19話 破格の報酬
良かった……
なんとかギリギリ勝つことができた。
ヴェルヴァが最後に一斉攻撃をしてきて足を止めてくれたお陰で倒すことができた。
しかし、まさか魔法10発を同時発動とは恐ろしい相手だった。
後ろを見るとサクラもフォメレスを倒しているな。
俺もオウカも満身創痍ではあるがなんとか勝利って感じだ。
ボス部屋に入る前にAGIを極振りしていなければ、闇槍10本を避けることは出来なかったし、ヴェルヴァをあんなに追い込むことはできなかった。
-ダンジョンクリア-
功績によって報酬が与えられます。
小刀『刹那無常』を獲得しました。
スキル『怨恨纏い』を獲得しました。
称号『不死殺し』を獲得しました。
ダンジョンの外へワープします。
俺とオウカはダンジョンの外へとワープしたのだが、これから街へ帰るのも億劫に感じるほど疲れの溜まる戦いだった。
「ありがとう、お陰で勝てた」
「いや、俺の方こそお陰で色々手に入ったよ」
俺たちは休憩がてらにお互いにダンジョン報酬を確かめ合う。
ユニークアイテムはユニークモンスターを倒すと手に入れることができる。
ほとんどがそのユニークモンスターに関連した能力のものがプレイヤーに最適化されて手に入るらしい。
オウカの手に入れたユニークアイテムは鎧装『餓者髑髏』だ。
フォメレスの奥義ともいえる餓者髑髏を顕現させることができるらしい。
うん、シンプルに強いと思う。
しかも、装飾品扱いのようだ。
装備した姿を見せてもらったが鎧の上に骨が装飾として伸びていっていた。
オウカの防御力はさらに上がり万全となったわけだな。
手に入れたスキルは『不動の心』で精神状態異常の回復と一定時間精神異常状態にかかりにくくなる。
称号は『不動不屈』で自分の体力が半分以下になってもその場から一定時間移動しなかったらステータスが上昇する。
やはり全てがオウカに有用で腐らない報酬ばかりだ。
俺の方も破格の報酬だっといえる。
まずはスキルから『怨恨纏い』、その場にある怨恨を一定時間、自らのステータスに変える。
怨恨とはカルマ値悪性のようで発動時の一定距離にある全てのカルマ値悪性を足してその数値に応じたステータス上昇ができるスキルらしい。
ただし、多すぎる怨恨は自らを苦しめると書いてある。
恐ろしい状態異常にかかるみたいだ。
称号の『不死殺し』は特定モンスターへの攻撃が強化される。
まぁ、スケルトンやゾンビなどのアンデット系に効くということだろう。
そしてこれが本日最大の目玉であり、俺が最も欲しかった能力。
毒付与? 違う違う。
攻撃力? 違う違う。
小刀『刹那無常』による攻撃は相手に必ず変化を与える。
つまりダメージ0は許さないということだ。
端的に言えば必ず相手はダメージを受ける。
外敵要員を取り除いてシンプルな計算をすると相手の防御力と自分の攻撃力で防御の方が高ければダメージは0になる。
攻撃の方が高ければ高いだけ相手にダメージを与える。
刹那無常ならば相手の防御が高くても最低1ダメージは与えてくれるということ。
他のプレイヤーからすればいらないだろう。
しかし俺からすれば喉から手が出るほど欲しかった武器だ。
今までは相手の防御が高ければ何万発攻撃しようとも倒せなかったのが相手のHPの数だけ攻撃すれば勝てるようになる。
果てしないかもしれないけど可能性0パーセントではなくなった。
これが手に入っただけでダンジョンクリアした甲斐があったというものだ。
お互いにダンジョン報酬を見せ終わり帰ろうと立ち上がると、オウカが俺にまだ座ってろと石を叩く。
「どうしたんだ?」
とりあえず座ってみる。
「きた……」
前から通常の倍はある巨大な黒馬にひかれる馬車が近づいてきて目の前で止まる。
「はいはい、えろう待たせてもうてすんません」
「ナイスタイミングだった」
「そらよかった、ところでそちらのお兄さんはどちらさんやろか?」
「クロツキといいます……」
手綱を引く女性はおしとやかそうな美人なのに関西弁でグイグイとくるな。
「さよか、ウチはオウカたんと同じグループの湖都いいます。よろしゅうな、くろつきはん」
