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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第3章

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第095話 へーくしょん


 シャルとミシェルさんは俺のことを見ている。

 シャルは仏頂面だが、ミシェルさんはニコニコと笑っていた。

 そして、お互いのことをまったく見ようとしていない。


 俺は指を立ててみる。

 すると、2人が俺の指に注目した。


「指です」

「そうね……」

「指ですね」


 そのまま手を伸ばし、指を2人の顔の間に入れてみる。

 指を見ていた2人は追うように見続け、ちょうど2人の間に来たところで同時にサッと目を逸らした。


「絶対に目を合わさないなー……」


 トウコと一緒だわ。


「無理でしょ……」

「ツカサ君、私の立場を考えて」


 仲良くしなよー。


「まあいいや。校長先生、用件は何でしょう? 俺は午後からフリーですけど、シャルは授業があります」


 昼食も食べないといけないし、時間がないだろう。


「ええ、わかってます。早速ですが、この前のことを話しましょう」


 校長先生がそう言うと、シャルとミシェルさんも校長先生を見る。


「ウォーレス先生とジョアン先輩ですね?」

「そうです。まずですが、このことを学園と暗部で調査しました。結論としては2人をクロと断定しました」


 まあ、そこはわかっていた。

 だって、本人がそう言ってたんだもん。


「あの、ウォーレス先生は本当に亡くなったんですか?」

「はい。正式に死亡が確認されました。亡くなったのは事件が発生する1日前です」


 前日には死んでいたのか。


「やったのはジョアン先輩?」

「だと思います」


 やっぱりか……


「他にいませんもんね」

「2人の家宅を捜査しましたが、2人で動いていたのは確かです。もちろん、他に協力者がいることも否定できません」


 それでミシェルさんが護衛についているんだよな。


「スパイと聞きましたが?」

「この町の魔法使いの状況を調べていたようですね。それでツカサ君を知り、勧誘したんでしょう」

「なんでトウコじゃないんですかね?」

「単純にツカサ君の方が魔力が大きかったから、トウコさんはラ・フォルジュを名乗る正当なラ・フォルジュの魔法使いだったからなど色々でしょう」


 騙しやすそうだったからも入ってそう……


「ラ・フォルジュは勧誘できないと思ったんですか?」

「引き抜きは絶対に無理でしょうね。ラ・フォルジュが手放すわけがない」


 まあ、トウコって優秀だしな。


「それはツカサ君も同じです。ラ・フォルジュがツカサ君を手放す訳がない。お婆様が絶対に許さないでしょう。事実、私には死んでも守れという命が下っております」


 ミシェルさんが校長先生に告げる。


「それはわかっています。事実、学園にも圧力がありました」


 婆ちゃん、何してんの?


「圧力って何か制限でもかけられるんですか?」

「いえ、特には設けません。ただ、教師を徹底的に洗うことになりました」

「町の外に行くことを制限されるかと思いましたよ」

「それはするなと言われております。せっかく学校に行ってくれたのにまた引きこもられても困るそうです」


 婆ちゃん、何か誤解してね?

 俺、学校に行きたくなかったわけじゃないよ?

 行きたかったのに学校側がお前の学力だったら来るなって拒否したんだよ?


「すみません。一度、祖母と話してみます」

「まあ、ツカサ君のことは関係なく、やらないといけないことですから問題ありません。それでですね、御二人には今回のことを今しばらく黙ってもらいたいのです。調査が済んでいませんので」


 御二人というのはもちろん、俺とシャルだろう。


「俺は構いません。というか、親に言わないでほしいくらいです」

「私も構いません。正直、イヴェールはあまり関わらないでしょうから」


 ラ・フォルジュが関わっていることだからかな?


「ありがとうございます。ウォーレス先生は一身上の都合により退職。ジョアンさんも同様の理由で自主退学したことにします」

「わかりました」

「ウチのクラスの後任は?」


 そういやウォーレス先生はCクラスの担任だったな。


「ヘレン先生に決まりました」

「わかりました。それと先程から気になっているんですけど、何故、アンヴィルの方がこちらに?」


 シャルがミシェルさんを見ずに聞く。


「ツカサ君が狙われている可能性を否定できないので護衛が付くことになったのです」

「ツカサにいりますかね? 強化剤を飲んだウォーレス先生がまるで相手になっていませんでしたし、ツカサは戦闘能力が突出しています。そして何より、友人も多く、一人で行動をしません」

「それはわかっていますが、上層部の考え、それにラ・フォルジュ家の意思もあります」

「意思……」


 シャルが初めてミシェルを見る。


「何か?」

「別に。ツカサの邪魔をしないようにしてほしいものね……校長先生、私は午後の授業がありますので失礼します」


 シャルはそう言って一礼すると、退室していった。


「ふぅ……」


 シャルが出ていくと、ミシェルさんが一息ついて天井を見上げる。


「どうしました?」

「いえ、嫌な仕事を受けてしまったなーと思っただけ」


 それ護衛対象に言う?


「別にいらんし、適当にサボっても良いですよ」

「そうねー……まあ、学園の外に行く時くらいかな? あ、連絡先を交換しましょう。そして、シャルリーヌさんと出かける時は教えて」


 ミシェルさんがそう言って、スマホを取り出したので俺も取り出し、連絡先を交換する。


「なんでシャルと出かける時に連絡するんです?」

「決まってます。その時は護衛をしないからです」

「なんで?」


 サボれって言ったけど、本当にサボるん?


「先ほどのシャルリーヌさんの目を見ればね……まあ、それにどうせクロエがいるでしょう」


 確かにいるとは思うけども……


「あの人、強いの?」

「次期当主の侍女を務めるのですから当然ね。イヴェールの懐刀よ。気を付けて」

「しょうもないことを言うのに?」

「しょうもないことを言うのにです」


 本当にしょうもない人なのに……


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― 新着の感想 ―
[一言] ヘレン先生というと猫が浮かんでしまうw
[良い点] バカが今後何をしでかすのか楽しみ [気になる点] AIちゃんとかも読んで楽しんで凌いでいますが、 更新頻度が(体感)また落ちたように見えるのが不安です
[一言] クロエだったら二人がいい雰囲気になったら気を利かせる事もできるしね!
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