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槍使いと、黒猫。  作者: 健康


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二百六十五話 互助会とクルブル流拳術

 

 槍武術の訓練中だ――。

 ムラサメブレードは、鋼の柄頭を覗かせる状態で腰ベルトへ差してある。


 左足を軸に回ってから、右上に跳ねる。

 『片切り羽根』という技術のステップワークを確認しながら……。

 よーし、あいつらを練習に呼ぼうと闇の獄骨騎ダークヘルボーンナイトの指輪を触る。


「こい――沸騎士」


 見学者も居るので少しポーズを取りながら沸騎士を呼び出す。


「あ、沸騎士たちを呼ぶのね」

「この間、見た。総長が使役している骨騎士」


 レベッカとヴェロニカが呟く。

 それを見ていたヴィーネが、


「ヴェロニカ、あれは沸騎士と呼ばれる異形の者たちです」

「魔界の上等戦士とは、また違うんだ」

「はい、ご主人様だけの特別な骨、いや沸騎士たち」

「ヴェロニカ、見た事があったんだ。シュウヤが使うことは稀なんだけど」

「そうなの? 前に吸血鬼たちと戦った時、シュウヤは使ってたけど」

「あ、聞いた聞いた、ヴァルマスク家の襲撃ね」

「うん」


 そんな会話中にも、いつものように指輪から魔線が中空へ飛び出した。

 その魔線が触れた石畳から煮え立つ音が鳴り、煙と共に沸騎士たちが登場。


「――閣下ァ、黒沸ゼメタスですぞぉ」

「赤沸アドモス、今ここに!」


 その声に、むくっと上半身を起こす黒猫(ロロ)

 スコ座りというボス座り。


 尻尾と片足を持ち上げ『ぽん』と地面を叩いてから「ン、にゃお」と鳴いていた。


「ニャア」

「ニャォ」


 近くで寝ていた黒猫(ロロ)軍団も沸騎士たちの声に反応して挨拶している。

 アーレイとヒュレミは沸騎士を見るのは初か?


「なんとぉ、ロロ様が子供を!?」

「おぉぉぉ、いや、ゼメタス焦るな……親戚、御姉妹かもしれぬぞ」


 すると、アーレイとヒュレミの猫ちゃんたちが、沸騎士たちの足元へ移動していく。

 彼らの目の前で、両脚を揃えて動きを止める猫たち。

 煙が出ている鎧に興味があるのか、見上げてジッと見ていると、突然の大虎化。


 沸騎士たちへ猫たちは襲い掛かった。

 食べられちゃう?


