七十話 待ち伏せ・急襲
「うあぁ――」
「――敵襲!」
何だ? 敵?
先頭の仲間たちに黒々した太い矢が次々と突き刺さる。
やや遅れて、火矢、矢、の他にも火球魔法も飛来してきた。
掌握察の範囲外からだ。
左方面からの待ち伏せ・奇襲。
――糞がっ、俺は毒突きながら、矢の雨を降らせる左側を見る。
そこには暗褐色姿の集団がいた。
魔法使いは杖を掲げて、火球を放つ。
軽戦士は弓を構えている。
その敵の連中の中で、目立つ存在がいた。
巨大甲冑がのそのそと歩いている。
――鉄仮面に鉄甲冑。
三メートル強ぐらいはあるか?
図太い鉄腕に重そうな大弓を持ち構えている。
もしや、あれは魔導人形?
魔竜王討伐時に見かけた、あの鉄の巨兵。
どうやら、鉄製の黒太い矢はあいつが撃ち放ってきたらしい。
ゆったりとした動作で、鉄製の太矢を番えると射ていた。
また、冒険者の一人が鉄の大矢に貫かれている。
鈍そうな甲冑野郎なわりに、鉄矢の狙いは正確無比。
前衛を務めていた【ローデリアの黄昏】のメンバーは全員、鉄太い矢、普通の矢、火球の魔法により倒され主人を無くした馬たちがあちらこちらへ逃げ出している。
馬たちが去った後、その場に残ったのは地面に倒れた冒険者たちの骸。
その中にローデリアの黄昏を率いていたケンスの死体もある。
鉄太い矢が胸に突き刺さっていた。
こりゃ、心臓を貫いてる、即死か。
荷馬車にも鉄太の矢が刺さり金具が壊れ車輪が外れていた。
車体が傾き地面に引き摺られていく。運んでいた荷物は周囲に散乱。
革紐に繋がれていた馬たちも荷車ごと引っ張られては、暴れ嘶き逃げ出していく。
バリスタのような鉄の太い矢は飛んでこなくなったが、火球と火矢の攻撃はまだ続いていた。
その火球が商人が乗っていた幌馬車にも直撃。
流れ矢に当たったのか馭者は死んでいた。
操縦者のいない幌馬車は炎上した状態で岩にぶつかり止まる。
革紐で連結していた馬たちにも矢が刺さり暴れ出しては、さっきと同様に革紐が外れて逃げ出していた。
隊商はそこで完全に動きが止まる。
まるであらかじめ、隊商がここを通ることを知っていたかのような動き、急襲だ。
冒険者たちからは煩いほどの怒声が飛び交う。
しかし、最後尾にあった一台の幌馬車だけは攻撃を受けずに残っていた。
そんな中、あまり攻撃を受けていない中衛を務めていた冒険者クラン【ファダイクの牙】の面々が動き出す。
左から鉄太い矢を放ってくる鉄巨兵へ反撃するようだ。
数名が飛翔してくる火球を掻い潜り向かっていく。
ん、何だ? あいつらだけ別行動? 暗褐色のローブに身を包む二人の冒険者が別行動を取っていた。彼らは乗っていた魔獣を乗り捨てると、刃物をちらつかせ、反撃しようと行動していた【ファダイクの牙】の面々たちの背後から急襲している。
マジか――ここで裏切りかよ。
その刹那、脳裏に、昨日のことが過る。
透明な鷹を使い女冒険者が誰かに連絡をとっていたことを。
だが、その女冒険者は背中からバスタードソードを抜いて、最後まで残っている幌馬車を守っていた。
あの赤髪のフランは裏切っていない? 現時点では敵ではないのか。
彼女持つのは雑種剣、バスタードソードに似ている。
俺の魔剣ビートゥと同じサイズの片手半剣だ。
そんなフランの行動を見てると、暗褐色の裏切り二人組は反った長剣や投げナイフを扱い、素早く、ひとり、ふたりと斬り伏せていた。
剣だけでなく、投げナイフの扱いも正確無比な腕前。
きっと<投擲>のスキルがあるのだろう。
