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 私たちはまだ地下水路を進む。

 アシュリンさんが前で、その後を私が追う。

 灯りは私とアシュリンさんが持っている一つずつだけで、見通しは悪い。背後から何かに狙われたら困るわね。

 だから、たまに後ろを確認したりする。音がすることもあるけど、全部、小さい鼠だった。


 たまに水路の分岐というか合流点があるんだけど、アシュリンさんは水路の下流側に向かっているようね。私はもう入り口に戻れる自信はない。


「どこまで行かれるのですか?」


「もうそろそろだ。お前も腕がウズウズしてきたか」


 するわけないでしょ。

 でも、その言い方なら、何かとヤりやうのか。



 アシュリンさんは通路の横壁にある扉を指差す。今までずっと壁だったから、意表を突かれるわね。


「この先ですか?」


「そうだ」


 何かを倒せばいいのですよね。


「魔法はアリですか?」


「地下だからバレないな」


「ありがとうございます」


 アシュリンさんは黙っていてくれるってことか。街中で魔法を使ったら怖い人がやって来るからダメってお母さんが言ってたのを覚えている。


「一人で入れ。そして、殲滅しろ。敵のヒントは与えない」


「いえす、まむ」


 私の返事にアシュリンさんは少し笑ってくれた。

 それから、扉に向いていた私の肩に後ろから手を置く。


「期待している。が、油断はするな。無理だと思ったら扉を叩け」


「一つ良いですか?」


「許可する」


「アシュリンさんが用意された魔物ですか?」


「そうだ」


 そう、良かった。

 アシュリンさんでも捕縛できる程度の魔物なんだ。



 それって、余裕。



 ヒントは与えないって言いながら、やっぱり、アシュリンさんは優しいな。



 私が扉を開けて中に入ると、アシュリンさんが閉めてくれた。

 あんまり音がしなかったから、ちゃんと油を差しているんだ。

 ということは、アシュリンさんかどうかは分からないけど、よく使う部屋なのかな。



 部屋はやっぱり暗い。

 松明を持っているのは邪魔だから壁に立て掛けておこう。魔法式だから火が消えることはないしね。


 音を確認する。

 静か?

 森とは違うのね。風も感じないわ。

 

 部屋の広さも知りたい。四角なの、それとも違うのかしら。見えないなぁ。

 天井はそんなに高くない。松明の光が届いているもの。


 匂いは?

 獣特有のものはしないか。

 いやだな、虫とかやめて欲しい。

 気持ち悪いもの。



 よし、奇襲はなかった。

 

 じゃあ、部屋を明るくしましょう。


 スードワット様は夢の中でおっしゃっていました。

 こういった『狭い空間では、炎は余り使うな』と。


 起きてから、お母さんに「なぜ?」って聞いたら、別の日に洞窟に連れていかれて、教えてくれた。

 息が苦しくなるのよね。

 次の日に、またその洞窟に行ったら、いっぱいコウモリが落ちていた。

 火って熱いだけでなく、そういう使い方も出来るんだって知った。何故なのかは分からないままだけどね。


 スードワット様は『使うな』だったけど、使った方が便利な時も有りそう。


 でも、私なんかじゃ理解できない深淵があるのかもしれない。いえ、有るのよ。

 だから、今は火を使わない。


 

 私は願う。


 『天井のあの辺りに光が灯って。

  熱くないヤツ。光だけ。

  部屋をしばらく照らしてね』



 うん、できた。

 部屋が見渡せる。


 奥にとぐろを巻いた白い大蛇がいた。あの状態で私より背が高いのか。


 あっちもこちらに顔を向けている。

 ちろちろ赤い舌を出しているのが見えた。

 

 えっ、腕?

 蛇の首元って本当はどこなのか分からないけど、頭のちょっと下のところに人と同じのが二本生えてる。

 間違いなく魔物よ。

 


 アシュリンさん、どうやってあんなの運んだのよ。

 ちょっと凄過ぎない。予想外よ。

転居の準備で忙しいよぉ( ω-、)

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