「ぬぉおぉおおおお」

「うごぉぉぉ」


 食べられてはいなかった。

 片足で頭部を押さえつけられて、骨兜の眼窩を舐められている。

 見た目が渋いフォルムの沸騎士なので、どこかシュールだ。


「ゼメ&アド、黄色毛の大虎で黒目がアーレイだ、黒白毛の大虎で藤色の目がヒュレミ」

「――アーレイ様とヒュレミ様っ」

「閣下の新しい(しもべ)たちでしたか」


 ゼメタスとアドモスは立ち上がる。

 そのまま、目の前に居るアーレイとヒュレミの姿を見て、


「これは」

「まさか」


 ゼメ&アドの沸騎士は眼窩を不気味に光らせてから互いに頷き合うと、大虎アーレイとヒュレミの上に乗っていた。


「おぉぉ、これで、閣下のような一騎掛けを目指せるか?」

「目指せそうだぞ。我は魔界騎士に見えるか?」

「見えるぞ、アドモスッ! アーレイ様は、ソンリッサを超える動きだっ」


 アーレイもヒュレミも嫌がらずに、沸騎士を乗せた状態で中庭を走っていく。


「今度から乗って戦うのもありか」

「触手と手綱が無いけど、沸騎士たちは落ちないで大虎を乗りこなしているようね」

「魔界でもソンリッサに乗っているようだしな」

「……わぁ、わたしも乗りたいかも」

「いつも血剣に乗っているからいいでしょ」

「ううん、あの大虎ちゃんたちに乗りたいのよ」

「わたしも乗ってみたいかも」


 彼女たちが会話している最中に、中庭を一周して戻ってきた沸騎士&大虎コンビ。

 沸騎士たちは降りてくると、片膝を突く。


「「閣下、調子に乗りすみません」」

「ニャア」

「ニャオ」

「アーレイもヒュレミも楽しんでいたようだし、構わんよ。ところで、今、訓練中だったんだ。相手をしてくれ」

「おぉぉ、勿論ですとも!」

「……久しぶりで骨が膨らむ! ゼメタスよ、閣下を喜ばせようぞ!」

「分かっているとも、アドモスッ!」

「猫ちゃんたちは、こっちにおいでー」

「ニャア」

「ニャォ」


 アーレイとヒュレミは呼んだヴェロニカの方へ走り寄っていく。けど、途中から方向を変えていた。

 寝転がっている黒猫(ロロ)の方へ向かう。


「がーん、ロロ様の魅力に負けた」

「そりゃ、ロロちゃんは、あの子たちの親分さんだからね」

「そんなことより、二人とも訓練が始まりますよ。ご主人様が相手ですからね、沸騎士たちがどのくらい持つか見ものです」

「あ、うん」


 <筆頭従者長(彼女)>たちは、見学モードに移る。


 俺は沸騎士たちへ顔を向けたまま体を傾ける。

 半身の姿勢となりながら、右手に握った魔槍杖バルドークを背中側へ回し、左手に握った神槍ガンジスを胸前で斜めに構えた。


「……ゼメ&アド、こいよ」


 顎を微かに上方へ動かし誘う。


「閣下ッ」

「――ゼメタスッ、先手は貰い受けるぞ」


 赤沸騎士アドモスが左手に持つ方盾を構えつつ突進。

 右手が握る長剣の切っ先を伸ばしてくる。


 俺も前に出た。

 石畳を蹴り、前傾姿勢で前進。

 アドモスの方盾を貫くイメージ――。

 そのまま腰を捻り、右手が握る魔槍杖の<刺突>を突き出す。

 魔槍杖の穂先の<刺突>は迫るアドモスの長剣を弾く。


 続いて、アドモスの方盾と激しく紅矛は衝突した。

 ――金属音が鳴り響く。

 俺の<刺突>を防ぎきったアドモス。

 が、衝撃は殺せなかったのか、背後に転倒――。

 それをフォローするようにゼメタスが――。

 方盾を前面に出しつつ反対の手に握る長剣で俺を狙う。


 伸びた右手の魔槍杖を引く――。

 同時に、右足の爪先を軸とした回転避けを行う。

 そのゼメタスの繰り出した剣突を鼻先で避けた。

 そして、左手が握る神槍ガンジスを横から振るった。


 横から半円を描く軌道で向かう神槍ガンジスの方天戟が、ゼメタスの方盾と衝突。

 さすがは盾使い。


「――ぐぉぉ」

 

 ゼメタスは苦悶の声を出したが、しっかりと方盾で神槍の穂先を受けきった。

 そこに、ゼメタスの横から、アドモスが近寄ってくる。

 俺は横にステップを踏む。

 石畳から、タタッタッタッとリズムのいい乾いた音が響いた。

 近寄ってきたアドモスの長剣の間合いから出た。

 槍圏内のままだ。

 その刹那――。

 力を溜めつつ引いていた右手ごと押すイメージ――。

 右手が握る魔槍杖の<刺突>を、アドモスに繰り出す。

 方盾ごとぶつかるような姿勢のアドモスと、紅矛が衝突した。


「ぐあ――」


 再度、アドモスを紅矛で吹き飛ばす。

 背後のゼメタスに吹き飛んだアドモスが衝突した。

 彼らは縺れ合いながら石畳の上を転がる。


 互いの長剣が骨腹に深く突き刺さった。

 方盾の一部は頭部にめり込んでいる。


 しかし、ちゃんと沸騎士は成長していると分かる強さだ。

 俺の魔槍杖の<刺突>を何度も受けては、鉄壁クラスの防御を見せてくれた。

 