動きも素早く狙いも正確だ。
弓を扱っていた冒険者の眉間に投げられたナイフが命中していた。
【ファダイクの牙】と名乗っていた冒険者クランの面々は弓使い以外はろくな反撃もできずに背中を斬られ一方的に殺られていく。
だが、俺がこの場にいたことを後悔させてやろう。
反った長剣を手に持ち暴れている暗褐色の一人へ狙いをつけた。
素肌の右手を斜め横へ伸ばし、その右手に握られた魔槍杖の紅斧刃を音がなるように寝かせ動かしてから、ポポブムの腹を蹴り速度を一気に引き上げ暗褐色ローブ男へ近付いていく。
その際に、地面から飛び出ていた岩石群と魔槍の紅斧刃が衝突、火花が散り――綺麗な尾を引く花火のように地面に火線の跡がついていた。
暗褐色ローブを纏った奴は、近付いた俺に振り向く――が、遅い。
掬い上げるように薙ぎ払った火炎が灯る紅斧刃がローブを纏った奴の首元を捉え、首を刈り取った。
斬られた頭は勢いよく宙に舞う。
暗褐色のフードは破れ血に染まり、首が斬られた胴体は血を噴出させながら力無く倒れていく。
「なっ――ロッカッ、糞がっ!」
仲間を殺られたことに憤慨したのか、罵声を叫ぶ。
――ロッカ。
首が飛んだ奴の名前か、最初に名乗った名前は偽名ではなかったらしい。
叫んでいる暗褐色野郎はフードを脱ぎ、その顔を晒す。
顔は金髪に灰青色の目を持ち、端正な顔立ちの男だった。
俺を睨んでいる。
そんな視線を無視。ポポブムでその場を走り抜けぐるりと迂回する。
――周囲を確認した。
外から急襲を仕掛けてきた奴等が左側だけでなく右側にも現れていた。
一方で生き残った冒険者たちは、燃え移らずに無事に残っていた幌馬車をバリケードにして集まっている。
あそこに戻って様子を見るか。
――ポポブムを幌馬車へ走らせる。
生き残った冒険者たちは馬車に背を預けては盗賊たちの様子を窺い合っていた。
こっちの生き残りは赤髪の女冒険者フランと、後方にいた恰幅の良い冒険者が率いていた冒険者数名だ。
残った全員で馬車の周りを守っている形。
「裏切り者がいたようね。これは計画的な襲撃か」
「糞が、ついてねぇぜ。ん……囲まれてるな、オイっ、あれは、ウォーガノフか?」
「本当だわ。……最悪ね。盗賊風情があんな物を使うなんて……」
俺も幌馬車の影から攻撃を繰り出している集団を見る。
魔導人形を中心に暗褐色ローブを着た数十人の集団が周囲から迫ってきていた。
どうやら完全に囲まれたらしい。
敵の観察を続けていると、さっき俺を睨んでいた奴を見つけた。
灰青の目。灰青目の裏切り野郎も盗賊団の囲みに加わっている。
しかし、鉄太い矢に火球の攻撃は止んでいた。
わざとこの幌馬車は残されたようだな。
さて、見ててもしょうがない、俺も彼らの話に加わる。
「お前たち、大丈夫か?」
「あぁ、俺たち後衛は無事だ。だが、見てもわかる通り荷馬車は転倒、幌馬車もこの一台だけだ」
「冒険者様、お助けを……」
その時、幌馬車の下から顔を出したのは商人のタジキであった。
すっかり憔悴しきった表情。
生きていたらしい。
「生きてたか。任せろ、俺たちは盗賊なんぞに投降はしない。【戦神の拳】全員その覚悟だ。なぁ、お前ら――」
「そうです」「さすが、ゴメス」「ここだけは死守しましょ」
【戦神の拳】のメンバーたちはリーダーを含めた戦士系が三人に一人が魔法使いタイプのようだ。
「この状況でよく笑っていられるな? 意気込みは買うがお前たちには、何か対抗策はあるのか?」
