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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第2章

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第055話 テスト終了


 シャルとの武術の訓練を終えると、帰宅した。

 翌日は約束通り、ファミレスで勉強会をし、その週は授業を終えると、毎日のようにシャルと翌週のテスト対策をしていった。

 一方で日に日にやつれていくノエルと目が死んでいるユイカがちょっと気になったものの勉強を続けていった。


 そういう1週間を過ごし、月曜日になると、テストが始まった。

 俺はまず月曜の基礎学を受け、それからも毎日のように色んな科目の試験を受けていく。

 そして、金曜になり、すべてのテストが終わると、教室の机に突っ伏した。


「お疲れ。大丈夫?」


 顔を上げると、セドリックが笑いながら立っていた。


「マジで疲れた。頭から煙が出そう」

「大変だねー。まあ、あっちにも似たようなのがいるけど……」


 セドリックがそう言って前の方を向いたので見てみると、ユイカが沈んでおり、隣に座っているノエルが背中をさすっている。

 さらにはそんな2人を呆れた様子でイルメラが見下ろしていた。


「お前らって8月にもこんな感じなんだろうな」


 フランクも笑いながらやってきた。


「一応、聞くけど、お前らの手応えってどう?」


 2人に聞く。


「普通」

「まあ、落ちることはないだろうな」


 そうかい……

 優等生共はすごいね。


「俺はどうかなー? うーん、わからん」


 マジで微妙。


「月曜はドヤ顔してたじゃん」

「確かにしてたな」

「基礎学はな。これを特に集中していたから落ちることはないと思う」


 基礎学は自信がある。

 というか、落ちたらシャルにどういう顔で会えばいいのかわからん。


「まあ、ツカサとユイカはまずそこだしね。それに自信があるなら良いと思うよ」


 ユイカも月曜はドヤ顔だった。

 もっとも、俺と同様に日が経つにつれ、曇ってたけど。


「まあいいや。帰ろうぜ。午後の歴史は受けないし、打ち上げでもするか?」


 フランクが誘ってくる。


「打ち上げねー……いや、今日は疲れたし、帰る。テストが返ってきたら町でも行こうぜ」

「いいね」

「まだジュースを奢ってもらってないしな」


 そういや奢るって言ったな……


「奢ってやるよ。そういうわけで帰ろうぜ」


 俺達はいまだに沈んでいるユイカをチラッと見ながら教室を出ると、寮に戻った。

 寮に戻り、食堂で昼食を食べると、家に帰り、ベッドに寝転ぶ。

 シャルにお礼の電話をしようと思ったが、シャルは午後からもテストなことを思い出し、お礼のメッセージを送った。

 そして、そのままゴロゴロとしていると、夕食の時間になったので家族4人で食べ、ぼんやりとテレビを見る。


「ツカサ、トウコ、テストはどうだった?」


 家族団らんの時を過ごしていると、父さんが聞いてくる。


「わからん」

「私は余裕。歴史は間違いなく満点」


 満点と自信満々に言えるのはすげーわ。


「そうか。2人共、今回は頑張ってたみたいだな」

「まあな」

「私はいつも頑張ってるよ。ただ、私も初めてだからちょっと念には念を入れただけ」


 勉強の話題になると、本当に双子なのかと疑うわ。


「ツカサ、ちょっといいですか?」


 皿洗いを済ませたと思われる母さんがキッチンから顔を出す。


「何?」

「冷蔵庫に入っている黒い小瓶なんだけど、あれは何ですか? いつまで入っているの?」


 あ、シャルのポーションだ。


「シャルからもらったポーションだよ」

「シャルリーヌさんから? 黒いポーションなんてあったかしら?」

「シャルが作ったやつだよ。錬金術が趣味なんだってさ」

「へー……変わった趣味ですね。武家の子なのに……」


 まあ、そこはね。

 趣味なんて人それぞれだし。


 俺は立ち上がると、キッチンに行き、2つの黒いポーションを取り出し、リビングに戻った。


「私も冷蔵庫を開けるたびに気になってたけど、黒いポーションって何?」


 トウコも聞いてくる。


「普通の回復ポーション。ただ味がコーラらしい」

「は? コーラ? 何を言ってんの?」

「ポーションって薬の味がして不味いじゃん? シャルはそれをリンゴ味やらイチゴ味に改良していたんだよ。前にそれらをもらったんだけど、コーラ味が飲みたいって言ったら本当に作ってきた」

「お兄ちゃんもだけど、会長も変わった人だねー……」


 まあ……

 何とも言えんな。


「この前もらったんだよ。ほら、電話ですんごいものって言ってただろ?」

「あー、あれか……えっちなやつじゃなかったんだね」


 当たり前だろ。


「えっちなやつ…………」


 母親は反応すんな。

 頬を染めんな。


「疲れたし、飲んでみよ」


 蓋を開けると、口に入れてみた。

 すると、炭酸独特の刺激が口に広がる。


「すげっ……マジでコーラだ……」


 自販機から出てくるやつだわ。


「飲んでみたい! 私も飲んでみたい!」


 トウコが服を掴んで揺らしてくる。


「1つはお前のだ。シャルがケンカするでしょうって言って2つくれた」

「親かよ……」


 トウコは眉をひそめながらももう1つのポーションの封を開け、口をつけた。


「コーラじゃん……会長すげー」


 ホントにな。


「ツカサ、ちょっといいですか?」


 母さんがそう言うので渡す。


「お父さんも飲んでみる? マジでコーラポーションだよ」

「にわかに信じられんが……どれ」


 母さんと父さんはそれそれポーションを受け取ると、口をつけた。


「……お母さん、よく考えたらコーラを飲んだことがなかったわ。でも、確かに味の付いた回復ポーションね」


 マジかよ。

 この人、コーラを飲んだことがないらしい。


「いや、本当にコーラだ……すごいな。しかも、粗悪品ではなく、高級のポーションだ」


 父さんが感心する。


「俺もそう思う。現に半分しか飲んでないのにテスト疲れが取れたし」


 すごいね。


「ツカサ、これはシャルリーヌさんが作ったのよね?」


 母さんが聞いてくる。


「らしいよ。長々とドヤ顔で説明してたし、前にもリンゴ味とかイチゴ味を飲んだことがある」

「えー、いいなー。私も飲みたい」


 今度、頼んでみるか。


「シャルリーヌさんはまだ学生なのにすごいんですね」


 母さんも感心している。


「中学で錬金術の10段階を全部取ったらしいよ」

「中学で錬金術を全部……」

「優秀な子なんだな……」


 そうなんだよ。


「なんでお兄ちゃんがドヤ顔してんの? ってか、会長すげー! 錬金術って難しいのに!」


 俺も無理。


「シャルリーヌさん、勘当されないかしら……? そしたら快く受け入れるのに……」


 おい! 母親!

 何をボソッと言ってんだ!


お読み頂き、ありがとうございます。

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不倶戴天な敵の次期当主を 敵じゃなくて他所の子になる前提やけど 身内に入れたいと思う程の才能を示せるのすげーなって
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[良い点] 実際そのほうが丸く収まりそう
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