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ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第四章

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第七十二話:私達が出来ること

 すぐに手紙を書くのに必要な道具を揃えてもらい、騎士団本部の事務方のいる部屋に行き、空いている席へ案内してもらった。


 そこで日没まで手紙を書き続け、屋敷に戻ることにした。


「本当に、書くのが早くて助かります!」


 その後、再び会うことができたパーンは、私が薬師や魔術師に送る手紙を書くことを手伝っていると知ると、とても喜んでくれた。


「リストの一部をお預かりしていいですか? 屋敷でも書いて、ある程度まとまったら従者に騎士団本部に届けてもらいます」


「それは助かります。今日はみんなここで夜を明かすつもりです。事務方と言えど、気持ちは騎士の皆さんと変わらないですからね。まさに臨戦体制。従者の方には、いつでも来ていただいて大丈夫ですが……」


 そこでパーンは気遣うように私を見る。


「あまり根を詰めないでください。ウィリス子爵令嬢が倒れては、困りますからね」


「ありがとうございます。ちゃんと睡眠はとるようにしますね」


 こうして私は屋敷に帰り、夕食を摂りながら、ギルとミルリアに、レイノルドの無事を伝えた。二人はレイノルドの無事を知り、ひとまず安堵する。


 キングの件をジーク団長は私に明かしてくれたが、機密事項であることに、変わりはない。ギルとミルリアに話すわけにはいかなかった。


「セドニック副団長は特別な任務についているの。だから王都にはまだ戻れないのよ」


 これを聞くとギルもミルリアも寂しがるが「応援してあげましょう」と伝えると、なんとか納得してくれた。


 その一方で、ヘッドバトラーのジョルジュとメイド長のマーサには、キングの件を含め、全て話すことが許されていた。二人はレイノルドにとって両親のような存在であり、もしもの時の代理人の役目を果たしていたからだ。


「セドニック様はその任務が終わったら、帰って来るの、お姉様?」


「ええ、帰って来るわ。だからギルもミルリアも。いつも通りで過ごしていいのよ。元々セドニック様は、来月末に帰還の予定だったでしょう。その頃には戻って来てくれるわ。きっと」


「任務、成功するといいね。僕やミルリアで、何かできることはある?」


 ギルの言葉に胸が熱くなる。

 まだ子供なのに、何かしたいと思う気持ちを持ってくれたことに。


「そうね。多くが大人がするべきことで、ギルやミルリアにできることは……」


「何でもいいのよ、お姉様。お姉様を手伝うことでもいいから、何かミルリアが出来ることはない?」


「ミルリア……」


 そこで私は、封筒の宛名を書くことをギルに頼んだ。ミルリアには、ギルが書いた宛名と、リストの宛名が一致しているか、間違いがないか、それを確認してもらうことにした。


 こうして夕食後。


 代筆の仕事を素早く終わらせ、寝るまでの間に書き上げた手紙を、従者に騎士団本部へ届けてもらった。勿論、夜遅くに動く従者には、特別な手当を渡すことになっている。


 従者を見送り、入浴しながら、改めて思う。


 ギルが書いた宛名の字は、とても綺麗だった。間違いもほぼもない。レイノルドはギルの優秀さを見抜いていたけれど……。


 それは間違いないと思う。


 そんなことを考えながらの入浴を終えると、ナイトティーを飲みながら、再び手紙を書き始める。宛名さえ書けば、すぐに出せるようにしたのだ。


 その後、ようやく就寝となる。


 ベッドに横になり、ようやく全身から力が抜けた。

 肉体的には疲れているはずだが、眠気は訪れない。


 そこで先程まで書いていた手紙の内容を思い出す。


 魔獣に効果があると、伝承されている毒を知らないか。

 調合できないか。

 薬師や魔術師に問う内容を、ひたすら頭の中で繰り返し、手紙を書き続けたが。


 魔術師といえば、知り合いがいるではないか。


 そう。

 ウォーレン!


 彼との契約は、髪を切ることであるが。

 ウォーレンは魔術師なのだ。

 回復のポーションだって用意できるのだから、毒も調合できるだろう。


 よし。


 明日の朝、あの碧いガラスの鳥を使い、ウォーレンに聞いてみよう。


 そう思いながら、レイノルドは今、どうしているだろうかと考える。


 キングは月の明るい夜に活発になるのだ。

 そして月は今、満月に向け、満ちていく最中。

 もしかするとレイノルドは、昼夜逆転の生活を送っているのかもしれない。


 つまり夜は眠らず、キングから身を隠し、動きつづけているのではないか。


 それにしても。

 どうしてレイノルドは連絡をくれないのだろう。

 ジーク団長経由で真実を聞くぐらいなら、レイノルドから知らせて欲しかった。


 あ、でも。


 ゆっくり手紙を書くような状況ではないのかもしれない。


 ジーク団長によると、北東の地に駐留している騎士はおり、日中、レイノルドがいるあたりを警戒していると言う。だからもしもがあれば、すぐに分かると言っていたけれど……。


 それでは遅いと思う。


 とはいえ。


 キングに立ち向かうのは無謀なこと。レイノルドにもしもがあった時、駆けつけて欲しいという思いと、無茶はしないで欲しいという思いが入り混じる。


 とにかく願うのは、レイノルドの無事だ。


 何よりも。


 キングを倒す切り札を手に入れないと。

 そのために私ができることは、ひたすら手紙を書くこと。

 追加のリストがあれば、従者が受け取って戻ってくる。


 明日も頑張ろうと心に誓うことになった。


 そして翌日。


 事態は大きく動く。

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