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95話 解散

 影の館(シャドーハウス)に戻ってメンバーに事情を説明する。

「すまない。俺のせいでギルドの名を落としてしまった」

 王都に住む現地人(ローカルズ)がこのギルドにもつ印象は最悪だ。

 さらに来訪者(ビジター)であるプレイヤーからもネット上で叩かれている。


 さらに動画やブログの数字を稼ぐために来訪者(ビジター)主体でデモを起こそうなどと上げた配信者がトレンドに入ったりしている。

 ギルドの周りでは火をつけられた街の市民と来訪者(ビジター)が王都から出て行けと書かれたプラカードを持って抗議をしている。


 その影響でギルドは今は休業中。

 雰囲気も重たいものになっている。


「まぁ、仕方ないですよ。クロツキさんは悪くないわけですし」

「そうだぜ、気にすんなよ。しょうもない奴らが盛り上がってるだけだろ」

 ルティとリオンがフォローをしてくれる。


「修羅にいた時はこんなの日常茶飯事。殺して黙らせる?」

 さすがはオウカ。名のあるPKギルドにいただけのことはある。

 でも殺して黙らせるのはやめていただきたい。


「マスターの無実は王宮が証明しているのに……」

 ジャックは困った顔をしている。


「ごめんバーバラ、折角入ってもらったのにこんなことになって……」

「いえ、大丈夫です」


 なんともできすぎたギルドメンバーたちである。

 こんな俺を見捨てないでいてくれる。

 だからこそ、皆んなには迷惑をかけたくない。

「みんなにはギルドから離れてもらいたいと思っている。このデモだけなら別にいいけど、もしも強硬手段に出てこられたり、ネットで晒されたりすればあまりにも被害がでかい」


「もちろん……嫌です」

「私もルティと同じだな」

「同じく」

「僕もです」

「私もですね」

 全員が拒否をしてくる。

 しかもかなり強い意志をもっている。

 どれだけ説得しても折れる気はないらしい。


「分かった。だけどギルド活動は当分できないし、この拠点は一時封鎖することにするよ。各々で散ってもらって、沈下したらまたギルドを再開しようと思う。悪いけどこれは譲れない」

 これにはなんとか納得してもらえた。

 そしてそれぞれのお世話になる人たちへは俺も直接出向いてお願いをする。

 これはマスターとしてこんなことにしてしまった責任でもある。


 ルティとリオンはレストリアのセン婆さんのところで預かってもらうことになった。

「セン婆さん、二人をよろしくお願いします」

「もちろんじゃ、任せておきなさい。他にも何かあればいっておくれ」

「クロツキさん、あまり一人で抱え込みすぎないでくださいね」

「そうだぜ、あんま気にすんなよ」


 オウカは修羅で預かってもらう。

(たつ)さんよろしくお願いします」

「まっ、俺は全然構わないぜ。その代わり約束だからな」

「はい、もちろんです」

 修羅のギルドマスター(たつ)との約束は落ち着いたら一対一の決闘をすること。

 そんなことでオウカを預かってもらえるのなら安いものだ。

「はんっ、ウチのオウカたんをこんな目に巻き込んでからに。どない責任取るつもりなんや」

「本当に申し訳ない」

 湖都(こと)は激怒しているが仕方のないことだ。

「コト、うるさい」

「……」

 オウカの一言で沈黙したが……


 ジャックはチャリックの市長に預かってもらう。

「やぁ、クロツキ君、どうやら色々と大変らしいじゃないか。私としても君には何度も世話になっているからね、ここらで多少の返済をしておくのもいいだろう」

「市長、よろしくお願いします」

「マスター頑張ってね」

「あぁ、なるべく早く迎えに来られるように尽力するよ」


 最後のバーバラだが……

「スメラギさん、青江さん、よろしくお願いします」

「いいねん、いいねん、そんな謝られても困るわぁ。クロツキはんには赤竜討伐してもらってウチとしても頭ひとつ抜けさせてもうたからなぁ」

 アメノマヒトツは赤竜討伐に最も貢献したとして他の商店と差を広げていた。

「いっ、いいんですか私なんかが、アメノマヒトツ商会で勉強させてもらうなんて……」

「ワシはなんら問題はない。むしろお嬢さんから学ばせて貰おうと思っとるくらいじゃ」

「きょっ、恐縮です……」

 バーバラはアメノマヒトツで預かってもらうことになった。


 全員を送り届けて俺は一人影の館(シャドーハウス)へと戻る。

 みんなには一時離れてもらったが、俺までもが隠れるわけにはいかない。

 現在、ギルドには誰もいないはずだが、人の気配がある。

 警戒をするがその必要はなかったようだ。


「ジャンヌ、どうしてここへ?」

 紅茶を飲むジャンヌと後に控えるセバスさん。

 シュバルツ城でよく見た光景だ。


「此度のことは我にも予想外であった。お主がどんな顔をしておるのか気になってな」

「そうか……折角、ギルドを作って貰ったのに申し訳ない」

「随分とこたえておるようじゃな。お主に暗殺を覚えさせて、ギルドを作ったのも我じゃ。もしも此度のことで暗殺のようなこととは手を切りたいと考えておるのじゃったら、新しく別のギルドを作ってやってもいいと思っている」

「……」

「答えをすぐに出せとは言わん。よく考えて答えが見つかればで構わん。そうじゃな、1ヶ月後あたりに答えを聞かせてもらおう」

 ジャンヌはカップの紅茶を飲み干してギルドを出て行った。


 デモで周りに人は多数いるが俺でも気づかれずに出入りできるのだから、あの二人が気づかれることなどないか。

 ジャンヌの言葉。

 暗殺ギルドは外聞が悪い。

 やっていることは正義だとしても……

 メンバーのことを考えれば真っ当なギルドの方がいいのかもしれない。

 しかし、ジャンヌには随分とお世話になっている。

 1ヶ月後といっていたが、答えを出すことはできるのだろうか。

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もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
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