 骨の方盾は穴があるが……。


「すまぬ、アドモスッ」

「構わぬ、閣下は偉大だ……我は、先に逝く」

「まて、私も……」


 沸騎士たちは魔界へ旅立った……ふぅ、一息。

 呼吸の乱れはないが、周りをも落ち着かせるイメージで、右手の魔槍杖と左手の神槍でゆっくりと真円を中空に描くように演舞を行う。


 もう秋だが、真夏の日盛り。

 まだまだ暑い――。


 ハルホンクの半袖防護服を着ているが、暑いもんは暑い。

 色合いがホワイト系ではなく、暗緑色なこともあるかもしれない。


 右肩の竜頭の金属甲が太陽の陽射しで煌めく。

 胸元に複数付いた小さいベルトの留め金と白銀色の枝模様も輝いて見えているかもしれないな。


「沸騎士、盾が上手かったけど……」

「はい、やはりご主人様の二槍流には及ばないですね」

「……」


 ヴィーネとレベッカの視線がチラつく。

 ヴェロニカは黙っていた。


 いいかっこを示す訳じゃないが、神槍ガンジスの突きから<刺突>の連携突きを試す。

 一連の動きを繰り返す度に、背中に付属しているフードケープが揺れるのを感じた。

 よし、次の訓練に移るか。

 左足の爪先を軸に右斜めに回転しながら神槍と魔槍杖を消失させる。


 無手になった両手を胸元にある短剣類とアイテムが納まっている胸ベルトへ当てた。

 そのまま古竜の短剣を取り出し、左右の手に短剣を持ち構えた。


 狙いは――少し盛り上がっている右辺の芝生。


 視線を鋭くしながら、左右の手に握った古竜の短剣の<投擲>を開始した。

 瞬時に、芝生の上に一つ、二つ、三つ、と合計六つの古竜の短剣が突き刺さる。


 そこから蹴りの訓練を開始。

 石畳の上を走りながら、右蹴り、左回し蹴り、右上段回し蹴り、左中段回し蹴り、ローリングソバットを意識――邪界導師キレの動きを再現してみた。


 だが、いまいちだ。

 やはり、キレが足りない。


 また槍を始めよう。再度、左手に神槍を召喚。


 暑い太陽を斬るように微細な動作から始まる突きから薙ぎ払いの動作を行う。

 蹴りと払いのコンビネーションを試してから、槍の訓練を早々に終わらせた。


「……今日の訓練は短いのね」


 ムントミーが魅力的なノースリーブ姿のレベッカの声だ。

 プラチナゴールドの髪と夏服が妙に似合う。

 日本の浴衣を着せたくなった……。

 腰に茶色い布が綺麗に巻かれてある。

 そんな彼女は、左手にフォーク型スプーンと、右手にシャーベット状の黒甘露水が乗せてある皿を持っていた。俺が前に作った黒い甘露水のシャーベットを美味しそうに食べている。

 この間のアイス作りの応用で、冷蔵庫に入れておいた奴だ。


 その様子を見てから、投擲した短剣を拾っていく。


「……訓練も短い時はあるさ」

「そっか、でもこれ美味しいー」


 レベッカは蒼い炎を双眸に灯しながら、シャーベットを食べていく。


「リビングから調理場にかけて歩いていたら、お菓子の予感があったのよ。そして、冷蔵庫を開けてこれを見つけたの。あ、シュウヤが話していたお菓子だって、思いだして――」


