表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルミナント~魔法世界は銃社会~  作者: 不和焙
第一章 負け知らずの敗北者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/666

エピローグ 囚人

 ――数日後・マランザード――


 護衛任務前同様、

 マランザードでは戦後の処理が行われていた。

 多くの建物が崩壊しているため、

 住民からすれば溜まったものではないだろう。

 朝霧たちはそう身構えていたが……


「サギトが倒れた――!!」


「特異点の一つをやっつけた――!!」


 意外にも、住民たちの気持ちは晴れていた。


「驚きました。もっとこう、言われるかと。」


「あぁ。俺もだ、アリス。

 それだけ特異点が、

 滅びの予言の存在が不安だったんだろうな。」


 ジャックとアリスが仮設テントから眺める。

 その手には、住民から貰った菓子があった。

 その横で、完全に熱さに参っているハウンドが

 会話に割って入った。


「だが、ジャック。お前はもう少し頑張れ。

 そんなんじゃ()()()()()()()()()には

 立っていられないぞ?」


「な! 黙ってろ、おっさん!」


「え!? 何です何です!? 

 もしかしてジャックさん! キャー!」


「ほら! アリスが勘違いした!」


 二人でジャックをからかう。

 その横では、朝霧とアランがもめていた。


「村雲だぁ?

 我流に走るのは基礎を付けてからだ!

 あと、俺の村雨の方が本家だからな!」


「分かってるって!

 ちゃんと村雨も習得するから……!」


「村雨は奥義も奥義! お前には無理だ!」


 砂漠の街の熱さに負けず、

 彼女たちは元気に言い争っていた。

 懲りないな、という目で眺めていた

 ジャックの元に数人の子供たちが声を掛ける。


 以前の出来事を思い出しながら、

 朝霧たちは恐る恐る声を掛ける。


「……どう、したのかな?」


「せーのっ――」


「「「封魔局さん、ありがとう――!!!!」」」


「!」


「走れ――!」


 子供たちは無邪気に駆けていく。

 彼らにとってはこれも遊びなのだろう。

 だが、確かに感謝の言葉であった。


「ふっ! あはははは」


 その場にいた者たちは笑った。

 痛快、と言わんばかりに、嬉しそうに。

 そんなテント内にミストリナが入る。


「おや、楽しそうじゃないか。

 私も混ぜてくれるかな?」


「ミストリナ隊長! お疲れ様です!」


 朝霧たちは、力強く敬礼した。


「うむ、やはり頼もしいな! 我が精鋭たちは!」


 それは、彼女からの心からの称賛だった。



 ――千年監獄領域・アバドン――


「ご足労、お疲れさまです。≪騎士聖≫。

 お荷物をお預かりいたします。」


 職員数人が、彼を囲む。

 身体検査を行い、金属類を回収する。


「ご存じでしょうが、形式ですので確認します。

 一つ。彼に対して外の情報を教えないこと。

 一つ。彼の質問には答えないこと。

 一つ。彼が()()()()()()と忘れないこと。」


「ここに閉じ込めていられるのも、

 彼が()()()()、だからです。

 決して、外の世界に興味を持たせないように。」


 男は頷くと、地下へと降りていく。


「では我々はここで、

 監視カメラで様子を伺っていますので。」


 コツコツと靴音を響かせ、

 ひときわ厳重なその檻へと歩みよる。


『………………おや?』


 その囚人は顔を上げる。

 顔と言っても表情は見えない。

 異様なマスクで顔全体を覆っている。

 声質も反射し大きく歪んでいた。


「どうした、怠惰の?」


 囚人の顔は来客には向いていない。

 どこか別の場所に思いを寄せていた。


『強欲……死んだんだね。』


 監視室では動揺が走る。

 その情報は当然与えていない。


 サギトの正体はほとんど解明されていない。

 そのため、未知の手段で情報を得たのか、

 誰かが流したのかすら判別する事が出来ない。


「さぁな。ところで俺の質問に答えてくれるか?」


『いいよ。何?』


「暴食のサギト。

 つまり魔王軍は次に何処を襲うと思う?」


『次? あはは! 戦闘があったんだね!

 しかも、ヤツの動向が気になるってことは……

 やっぱり死んだんだ! 強欲のサギトが!

 闇社会の勢力図がどう変わるか? 知るか!』


 男はケラケラと笑う。

 その様子を騎士聖は黙って見据える。


『けどまぁ……チャンスではある。

 強欲と衝突の危険があった場所で、

 リスクにリターンが見合う美味しい土地……

 俺なら……()()()()()()()を墜とす。』


 その言葉を聞くと、

 騎士聖は身を翻し、その場を後にした。



 ――ミラトス・探偵事務所――


「では……はい。そのように。」


 通話を終え、探偵は椅子にもたれる。


「アンブロシウス……か。」


作者です。ここまでのご視聴、誠にありがとうございます。


第一章はこれにて完結です。作品のブックマークが増えた事に加えて高い評価をいただけた事がとても励みになりました。ありがとうございます。


また、第二章も随時更新いたしますので気長にお待ちください。


今後とも応援よろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