赤髪のフランは片手半剣を水平に保ち守勢の構えを取り、眉をひそめながら辛辣な言葉で話していた。それでも【戦神の拳】のリーダーは嫌な顔をせず、真剣な顔で答える。
「シェイラ、すぐに防御壁を張れるな?」
「えぇ。準備できてるわ」
「隊長、俺は?」
「ジオはシェイラの傍にいろ。――フラン、お前はBランクだろ? シェイラがここに物理防御の円陣魔法を発生させる、その間に俺が突っ込む――」
そこに魔法使いであるシェイラの言葉が割り込む。
「――魔法は持って五分ね。攻撃が加わってきたら順次低くなるわ」
「だ、そうだ。それでお前さんは何か、切り札があるのか?」
「いや、広域に及ぼせるスキルなんて持ってないが、この長剣と左腕のスキルには自信がある。一人ずつなら、まず負けない」
赤髪のフランは自信ありげに語っている。
「そうかい、Bランクにしては当たり前の回答だな。俺もタイマンなら自信あるぜ? だが、今は多勢に無勢だ」
フランはゴメスとの会話の後、僅かに頷くと、視線を俺に向けた。
――赤髪のフランか。
ソバカス顔で少し斜視ぎみの目だが、美人な女だ。
彼女自身が話していたように、左腕と片手半剣の扱いに自信があるようだ。
左手だけボタンが付いたカモシカの革と思われる赤いグローブを装着しているし、その腕を白いガーゼで覆い肩まで左腕全体を隠している。
スキルに関する理由なのだろうか?
こないだ、透明の鷹を操っていたのにも関係があるのかも。
しかし、左肩に留まっていた透明な鷹は、まだ戻ってきていないようだ。
フランも俺を観察していた。
互いに無言で目を合わせたままだったが、俺はゴメスたちへ視線を移す。
ゴメスの仲間である美人魔法使いさんが守りの呪文を持っているようだから、俺とロロが独自に動いても大丈夫そうではある。
ま、こいつらが助かろうが死のうが、知ったことではないが、意見を言うだけ言っとこう。
「俺に案があるぞ。プランBだ」
「プランB? ん、どんなのだ? 確か……お前は」
「Cのシュウヤだ」
「そうか、Bのフランを使うのか? で? なんだ?」
少し意味が違うが、まぁいい。
「いや、俺と黒猫が突っ込む。その間、あんたらは守備陣形を維持、攻撃が激しくなったら、そこの美人な魔法使いさんに守備魔法を使ってもらい、守備ライン構築。その防壁を、俺と黒猫が包囲を崩すまで徹底維持という、具合かな?」
「……お前、アホか?」
「いや、いたって真面目だが? まぁ、そう言うのなら勝手にしたらいい」
「――ん、待ってくれ、わたしはその提案に乗ろう」
俺のプランB作戦に賛成してくれたのは赤髪のフランだった。
「おぃおぃ、Bだけに、Bのあんたがこいつの プランBな意見に乗るってのか?」
ゴメスは洒落を言ったつもりなのか、半笑いで話す。
「そう――」
フランが話しかけた時、鉄太の矢が幌馬車に突き刺さり、
「お前らは囲まれているっ、大人しく投降しろ!」
太い声で敵方の盗賊声が響いてきた。
「――だそうだぞ? フランは俺の意見に乗るそうだ。お前らはどうする?」
「くっ……」
ゴメスはクランの仲間へ視線を配る。
皆、ゴメスを信頼しているのか、隊長の彼をしっかりと見つめていた。
「わかった――しょうがねぇ、頼んだ」
決意の現れか、ギラついた目で返事をしたゴメス。
よし、なら頑張りますか。
――ロロへ視線を向ける。
「にゃ」
黒猫は顔を上向かせ一対の紅い目を俺へ向ける。ポポブムの後頭部に座っているが、いつでも飛びかかれる準備はできているようだ。
