから1km以上離れるとゾンビが発生するかもしれないので、コンビナートから街道に出て300メートル付近にあったガソリンスタンドにRV車とキャンピングカーを置く。


中から車で追いかけてきそうな相手だった時は、バスでコンビナートの門を塞いでガススタ迄走る事になっている。


「とにかく注意していきましょう。」


「ええ。」


「煙が消えてるという事は人間の可能性ですよね。」


「そうね。」


きっと人が生活しているはずだった。その人たちがいったいどういう人たちなのか分からない為、用心しながら近づいている。


コンビナートの正門が見えてきた。


「どうやらバリケードを作っているようだわ。」


門は鎖で巻いてあり、大きな錠がかけられているようだ。


「間違いなく人がいますね?」


「ええ。」


「ここまで生き抜いて来たという事でしょうか?」


「その可能性が高いわ。」


「という事は武装している可能性もありますよね。」


遠藤さんが言う。


「確かに。」


そして私たちのバスが門に近づいて止まる。


その時だった。


パーン


と音がしたと同時に大型バスのフロントガラスが割れた。


「ヤバイ!」


遠藤さんが大型バスをバックで進ませて後方に逃げる。


「銃です!」


「えっ?遠藤君撃たれた?」


「いえ俺には当たってませんが、フロントガラスに穴が空いてます。」


「とにかく逃げましょう!」


ピーピーピーピー


バックします


という音と共にフルスピードでバックしていくバス。しかし乗用車のそれよりもだいぶ遅かった。


パ―ン!


また銃声がしたが、今度はバスには当たらなかったようだった。


バスを降りるのをやめてそのままバックで国道に出て切り返す。


「とにかくさっきのガススタに逃げましょう!」


「ええ。」


そして私たちは急いでガススタに向かうのだった。すぐにガススタが見えそこには私たちのキャンピングカーが停まっている。キャンピングカーの上から上半身を出しているのは里奈ちゃんだった。


「彼女たちは気が付いてないわ。」


「とにかく急ぎます。」


そして私たちはみんなと合流した。バスを降りてすぐにキャンピングカーまで走り寄る。


「どうしました!?」


血相変えて走ってくる私たちを見て愛奈さんが聞く。


「撃たれました!」


遠藤さんが言う。


「撃たれた?」


「はい。」


「怪我は?」


「大丈夫です。バスが撃たれただけです。」


「とにかく移動しましょう。」


私達はRV車に乗り換えバスを放棄してその場を離れるのだった。


「いきなりですか?」


未華さんが聞いてくる。


「いきなりでした。」


遠藤さんが答える。


「もしかしたら自分たちが襲われると思ったんでしょうか?」


里奈ちゃんが言う。


「そうかもしれない。威嚇射撃の可能性もあるけど、相手は銃を持っているという事だから。」


「確かに。危ないですね。」


「とにかく離れよう。」


愛奈さんが運転をして、問題のコンビナートから離れて行くのだった。


「でも生きている人間がいるという事よね?」


「はい。」


「その人達は今までゾンビに囲まれながら生きて来たのかしらね?」


「そうじゃないでしょうか?」


「なら相手もこれで生存者がいる事に気が付いたという事じゃない?」


「ええ。でもいきなり撃って来たとなると、もしかしたらいままでに襲撃された事があるとか?」


「確かにその線もあるわね。」


私達は北に向かいながらどうするべきかを考えていた。とにかく留まって話をするのは危険だった。もしかしたら相手が追いかけて来るかもしれない。


「でもゾンビがいたとすれば容易に外には出てこないわよね?」


「確かにそうですね。」


「遠藤君。バスのキーは抜いて来た?」


「慌ててそのままです。」


すると、あずさ先生が少し考え込んで言う。


「国道を逸れましょう。」


「国道を?」


「ええ、バスを見つけてキーが刺さっているのを確認したら、乗って追いかけて来るかもしれないわ。」


「確かに。」


愛奈さんは右折してさらに小路に入る。小路をぐるぐると回っていると小学校が見えてきた。


「あの小学校の駐車場に入りましょう。」


あずさ先生が言う。


そしてそのまま小学校の駐車場で数時間をやり過ごした。さすがに小学校に潜んでいるとは思わないだろう。


「どうでしょう?バスは見つけましたかね?」


「もしかすると双眼鏡とかで見ていたかもしれないわ。」


「乗り捨てたことが分かってるという事ですか。」


「その可能性もあるわ。」


「まあここまで逃げれば追跡のしようが無いと思います。」


「そうよね。」


しかし、おいそれとここを動くに動けなくなってしまった。もし動いたところに、あのバスを使って追いかけて来たら鉢合わせするかもしれない。


「でも、ゾンビが周辺にいたのなら、そうそう拠点から離れたりしますかね?」


「うん。そうよね、私達なら追いかけるかもしれないけど普通に考えたら来ないかしら。」


「であれば、ここから迂回して千葉市周辺の研究センターに抜ければ良くないですか?」


「念のためですね。」


「そうそう。」


結局、私たちは国道をそのまま北上せずに回り道を選んだ。


ただ一つ私が思うのは、東京ではなかなか出会わなかった生存者がいる可能性がある。さらに懸念するのはエネルギーや食糧を力づくで奪い合う社会になっていないかという事だった。


「私達には武器が無いわ。」


「ボウガンしかないですね。」


「おそらく銃には勝てない。」


「という事は生存者を見つけても、助けるという行動をとらなくてもいい場合もあるという事ですね。」


「その見極めが非常に難しいわ。」


「はい。」


私達に新たな難問が発生したのだった。



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