 また、ぱくっとスプーンを頬張るレベッカちゃん。

 彼女の頭には、お菓子センサーが内蔵されているらしい。


「お菓子大王と呼ばれるだけのことはある」

「エヴァの言葉を真に受けないで」

「はは、ま、美味しそうでなにより。因みに、そのアイスの美味しさは、ヴィーネのお陰でもあるんだからな」


 俺の言葉にヴィーネは頷き、


「この間、保存用魔道具を買いました」

「なるほど、色々な形の瓶があったのはそのせいなのね。エヴァの店以上に屋敷の台所が豪華になっていた」

「……レベッカ、少し頂戴♪」

「ふふ、そんなもの欲しそうな顔しちゃって、口をあーんして」

「あーん」


 そのヴェロニカの口へレベッカはアイスを掬ったスプーンを差し出す。


「うまー♪」

「でしょー」


 レベッカはわたしが作ったような顔を浮かべていた。

 俺が作ったのに。

 ま、いいか。さて……そろそろ向かいの屋敷に手伝いにいくか。


「……向かいの屋敷で、今日も慈善活動があるらしいから、手伝いに行こうかと思うが、どうする?」

「あ、わたしも行く」

「わたしも行きます」


 ヴィーネも同意していた。


「あぁ、しまった。総長の家が近いからつい。じゃあね、アメリちゃんを見てくる」


 ヴェロニカは俺たちの返事を聞かず、血剣に乗り素早く移動していく。

 陰からアメリの様子を見るようだ。


「……ロロも行くか?」


 石畳の上で、アーレイとヒュレミと共に寝転がっていた黒猫(ロロ)にも話しかける。

 バルミントはポポブムと一緒に昼寝中だ。


「にゃ――」


 黒猫(ロロ)は、起き上がり、肩に跳躍してきた。

 黒猫(ロロ)もついてくるようだ。ま、ロロは慈善活動を手伝うつもりはなく……。


 ただ、人々が忙しなく動く姿の見学と悪戯が目的だろうけど。


「ニャアァ」

「ニャーオ」


 アーレイとヒュレミも一緒にきたいのか、足元に来ていた。


「お前たちもくるか、邪魔にならんようにな?」

「ニャァ」

「ニャオ」


 そのまま、皆を引き連れて屋敷を出た。


 夏のような陽射しが感じられる通りを歩く。

 向かいにあるイワノヴィッチ氏の屋敷の門を潜り、中庭へお邪魔した。


 アーレイとヒュレミの猫たちは違う屋敷自体に興味を持ったのか、隅の方に歩いていく。

 気まぐれな性質は変わらんようだ。


「アーレイとヒュレミたちー、余所の家だから変なことするなよー?」

「ニャアアァ」

「ニャオォ」


 分かってるのか分かってないのか、謎だが、雑草、花壇がある隅の方に向かう二匹。

 俺の肩に居る黒猫(ロロ)は一緒に行動しなかった。


 尻尾をふりふりさせて、二匹の様子を窺っているけど……。

 その状態で、武術街互助会の慈善活動に参加。


 配膳活動を頑張っているアメリが居た。

 彼女は俺の位置へ顔を向けてくる。この辺の感覚は凄い。


「……あ、シュウヤ様、こんにちはです」

「よ、慈善活動をしている姿はまさに聖女だな」

「聖女だなんて……」

「あめりんー、せいじょー?」

「あめりー、あそぼう」

「これ、たべていいのー」


 彼女の周りには子供たちが居た。


「あ、シュウヤ様、仕事に戻りますね」

「おう」


 俺も食事を配り子供たちと遊んだり武術の指導を無料で行った。

 その活動を、眷属のレベッカ、ヴィーネも手伝っていく。

 ヴェロニカの血の匂いも感じるので、何処かに、隠れながら見ているんだろう。


 因みに、エヴァは、ユイとカルードが指揮を執る俺の戦闘奴隷たちを引き連れ、ディーとリリィが経営している店用の新しい食材を手に入れるため、迷宮ではなく大草原へ出かけている。


 戦争が行われていると思われる西ではなく、ホルカーバム寄りの東の大草原だ。

 大鳥、他、色々なモンスターの狩りらしい。

 【月の残骸】の食味街にある店にある鶏肉料理にディーさんが刺激を受けたとか、エヴァは語っていた。


 微笑を浮かべたエヴァのことを考えていると、


「……シュウヤさん、こんにちは」

「あ、どうも、こんにちは」

「この間のお祭りは楽しかったです。最近はこの慈善活動に参加しているのですね」


 そう話しかけてきたのは、鱗皮膚を持つ女性。

 ゼッタと同じ鱗人(カラムニアン)

 そういえば、祭りの時、イワノヴィッチ氏との会話途中で、この女性を見かけた。

 頭にクラゲが乗っかっていても平気だった鱗人(カラムニアン)