「それじゃ、フランとゴメスたち、ここは宜しく」
そう言って、ポポブムを操り左側へ駆けていく。
左側の方が、敵数が多い。
右手に魔槍杖を持ち、ポポブムの速度をあげた。
「ロロ、あの大弓を扱う鉄巨兵を牽制できるか?」
「ン、にゃお」
「動きがとろそうだから足が弱点とみた、まぁ任せる――」
そう話しながら、魔槍杖を右脇に固定。
前方にいる暗褐色ローブに身を包む胸元へ魔槍の紅矛を伸ばす。
魔槍杖の紅矛はローブを貫き胸も貫いた。
矛先に死体が刺さった状態で、速度を下げずに、敵の密集地帯へ駆けていく。
――黒猫も飛び出す。
走りながらムクムクッと黒豹型へ姿を変身させると、俺に言われた通り、雑魚は無視して、魔導人形のもとへ走っていった。
黒豹型黒猫の動きを視界の端に捉えながら、左手から<鎖>を射出。
この<鎖>スキル、鎖の射程や射出速度も上がり銃弾並みに速くなってきている。
――唸り上げて地面を這うように移動する鎖。
鎖は弓戦士の足を貫き、鎖は生きた蛇のよう足に絡みつく。
生きたまま暗褐色の戦士を宙へ持ち上げて、そのまま捕まえた肉体を他の弓を構えていた暗褐色戦士にぶつけてやった。
そして、ぶつけた衝撃を利用し、更に鎖をその弓戦士の胴体に絡ませる。
――デカイ的避け&肉壁の誕生だ。
生きた肉鎚、なんちゃって。
と、余裕を見せてる時に、二人の戦士系と思われる暗褐色野郎が雄叫びを挙げて走り寄ってきた。中々の迫力。だが――。
矛に刺さったままの少し燃えている死体を、その雄叫びをあげる二人にぶつけてやった。
二人の戦士は死体と矛に衝突。もんどりうって転倒し、その転倒しているところをポポブムの重量ある足裏で踏みつけ抜けていく。
ぐしゃっと潰れる音が聞こえたところで――跳躍。
ポポブムは誰もいない場所へ走っていった。
跳躍後の着地発生する、僅かな制動の隙を狙ったのか、暗殺系の能力を持つと見られる両手に短剣を持つ暗殺系戦士が、俺の背後へ回り突き刺そうと迫っていた。
――短剣がキラリと光る。
バックスタブか? だが、あるスキルを発動。
次の瞬間、敵が持っていた短剣が地面に落ち、暗殺系戦士は横合いへ吹っ飛んでいく。
そう、俺が<導想魔手>を発動し“歪な魔拳”である透明拳を喰らわせていた。
吹っ飛ばされた暗殺系の戦士の顔面は完全に潰れ奇形顔へ変形を遂げている。
その吹き飛んで死んだ男を<導想魔手>で掴み上げた。
死体を俺の背後へ回して宙に漂わせる。
これを“肉壁二号”として、俺の背後を守らせた。
次はあいつかと思い、その敵の魔法使いを視界に捉えた瞬間、火球が生み出されていた。ゴオォォォォッとした、けたたましい音が俺に迫まる。
動じずに対応――。
鎖を操り“肉壁一号”にその火球と衝突させた。
火球を対消滅させる。火球が直撃した“肉壁一号”の暗褐色ローブの男は黒焦げになり、死体の足が千切れそうになっていたので、絡んでいた鎖を消去。
魔法野郎か。
懲らしめてやろう、火球を飛ばしてきた魔法使いを睨む。
杖持ちか。――魔法使いはうざいので優先的に狙う。
魔闘脚を使い、ホップ、ステップ、ジャンプ。
途中で<鎖>を地面に射出させながら、素早く前進。
瞬時に――魔法使いのもとへ、直行した。
その直行する走る勢いを利用。魔槍杖を上方から打ち降ろし、紅斧で魔法使いの頭を両断しようと狙う。
だが、珍しく――魔法使いは反応。
杖を使って、俺の紅斧刃を防ごうとする。