「……よろしくお願いします」
スルースルー。
「結局、コトが来たんだね」
「せやねん、アートマのアホがまだ時間がかかるとかいってなぁ、それで迎えに来るのが遅なってしもうたわ」
「クロツキのお兄さんをアルムニッツまで送ってあげてよ」
「へぇ、お兄さん……ウチは全然かまへんけど、くろつきはんはそれでええの?」
凄い睨まれてる気がするけど、オウカは一緒に乗る気満々だしな。
「送ってもらえるならお願いしたいです」
「ほな乗りや」
荷台に乗ると中は思ったよりも広かった。
なんか、アイテムバックと同じ空間拡張魔法がかけられているらしい。
まぁ、この規模の荷台となるとかなり高級なアイテムらしい。
何というかリアルとファンタジーのバランスが絶妙なんだよな、このゲームは。
「ええやろこの馬車、このレベルはなかなか乗れるもんやないで、くろつきはんはラッキーやったな」
「そうですね、ありがとうございます」
「感謝はオウカたんにな。オウカたんが嫌ゆうたら今すぐ叩き出すからなぁ」
怖っ、目が本気すぎる。叩き出されるのが怖いのではない。オウカへの愛が隠れてないのが怖い。
「ダメだよコト、クロツキのお兄さんのおかげでダンジョンクリアできたんだから」
「……マジっ!?」
なんか湖都はぶつぶつ言いながら上の空になっている。
「オウカたんと二人でダンジョン……しかもクリア……オウカたんが心を許してる……」
こんな状態で運転は大丈夫なんだろうか。
悪い予感的中だ。
「おいっ、前からアルム猪の群れが突進してきてるぞ」
運が悪いな、アルム猪はこの周辺では滅多に出ないはずなのに。
「なんやねん……なんやねん……なんやねん……」
湖都はどう考えても正気じゃない。
あーマジでやばいかも。結構な速度出てるけど飛び降りれるかな。
横を見るとオウカは一切焦る様子がなく首を横に振って座れと促してくる。
「あーーー、八つ当たりや、八つ当たりや、イコちゃん本気出したって」
湖都が奇声を発しながら指示を出すと馬の頭部に二本の巨大な角が生えてくる。
「ヒヒーーーーン」
半透明の黒色の壁が現れ、アルム猪を蹴散らしていく。
スピードもかなり上がっているはずなのに、荷台はほとんど揺れることがない。
二本の角を生やしてからあっという間にアルムニッツにたどり着いた。
とっとと降りろと湖都の視線が俺に突き刺さる。
これはあれがバレるとヤバいな。
フラグは秒で回収されました。
「じゃあまた何かあったら連絡してね」
「オウカたん、連絡ってどういうこと?」
「フレンドになったから」
「あぁぁぁぁぁぉぁ、そ、そんな……でも……でも……オウカたんの本当の姿をクロツキはんは知らへんはず。それに本名も……」
なんとかマウントをとってくる湖都にオウカがとどめをさす。
「パーティ組んでダンジョンクリアしたんだからクロツキのお兄さんは全部知ってる。当然じゃん。本名ももちろん知ってる」
なぜかオウカが勝ち誇っている。
「キィィィィィィィ」
声にもならない音を発する湖都の横で冷静にオウカは手を振りながら去っていった。
うん……
今日は疲れたな……
名前:クロツキ
種族:人間
称号:大物喰い
職業:暗器使い(Lv20max)
Lv:30
HP:500
MP:41
STR:41
VIT:41
INT:41
DEX:71
AGI:111
SP:0
武器:ダガーナイフ、小刀『刹那無常』
防具:隠者のローブ、隠者のブーツ、隠者の手袋
装飾:なし
スキル
影の小窓、敏捷向上、虚像の振る舞い、怠の眼、夜目、復讐の代価、恐怖の象徴、乱刀・斬、潜伏、不意打ち、怨恨纏い
所持称号
復讐者、大物喰い、孤高、不死殺し
経験職業
暗器使い(仮)(Lv10max)
これにて二章完結となります。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
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まだまだ続くルキファナス・オンラインの世界を今後もよろしくお願いいたします。