「……参加しています。失礼ですがお名前は?」


 軽く頭を下げながら、彼女の姿をチェック。

 恰好はハーフプレートと革服がセットになった使い込まれた鎧服。

 ゼッタと違い、随分と健康的な鱗皮膚を持ち、艶があった。

 下半身には小さいタセットが付いたスカートを履いている。


 彼女の両拳は魔力が込められた布が撒かれてあるので、軽戦士系かな。


「あ、わたしの名はサーニャ。通りの向こうにある小さい布の店を経営しているオンタの娘です」

「にゃあ」

「あら、カワイイ、猫ちゃんっ! お目めがくりくりぼーんですねー」


 肩にいた黒猫(ロロ)もサーニャへ挨拶していた。

 くりくりぼーんがよく分からないが……。


「こいつは俺の相棒でロロ、本名がロロディーヌです」

「ロロちゃん。シュウヤさんのことを紅い瞳で見てます。カワイイですぅ……」


 サーニャは茶色の髪を靡かせて、目を輝かせていた。


「ところで、サーニャさんも武術を?」

「はい、このトマスさんの中庭の一角でクルブル流拳術を教えているんです」


 クルブル流? 聞いたことがないが、鱗人(カラムニアン)種族の流派とか?


「拳術ですか、正拳突きを一万回こなせば、必殺技を覚えますか?」

「それは、剣豪クルブルの秘儀修行のお話ですね。何かしらのスキルを覚えたと聞き及んでいます」


 マジで? 世の中は広い。


「……こんにちは。サーニャさんというのですね、わたしはレベッカ。この可笑しなシュウヤと一緒に暮らしている者です」

「こんにちは、わたしの名はヴィーネ。ご主人様の従者。一緒に暮らしています」


 配膳を終わらせた、レベッカとヴィーネが話しかけてきた。

 ヴィーネは、金糸で白銀の長髪を纏めている。

 必殺技のポニーテールだ。

 確かあの紐、魔力を込めると手袋の形になる防具だったはず。

 手袋にしている場面は見たことがないけど。


「……あ、はい、綺麗なお二方、こんにちは」

「綺麗だなんて……あ、サーニャさん、聞くところによると拳を使う格闘家なのね。習いたいかも」

「クルブル流の門弟はいつでも募集中なのですよっ」


 サーニャは手を胸に当て、嬉しそうな顔を浮かべる。


「わー、門弟になりたい。でも、ベティさんのお店の手伝いもあるから、毎日習うのは無理かもしれない。それでも大丈夫かな?」

「はい、大丈夫です。あ、その名はもしかして、開放市場にある茶屋さんですか?」

「うん、やっぱり、サーニャさんもお客さんの一人だったり?」

「あ、はい、父がよく買いにいっています」


 祭りの時にレベッカが話していたけど、意外なところで繋がっているんだな。


「基礎を習うのはいいかもしれません。この間の魚人戦でレベッカは新しい武器を使いこなしていませんでしたし、怪我を負っていましたからね」


 ヴィーネが指摘。


「ヴィーネ、見ていたのね」

「はい、ご主人様の目が一瞬血走りましたので、何事かと、レベッカが怪我をして逃げていた場面でした」


 俺もお願いしとこう。


「サーニャさん、レベッカという不束者ですが、宜しくお願い致します」

「なんで不束者になるのよっ! 馬鹿シュウヤ!」

「ほぅ……「わたし運がない(・・)の……」と、嘆いては、何回か中庭の石畳と土の境目で転んで、周りにパンティを喜んで見せる趣味を持つレベッカさんの言葉とは思えませんなぁ」

「その目、どこを見て喋っているのかしら?」


 睨みが怖い。

 ない(・・)のところで胸を一瞬見たのに気付いたらしい……。


「ふふ、面白い方々です」

「あ、サーニャさん、気にしないでね、いつものやりとりだから」

「はい。では、早速、他の門弟たちへ紹介しますので、レベッカさん、こちらにいらしてください」

「了解ー。じゃ、シュウヤ、ヴィーネ、ロロちゃん、後でね」


 レベッカは綺麗な腋を見せるように白魚のような手をぐるぐる回しながら話していた。


「おう、頑張ってこい」

「はい」

「にゃあ」


 レベッカはサーニャと共に門弟と思われる集団のところへ歩いていく。

2月7日0時まで連続更新します。


「槍使いと、黒猫。1」2017年2月22日(水)発売予定です。

出版社ホビージャパンのレーベル、HJノベルス様です。

各書店様、Amazon様で予約出来ます。

2020年1月16日、現在「槍使いと、黒猫。」1~9巻まで発売中です。

2020年1月25日に10巻が発売します!

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