だが、杖に紅斧が触れた瞬間、防ごうとした杖がボッと燃え立ち簡単に杖が切断され紅斧刃はそのまま電動ノコギリのように魔法使いの頭を両断していた。
斧刃は魔法使いの胸半ばまで簡単に沈み込み、じゅばばばばっと、音を立て、肉の焦げる臭いが充満する。
臭いが我慢。
その死体を蹴りながら魔槍杖を引っ張り出してから、魔槍杖を回転させる。
――そこに矢が飛んできた。
ドスっと肉に刺さる矢音、鈍い音。
――背後を守らせていた肉壁二号に矢が刺さっていた。
肉壁二号は<導想魔手>の透明な歪の魔力手で死体を掴んで宙へ浮かせているので、魔察眼を使えない相手には“ただ死体が浮いている”ようにしか見えないはず。
弓矢を放った暗褐色の男は、その光景を見て追の矢を撃たずに驚愕な顔を浮かべていた。
当然の如く。
その弓をもつ戦士に追の矢は撃たせるつもりはない。
また、魔脚を使い、その弓戦士へ間合いを詰める。
走る速力の勢いを殺さずに、魔槍杖を伸ばして<刺突>を繰り出す――。
<刺突>は捻り回転しながら、矛を穿つ技。
魔槍杖の先端にある矛と横にある紅斧刃が高速で捻り回転されて突出している。
これを喰らった相手は悲惨な結果に。
胸元のローブは紅斧刃に巻き込まれるように破れると胸に円形状の穴を作っていた。その穴周りには大円の焼け焦げる炎傷が発生している。
着込んでいた皮鎧も大円部分がぺろりと剥けて溶けるようになくなり、露わになった胸元の傷は炎の三日月のような裂傷になっていた。
暗褐色の弓戦士は目を見開いた状態で、悲惨なる自分の腹を見ている。
「……」
絶句しているが、言葉は漏れてこない。
そのまま前のめりに倒れていた。
今のこいつで、この辺りの敵は殺しきった。
近くに敵の姿は見えないし、反応はない。
少し余裕ができたので、黒猫の姿を追う。
どうやらちゃんと魔導人形と対決しているようだ。
鉄巨兵の足に触手を絡ませている、巨体を転倒させていた。
そのまま引き摺って……こっちに近付いてくる。
黒猫はあの重そうな物体を引きずってくる気か?
まるで紐で引っ張られた玩具のように鉄の塊は左右に大きくぶれながら運ばれている……。
あっちこっちにぶつかり土埃が舞っていた。
暗褐色の盗賊たちの悲鳴が聞こえてる。
数名が鉄の巨兵に巻き込まれて、潰れるように死んでいった。
あぁ~、あれは敵ながら悲惨な最期だ。
「にゃっにゃぁ」
黒猫は結局、重低音を響かせながら魔導人形ここまで引きずってきた。
獲物を捕らえたので褒めて欲しい顔を見せる。
「ご苦労。ロロ、後は好きなようにしていいぞ」
魔導人形だった壊れた金属物はめちゃくちゃだ。
おっと、まだ動いていた。
人、岩、木にぶつかった衝撃で凹凸が激しいが、タフだねこの血塗れ鉄人形。
ま、ここで止めを刺しとこう。
凸凹激しい頭蓋金属の頭部を狙う。
紅斧で垂直に頭蓋金属を叩き、破壊した。
破壊した頭蓋金属からはドロッとした銀と黒い液が溢れ出る。
そこで、黒猫を見ようとしたが、もう違う獲物を追っている最中だった。
追撃戦に移行しているらしい。
暗褐色の奴らは背中を俺たちに向けて逃げている、そんな奴らの背中へ触手骨剣を突き刺しては、次々と殺していた。
そんな中……。
ロロディーヌの追撃を免れた暗褐色ローブを着た一人が逃げず“逆に”俺の方へ向かってくる。
左側に残った盗賊団はこいつ一人だけ。
一人で? 勇気あるねぇ。
そいつはフードを脱ぎ捨てた。え? よく見ると、女?
「あぁぁぁぁっ、わたしのトットが――」
トット? 何を言ってる?




