表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンビー男爵令嬢は可愛い妹と弟のために奮闘中!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/167

第六話:何を……?

 いつも通り、ギルとミルリアと食事をした。

 ただ、食事は普段より豪華。

 何せ客人がいるのだ。

 しかも騎士。

 怪我をしており、体力をつける必要がある。


 よって鶏を一羽使い、マチルダに料理を頼んでいた。


「チキンたっぷりのクリームシチュー、美味しい~!」


「これならジャガイモも飽きずに食べられる!」


 ミルリアとギルは、チキンのクリームシチューに大喜びだった。


 食後、本来なら音楽が得意な執事のハドソンに、二人はピアノを習ったり、歌を教えてもらう。その間に私が入浴の支度をして、マチルダは食事の後片付け。そしてお風呂の用意ができると、私がミルリアを入浴させ、次にハドソンがギルをお風呂に入れてくれる。


 だが食後、私はレイノルドの様子を確認する必要があった。


 一応、容態の急変はないか、熱がないかなど確認し、休む準備を手伝うつもりだ。


 そのため音楽の時間はお休み。ミルリアとギルはハドソンと一緒に、入浴の準備を手伝うことになるのだけど……。


 二人とも文句を言わず、手伝いへと向かう。


 本当に。


 三年前までは、もう少し沢山の使用人に囲まれ、家事なんて一切しなかったのに。二人は家事をする生活にも、すぐ適応してくれた。


 我が儘を言わず、いろいろなことを遊びの延長と考え、頑張ってくれるミルリアとギルには……心から「ありがとう!」だった。そしてやはり願うのは二人の幸せ。そのために私は頑張るのみ。


 ということで食後、客間へと向かう。


 まず起きて、レイノルドが食事をしたかどうか、そこが一番気になっていた。


 だが扉をノックすると「はい」とすぐに返事があり、起きていることが判明。


 これはもしや食事をしている最中かしら?


 中に入り確認すると、既に食事は終えていた。


 食事を終えていたどころか、鎖帷子や腕や足を守る装備を身に着け始めている。


「あの、セドニック様、何を……?」


「マトリアークをちゃんと仕留めることができたか、確認に行きます。怪我を負った魔獣は、重傷であれば身を隠します。でも体が動くのであれば、人を襲う可能性が高い。あの木材を置かれた場所は、森の中ではありましたが、村が近いのは事実。村人に犠牲者を出すわけにはいきません」


「! そのお気持ち、志には同意します。この村はウィリス男爵領の領地であり、村人の数は少なく、皆、顔見知り。広義で言えば家族のようなもの。大切な家族に犠牲者は出したくありません。ですが魔獣が出れば、連絡が来るはずです」


 そこで私は説明した。

 この村に戦闘力がある男手は限られている。

 そもそも騎士も兵士もいない。

 ただの農夫や職人に過ぎないが、かろうじて槍や弓を扱える程度。それでも愛する人や家族を守る心意気はある。


 そこで村で起きた有事をいち早く知らせ、避難できるよう、家の軒先には捨てるような鍋を吊るすようにしていた。危険の内容に合わせ、その鍋を鳴らす。


 大きな村や町では鐘楼があり、有事の際には鐘を鳴らす。だがこの村に時計塔はあるが、鐘楼は破壊されていた。うんと昔に魔獣が村に現れた時、奴らに壊されたのだ。


 再建を試みるが、その度に災害が起き、中断され……。


 鐘楼は諦め、小ぶりの鐘を吊るした、オブジェのようなものが建てられた。それでは危険を知らせるには足りない。


 そこで私が考案した鍋鐘を、村人は現在使っている。


 流行り病が流行した時。

 いち早くSOSを村人で共有するために、各自の家で鐘の代わりになる鍋を吊るし、鳴らし方で危険を知らせることにしたのだ。


「火事や魔獣が現れた時は『カン、カン、カン』と連続で鳴らすルールなんです。この音を聞いたら、自身の家の鍋鐘も鳴らし、周囲に危険を知らせ、すぐに避難をする。外で遊んでいた子供たちは、急ぎ自分の家へ。自宅が遠ければ、近くの村人に助けを求めます。今、この時間まで、鍋鐘は鳴っていません」


 レイノルドは「なるほど」という表情になるので、さらに畳み掛ける。


「あの材木置き場には、冬の間、村人は近づきません。それにマトリアークは息絶えたか、森の奥へ、ダークウッド連山に向かったのではないですか。弱点をそれだけ攻撃されたら、人間を襲うより、自身の回復を優先すると思います」


「あなたは……ただの男爵令嬢ではないですね」


「そうですね。現状、弟の代わりで領主を務めているので、普通の男爵令嬢とは違うと思います」


 するとレイノルドは表情を緩め、実に爽やかな笑顔を浮かべる。


「素晴らしいと思います。それにとても冷静です。魔獣の行動もちゃんと分析できています」


 そんな風に褒められると、とても照れ臭い。

 ただ、嬉しいのは事実。


「とはいえ、魔獣は夜が遅くなればなるほど、行動が活発になります。ウィリス嬢が言う通り、弱点に怪我を負い、まずは回復を優先させた。でも日が沈み、夜を迎えたのです。森に身を潜ませていたマトリアークが、ダークウッド連山に戻るため、動き出す可能性があります。その際、体力を回復するため、人を襲う可能性も考えられるのです」


 これには今度は私が「なるほど」だった。さすがに魔獣討伐歴が長い。経験に裏打ちされた意見には反論できなかった。


 それでも。


「背中の傷はまだ完全に塞がっていません。それに手の傷は……利き手ですよね、右手は?」


 村の子供たちを守るため、自身が囮になる際。

 右手を傷つけたのだろう。


「自分は左利きです。ただ、武器については両手で扱えるようにしています。ご心配は無用です」


 そう言われては、こう言うしかない。


「そうですか。……万が一にもマトリアークが生きていたとしても、決して無理はなさらないでください」


「ええ。自分自身の体の具合も分かっているので、遺体を確認できたら、すぐに戻ります。もしも瀕死であれば、とどめを刺すつもりです。ですがまだ動き回るようでしたら、ダークウッド連山の方に追い立てます。そして村と森の境に、魔獣除けを撒くつもりです」


 魔獣は銀が苦手だった。ゆえに魔獣除けとして、銀粉を撒くことは有効であるが、それができるのは貴族のみ。平民に銀は高価過ぎる。そして我がウィリス男爵家では、魔獣のために銀を用立てることはできない。


 ゆえに銀粉を撒いてもらえるのはありがたい。銀は劣化しやすいので、しのげるのは一時だけ。それでも傷を負っているとはいえ、マトリアークが村の近くにいるなら。魔獣除けは、あるに越したことはない。


「ありがとうございます。……せっかく助けたのです。生きて屋敷へ戻って来てくださいね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