表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/167

第七十三話:碧い小鳥

 翌朝。


 いつもよりも早く起きてしまった。

 体力の温存が必要と分かっており、本当はまだ寝ている方がいいと思うのだけど……。


 やはりレイノルドのことが心配で、目が覚めてしまった。


 とはいえ、使用人は朝食の準備もあるため、既に起きている。

 そこでヘッドバトラーであるジョルジュに昨晩、騎士団本部に向かった従者の件を尋ねると……。


「きちんと全ての手紙を届けたと、報告を受けています。本部に詰めていた職員……シュワルツ伯爵令息が受領し、大変丁寧な御礼の言葉を賜ったそうです。その上で追加のリストも受け取っています。こちらです」


 そう言ってジョルジュはリストを私に手渡しながら、尋ねる。


「使用人一同もあるじのことを心配しており、何かできることがないかと思っているのですが……」


「! でもみんな、それぞれの役目があるのでしょう?」


「はい。ですので時間外を使うつもりです。皆、あるじに恩義を感じていますし、何かしたい気持ちがありまして……。特殊任務なんて初めてのことで、みんな心配しているんですよ」


 これには胸が熱くなる。

 レイノルドの性格の良さが、主と使用人という枠を超えた絆を、みんなと結んだのだろう。


 とはいえ。


 魔獣に効くかもしれない毒や聖剣。

 有能な使用人のみんなでも、こればかりは準備できない。

 気持ちだけ受け取り、今の役目を漏れなく果たしてもらうことが、一番と伝えることになる。


 こうしてリストを受け取り、少し早いが、リーフグリーンのドレスに着替えた後。


 朝食までまだ少し時間があった。


 魔術師ウォーレンは起きているかしら……?


 時間としては、多くの人がそろそろ朝食を摂る頃合いだと思う。


 ならばいいだろう。


 碧いガラスの小鳥を取り出し、手に載せる。

 魔術アイテムとはいえ、小鳥になって飛んで行くなら、ある程度時間がかかるはず。


 今、飛ばしてお昼ぐらいに着くイメージ?


 そのあたり、ウォーレンにちゃんと詳しく聞いていなかった。


 だがしかし。


 私は基本的に迷うなら、えい、やー!でやってしまうタイプ。


 そこでウォーレンに習った通りに実行する。

 顔を近づけ、息が小鳥にかかるようにして、ウォーレンへの言葉を声に出す。


「ウォーレンさん。髪とはまったく違う件での相談です。ウォーレンさんは、長生きをされていますよね。特定の魔獣に効く毒があると、聞いたことはありませんか。もしその毒について知っていたら、教えていただきたいのです。勿論、報酬は払います。何か知っていたら、連絡をください。ちなみにものすごく急いで知りたいと思っています。返事を早くいただけたらその分、報酬ははずみます! 王都で見つけた美味しいティールームへ招待し、スイーツ食べ放題です」


 もし何か情報を提供してくれたら、サイレンジン公爵令嬢と行ったティールーム「デメール」に、ウォーレンを招待しようと考えていた。


 ということでメッセージは完了。


 碧い鳥から顔を離し、背中を三回優しく撫でる。


 すると……。


 それはまるで前世のCGや特殊効果映像を見ているようだった。

 ガラスで出来ているはずの碧い鳥が、徐々に命の気配を感じさせたのだ。


 硬質なガラスの質感から、柔らかさと体温を感じさせる羽が生え、あっという間に生きている小鳥の姿に変わっている。くりくりと動く瞳、ちょこん、ちょこんとステップを踏む足。さっきまでガラスだったとは思えない!


 手乗りの碧い小鳥にしか見えなかった。


「魔術師ウォーレンさんに伝言を頼める?」


 「チチッ」と短く碧い鳥は鳴くと、素早く飛び立つ。

 私は慌てて窓を開ける。

 すると碧い鳥は、勢いよく外へと飛んで行く。


「!」


 外へ出た瞬間。


 その速度は前世で言うなら新幹線!


 「あ、新幹線が来た!」と思ったら、ものすごい勢いで走り去っていく。

 あのような勢いで、碧い鳥はあっという間に遠ざかっていった。


 伝書鳩の比じゃない。

 ハヤブサと同等、いやそれ以上。


 もしかすると私が想像しているよりうんと早く、ウォーレンの所へ着くかもしれない。


 でもそれは悪いことではなかった。

 返事は早ければ早いほどいい。

 早ければいいし、できればウォーレンが何か知っていてくれたらいいのに。


 そう思いながら、リストに従い、手紙を書く。

 そして時間になると、朝食の席に向かう。

 ギルとミルリアも、朝から手伝う気満々であるが。

 ここはその本分である勉強を、頑張ってもらうことにする。


「私も代筆業の依頼をまずはしつつ、隙間時間で頑張るわ。だから二人もいつもの勉強が終わったら、また手伝ってね」


 こう伝えることで、二人は「「分かった!」」と応じ「ミルリア、今日はいつもよりスピードアップだ!」「分かったわ、お兄様!」と、どうやら勉強を早く終わらせようと、頑張るつもりらしい。


 今のこの状況、レイノルドにとっては、実に困った事態。

 だが奇しくもギルとミルリアの勉強熱を高めることになるなんて。


 そんなことを思いながら朝食を終え、部屋に戻った私も。

 代筆業の依頼をこなしつつ、リストの手紙も書き上げる。


 そうして一時間程経った時。


「領主様!」


 可愛らしい令嬢の声が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