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200話 王室

この話で本編200話に到達しました。

お読み戴いている方々。誠にありがとうございます。

 爺様の館から、セルビエンテの城へ文字通り飛んで戻ると、既にレダとユリが館に居た。


「ほう、早かったなレダ」

 こくっと肯いた。


「ユリ。俺は王都へ行く」

「はい。お気を付けて。ご無事で再び会えることを待っています」


「ああ」

 抱き締めると、鼓動が伝わってきた。数秒──

 身体を離す。


 ゾフィにロキシー、リーザも見送ってくれた。ロキシーは分かっているのかいないのか、にこやかに手を振っている。


「皆、行ってくる」

「行ってらっしゃいませ!」


「レダ! 行くぞ!」

「ユリさん、お任せ下さい!」


 庭に出ると、先生とアンが居た。


「アレク殿」

「はい」

 なんだ? 別れの言葉とか?


「セシリア殿とフレイヤ殿に会わなくて良いのか」

「いずれ謝ります」

 お袋さんやフレイヤに会えば時間が掛かるし、泣かれたりしたら萎える。


「そうか。では一緒に行くぞ」

「えっ、王都へ?」


 意外なことを言った。


「いや、昨日王都から来たんですよね?」

「あれは、メイドやらフレイヤ殿を運ぶために来たのだ」

「そうなんですか?」

「何を言う。私はいつでもアレク殿のために生きているのだからな。手伝うに決まっているだろう」


 おおう。結構来るものがあった。


「冗談で言っているわけではないぞ」

「はあ……」

「それから、あれも連れていけ」


「あれ……とは?」

先生が見ている空を見上げる。


 肉眼より、先に肥大した感覚が捉えた。


「ヒルダ!」


 ワイバーンが降下してきた。どんどん近付いてくる……が見えない。

 光学迷彩を身に付けたのか、やるなぁ。


 指呼の距離まで来て可視化──あれ? 何かデカくなってないか?

 遠近感の錯覚じゃない。明らかにヒルダが巨大化してる。


 ちょっと見ない間に、翼の差し渡しで3m弱まで……成長したのか。俺の肩に留まっていたのにな。 いや、ヒルダを最初に見た、地母神の洞窟で戦った時はこんなものだったような


「ウワッフ!」

 ヒルダと俺の眼が合った、その途端。


「あれっ、縮んだ!」

 アンが言った通りみるみる小さくなって、1m程に戻った。


 どういうこと?


「可愛がって貰いたんだろう」

「はっ?」

「アレク殿に」


 あっ、えーと。

「ワフッ」

 かわいくなったな。

 頭を撫でてやる……俺が撫でやすいように小さくなった……のか?!


 本当にやるな君は! 良い子だ。


「では、こうしよう。レダ!」

「はい。アンと……ヒルダを後部座席の後ろに積んで、王都館へ飛んでくれ」

「はい! アレク様は?」

 アンが何かほっとした顔を見せる。


「俺と先生は、王宮へ行く」

「了解」


「ではな」


 先生が手を広げているので、やむを得ず姫様抱っこして後部座席に乗せる。

 アンが贔屓と言ったような気もするが、無視だ。

 再度飛行艇を起動していく。


「アレク殿」

「はい」

「レダ機の全速飛行を置き去りにした、本当の全速で飛んでみてくれないか?」

「セルビエンテと王都は100kmちょっとしかないんですけど」

 一次全速でも5分と変わらない。無意味だ。


「いいじゃないか。あいつに会ってやるんだぞ」

「……分かりました」


     ◇


 10分で、王都上空に達した。

 光学迷彩魔法を発動して減速、降下する 

 後部座席で恍惚としている先生に話しかける。


「飛行艇を収納しますよ」

「ふぅ。アレク殿との同衾と勝るとも劣らぬ。良い弟子を持った!」

 このスピード狂め!


「おわっ!」

 時速200km余りで、突然空中に放り出す。


─ 翔凰アルコン ─


 飛行魔法を発動して、先生と手を繋いだ。


「前言撤回だ。アレク殿に淑女の扱いを教えていなかったのは、失策だ」

 苦情を言ってくるが無視して、重力に逆らいつつ減速降下すると、王宮の屋根が見えた。


「ふん。相変わらず、悪趣味な屋根だな。まああっちよりは百倍マシだが」

 あっちというのは、城壁のすぐ外の黒い屋根だ。

 刺さりそうな、とげとげの尖塔を避けて舞い降りる。


「ほう、王宮も落ちたな。慌てて徴兵したようなやつばかりじゃないか」

「ゴルドアン侯爵領の農民兵でしょう」

 軍服に着られている感じだ。


「農民兵? シギスミュンドめ……さて、仕方ない行くか」

 王宮の中央へ飛び、そのまま中へ進入する。



「親衛隊は、何をやっているんだ」

 普段王が居る殿舎に入ったが、強い魔力の反応がない。それに、驚くほど人気を感じない。


「既にやられたか、監禁されているんでしょう」

「普段偉そうしておって、肝心な時は役に立たん」


 どうやらゴルドアン兵も、殿舎の外を固めるだけで、中には居ないようだ。

 そもそも外の兵も、中というよりは外を気にしているようにしか見えない。安心して感知魔法を広く張る。


「この先に、デカい反応がある。ヨッフェンだな」

 過去に何があったか……知っているけれども呼び捨てはマズくないか……この国の元首なんですから。

「ああ、陛下って呼んで貰えませんかねえ。意識があるようですし」

「罵倒しないだけマシというものだ。この部屋だ」


 光学迷彩を解く。扉を開けて中に入る


「おおう! ランゼ殿。それに魔人殿も」

 ストラーダ侯が反応した。

 部屋の中には他に、巨大な寝台ベッドに居るヨッフェン・スヴァルス4世と、、それに女性と十歳ぐらいの少年がいた。

 初めて見たが、王妃マグダネラと王太子オルディンだろう。


「王妃様、王太子様、この方々は味方です!」

 侯爵の言で、ほっとしたように王妃の肩から力が抜ける。親子だしな。


 俺は跪礼したが、先生は立ったままだ。


「ヨッフェン。多少は元気になったようだな。まあよかった!」

 王太子は、国王と先生の間を視線を走らせる。国中で最も高位の父親に謙らない者を初めて見たのだろう。驚いているようだ。。


「病が未だ癒えぬゆえ、このような姿で、失礼する。魔女殿」

 王がベッドの上で応対する。


「ふん。気にするな。私は、アレク殿に随って来ただけだ。王妃に王子よ、ランゼ・ハーケンだ、見知りおけ」


「黒き魔女!」

 王太子が息を飲むように、呟いた


「ああ、そうだ。ふむ、王妃に似てよかったな、ランベスク。アレク殿」

 同意だが、口にするなよ先生。


聖都(ラメッタ)より、ただいま戻りました」

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訂正履歴

2025/09/21 カーテシーの表記削除 (コペルHSさん ありがとうございます)

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